経営お役立ちコラム
1.はじめに
小規模事業者は経営資源、特にマンパワーの制限から折角良いアイデアでも諦めざるを得ないものが多いと感じています。我々診断士の支援の多くが、経営革新計画や経営力向上計画などの経営計画立案や補助金(助成金)申請などに留まっていないだろうか、マンパワーの不足に対しもっと直接的に支援できないだろうかと前々から私は考えていました。
現在支援中のD社は営業拡販の一環として表彰制度を使い差別化し宣伝することで売上・利益率向上を目指しています。小規模事業者からの視点を含めた表彰制度の活用と診断士としてのその支援内容につき2回に分けて紹介致します。
2.D社の状況
D社はジオラマ(立体模型)の制作を行っている個人事業主です。今年で開業10年になります。社長一人であり他に従業員はい…
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19/06/30 21:00 | カテゴリー:
中小企業経営 | 投稿者:
広報部 コラム 担当
フェイスブック(FB)、ツイッター(TW)、インスタグラム(IG)、LINEなどのソーシャルネットワーキングサービス(SNS)が普及し、多くの企業がSNSで商品やサービスをPRするようになりました。今回のコラムでは、SNSを活用していかに自社の「ファン作り」と商品・サービスの「販売促進」を行い、売上増につなげるかを取り上げます。
(1)「ファン作り」の事例と方法
革製品メーカーの土屋鞄製造所(東京都足立区)は、自社製品の魅力や品質へのこだわりをFBやIGを通じて巧みに発信し、ファン作りに成果を挙げていることで知られています。職人手作りのバッグなどを販売する同社のFBを約30万人がフォローしており(2019年5月現在)、その投稿写真の美しさには定評があります。またセールやキャン…
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はじめに
社員は社長の言動や行動を見ています。社長もやっているのだから、自分も少しぐらいやってもいいじゃないか、と社員が考え始めることは会社経営にとって、大きなリスクとなります。前回は社長の「お金に関連した公私混同」を題材に、社長ご自身のミニマムコンプライアンスの大切さをお話しました。今回は、社員にも横領など不正行為をさせない、社長としての社員管理術についてお話しします。
(1)社員管理のポイント
経理はベテラン一人にずっと任せている、事務所の机にはいつも現金が入った金庫がある、営業マンの出張費・交通費は数ヶ月後にいつもまとめて精算している、このような事例に思い当たることがありませんか?社員管理のポイントは2つあります。一点目は、社員に不正行為をさせないルールや仕組みづくりです…
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19/04/30 21:00 | カテゴリー:
中小企業経営 | 投稿者:
広報部 コラム 担当
はじめに
昨年10月の本コラムで、同じ題名で、コンプライアンス違反や不祥事に対する社会の目、ミニマムコンプライアンスを実践することのメリット、および社内展開時のポイントなどを総論的にご紹介しました。今回と次回4月号では、「お金」という
最も身近な題材を取上げ、ミニマムコンプライアンスの深堀を試みます。
今回は、社長の生活感にマッチした具体的事例を、中国の故事になぞらえながら、社長の「心構え」や「行動」について考えてみます。
(1)「繭(まゆ)を作りて、自らを縛る」
カイコの幼虫がさなぎになるため、自分の体の周りに糸をだして繭を作る様を、自らを縛ると捉え、転じて「自分の言動や行動で自らを苦境に陥れる。
人は痛い目に合わないと気づかない」という教訓として広く知られるようにな…
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19/03/31 21:00 | カテゴリー:
中小企業経営 | 投稿者:
広報部 コラム 担当
1.はじめに
先月の前編では、「想像する力」、「変換する力」について、ご説明しました。
今月の後編では、「まとめる力」、「見通す力」について、ご説明します。
2.まとめる力
仕訳を財務計画に「まとめる力」とは、仕訳に変換された取引を損益計算書(PL)および貸借対照表(BS)の形に集約することです。
まとめる力が必要な理由は二つありあす。
一つ目は、集約することで全体を俯瞰して考えられるようになります。
俯瞰することで、売上を伸ばすのか、原価を減らすのか、販管費を減らすのかという、新しい事業の計画を見直すポイントを見定めることができるようになります。
二つ目は、集約することで人に説明するのが簡単になります。
A社には100円で仕入れたキャベツを1個200円で、B社…
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19/02/28 21:00 | カテゴリー:
中小企業経営 | 投稿者:
広報部 コラム 担当
