経営お役立ちコラム
■はじめに
先進国の中で最も速く高齢化が進んでいる日本では、認知症を発症する高齢者が増加しています。厚生労働省の推計によると2025年には65歳以上の5人に1人が認知症になると考えられており(※1)、その可能性は社長においても例外ではありません。そこで社長が認知症を発症した際のリスクと備えについて考えていきます。
■社長が認知症になった場合のリスク
認知症とは、一度正常に発達した認知機能が、さまざまな脳の病気によって徐々に衰え、記憶や判断力などの認知機能が低下し、日常生活や社会生活に支障をきたすようになった状態のことをいいます(※2)。
医師から認知症と診断されると、その患者には「意思能力が無い」あるいは「意思能力が弱い」ということを意味します。法律上、意思能力の無い人が行う法律…
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毎日出社し顔をあわせて仕事をする。そんな働き方は当然であり常識でした。しかし、そんな常識は一変し、働き方は変革の時期を迎えました。いわゆるニューノーマル時代です。ニューノーマルとは「新常識」という意味です。コロナ流行等の社会全体の変化に適応した新たな常識のことです。テレワークが代表的な例でしょう。感染防止のみならず、通勤のストレス軽減や育児・介護との両立といった社会問題に適応するべく多くの企業に導入されました。
しかし、導入が進むにつれて「労働生産性や帰属意識が低下した」という否定的な意見も出てきます。指示された仕事しか行わない、家族都合を理由に働かない、メンバー同士の連携ができない等の問題により、テレワークを縮小・廃止する企業も現れます。
早期からテレワークに移行したアメ…
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◆はじめに
そもそもリスクマネジメントとは何なのか?
少々古いが2016年の中小企業白書では「リスクを組織的に管理(マネジメント)し、損失等の回避又は低減を図るプロセスをいい、ここでは企業の価値を維持・増大していくために、企業が経営を行っていく上で障壁となるリスク及びそのリスクが及ぼす影響を正確に把握し、事前に対策を講じることで危機発生を回避するとともに、危機発生時の損失を極小化するための経営管理手法」と定義している。
最近では外注先の業務停止が及ぼす自社への連鎖的影響の拡大や、従業員の法令違反による品質問題の発生等の新たなリスクが顕在化しており、企業がリスクマネジメントを積極的に行うことが求められている。では、中小企業のリスクマネジメントの実態はどうであろうか?
体…
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◆採用と定着
障害者の就職の過半数は、精神・発達障害者であることは第1回でご説明しました。
今回は、発達障害者を含む精神障害者の採用選考についてご説明します。
1.採用面接で聞くべきこと
障害者の採用で一番気を使うのが障害の内容について聞く場面です。自社に合う人材か否かを判断する重要な要因ですので、下記の質問例に従って判断材料を得るようにしてください。
なお、障害の状況を聞く際には、興味本位ではなく採用の判断材料として質問することと、答えたくない場合には答えない自由もあることを応募者に伝えてください。
① 「ご自身の障害『特性』について教えてください」
障害者手帳を取得した診断名ではなく、過集中や短期記憶の維持が難しいなどの「特性」を確認する質問です。特に精…
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◆障害者雇用のフローと留意点
前回は、最近の障害者の雇用状況と厚労省の新たな施策について確認いたしました。今回は、障害者を雇用するための実務上の対応について、ご説明いたします。
1.退職理由からやるべきことを考える
障害者社員の退職理由の上位は、職場の雰囲気や人間関係、仕事内容の不一致です。
賃金などの労働条件は、財務状況などの事情により一気に改善することは難しい面もあります。まずは職場の人間関係の改善や仕事内容の見直しに取り組むことで、障害者を雇用しやすく、障害者社員が定着しやすい職場環境を形成することができます。(図表1)
図表1-1 身体障害者の退職理由
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◆はじめに
2024年4月に民間企業の障害者法定雇用率は2.5%に上昇し、2026年7月には2.7%となることが決まっており、障害者の採用に関してはすでに売り手市場となっています。
こうした状況で、中小企業はどのようにして障害者雇用を進めればよいのでしょうか。
これから3回にわたり、最新の施策を確認し、雇用のための実践的なノウハウをご紹介いたします。
◆障害者の雇用状況と厚労省の新たな施策
2023年12月に厚生労働省が発表した「令和5年 障害者雇用状況の集計結果」によると、民間企業に雇用される障害者は64万2178人で、前年より2万8220人増加(対前年比4.6%増)し、20年連続で過去最高となりました。また実雇用率は、12年連続で過去最高の2.33%(前年は2.…
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企業活動には必ずクレームのリスクがあります。特に近年は行き過ぎたクレームが社会問題化するケースもあり、厚生労働省が「カスタマーハラスメント対策企業マニュアル」を作るまでになっています。クレーム対応の現場で理不尽な経験をした方も多いのではないでしょうか。
しかし、事業者を困らせるクレームを発するお客様の全てが、モンスタークレーマーというわけではありません。商品やサービスで期待が満たされなかったことの失望や、クレーム対応への不満から感情が高ぶっているだけで、本来は善良なお客様である場合が多々あります。
今回は、筆者がメーカーのお客様相談室で1万人近くのお客様の課題を解決した経験から感じる、「本来は善良なお客様」を悪質化させないためのクレーム対応のポイントをお伝えいたします。
(1)解決…
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◆権限によらないリーダーシップとは
最近の若者は間違いを極端に恐れる傾向があると言われています。指示には忠実だがそこからはみ出した行動は避けたがります。一方、仕事の現場では日々想定外のことが発生します。いちいち指示を待っていては、対応はどんどん遅れます。経営者の細かい指示がなくても従業員の誰かが主体的に動き、周囲を巻き込んで問題を解決してくれたら、と思うことがあるのではないでしょうか?
このような場面で求められるのは、従業員による「権限によらないリーダーシップ」の発揮です。これは管理職など制度的な権限の裏付けがない人が発揮するリーダーシップです。
◆必要な3つの行動
権限によらないリーダーシップを発揮するとは、具体的にどのような行動を取ることでしょうか?早稲田大学の日向野教授は「…
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前回に引き続き、Z世代との協働に焦点を当てます。このシリーズではZ世代について3回に分けて考察しています。前回までのZ世代の働く価値観や接し方、コミュニケーション方法に引き続き、今回はZ世代にとっての適性と配置について触れます。
♦Z世代にとっての働く意味
第1回でも述べたように、終身雇用が崩壊している昨今、Z世代は一つの企業でずっと働くとは考えない傾向にあります。また、個人差はありますが、「人間関係」「タイパ(時間対効果)」「自己成長」といった点を重視する傾向にあります。
そのため、この会社の将来はどうなるのだろうか、今の仕事が自己の成長につながるのか、時間を無駄にしているのではないか、ここで働いていても将来につながらないのではと悩むことも多く、人間関係が合わないと思えば無理をし…
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前回に引き続き、Z世代とのコミュニケーションに焦点を当てます。このシリーズではZ世代について3回に分けて考察し、今回は心理的安全性と関係性の構築について探求します。Z世代に対してどうやって接すればよいか分からない、うまくいかない、報連相が十分に行われない、といった課題に対して向き合っていきます。
♦Z世代のコミュニケーションスタイル
Z世代はチャットツールを好んで使用することが多いです。その背景として、学生時代からX(旧Twitter)、Instagram、LINEなどの多様なSNSやチャットツールに慣れ親しんでおり、常に情報の渦の中で育