1.はじめに
新しい事業を始める場合、多くのケースで「事業計画書」を作成します。
「事業計画書」を作成するにあたり、事業戦略、市場規模(マーケット)、顧客像(ペルソナ)、ビジネスモデル(どんな価値を提供してどこから対価を得るのか)、売上・利益予測(予測PL)など多くのことを整理する必要があります。
ここで特に頭を悩ませるのが売上や利益などの会計面かと思います。
なぜならば、既存の事業とは異なり売上・利益を把握する仕組みが無かったり、経験から何となく分かる“勘”が利かなかったりするためです。そこで新しい事業を始める時に必要となる会計の知識をご紹介します。
この知識とは、「想像する力」、「変換する力」、「まとめる力」、「見通す力」の4つです。
イメージしやすいようにキャベツを例…
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19/01/31 21:00 | カテゴリー:
資金繰り、金融 | 投稿者:
広報部 コラム 担当
事業を行う上では、「契約・取引に関するトラブル」、「債権回収・債権保全」、「倒産回避に向けた事業再建」、「損害賠償対応」、「雇用・労務」、「クレーム対策」等、様々な法律問題(以下 紛争)が事業者に起こり得ます。その場合、事業者は民事訴訟か民事調停を選択することになります。
訴訟は、裁判所が紛争の原因となった当事者が主張する法律上の権利義務を基礎付ける具体的事実を証拠に基づいて認定し、法規を適用して、紛争の処理を行います。従って、訴訟手続きが複雑で、かつ、審理に慎重を期するため、相当の日時と費用とを必要とする傾向があります。民事調停制度は、訴訟の長所を活かし短所を補う目的で設けられた制度です。私は、民事調停委員を8年経験した感想から、事業者の皆様にこの制度の有用性を知っていただきたい…
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18/12/31 21:00 | カテゴリー:
経営の法務 | 投稿者:
広報部 コラム 担当
(1)契約って?
事業を進め、また日常生活を送るにあたっては、必ず別の業者、人物との間で何らかのやりとりがあり、それが契約に基づいてなされること多くあります。それでは、契約とは一体何でしょうか?
契約とは、簡単に言えば、当事者の意思が合致した決め事であって、その内容について法的な拘束力を持つものです。つまり、当事者間の約束事があり、それが守られない場合は、国家権力である裁判所が判決のような法的な強制力を持って実現させうるものということになります。
日本の法律上は、一定の場合を除いて(例えば、保証契約は、民法上書面作成が必要とされています。446条2項。)、契約成立のために決まった書面を作成することが必要とはされていません。そのため、口頭での合意またeメール等でのやりと…
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18/11/30 21:00 | カテゴリー:
経営の法務 | 投稿者:
広報部 コラム 担当
ここ数年大企業の不祥事やトラブルが相次いで発覚し、連日関連記事が新聞の紙面をにぎわせています。コンプライアンス違反やリスクマネジメントができていないなど、カタカナ英語を多用した難解な記事が多く、ともすれば大企業を対象とした遠い世界の話しだ、なんて思っていませんか? 本稿では、中小企業の日常の基本業務に焦点をあて、中小企業の身の丈にあった、ミニマムコンプライアンス術(必要最低限の法令遵守の態勢づくり)を考えてみたいと思います。
(1)今や、社会の目は中小企業にも厳しい
厚生労働省は、2017年から労働基準法や労働安全衛生法など労働関連法令違反企業をHPで公表し始めました。(労働基準関係法令違反に係る公表事案:458社公表・2018年5月31日公表分)。同省は、このような違反状態…
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18/10/31 21:00 | カテゴリー:
中小企業経営 | 投稿者:
広報部 コラム 担当
少子高齢化が進む中、人手不足が大きな問題となっています。その一方で高年齢者雇用安定法の改正や、年金制度への先行き不安から働き続けたいと考えるシニア層は増えており、その活用は中小企業にとっても重要な経営課題です。今回はシニア人材の採用と動機づけのために企業が必要な手立てについて考えてみます。
○働きやすい環境を整備する
まず採用のために必要なのは、高齢者が働きやすい勤務条件や環境の整備です。シニア人材の採用に成功している企業には、以下のような特徴があります。
■業務が細分化され短時間勤務が可能である
■身体に配慮した勤務環境が整っている
■作業依頼や指示方法が分かりやすい
具体例でみましょう。青果卸売業者A社(北海道)では、春~秋にかけて人手のかかる青果物の梱包・搬送作…
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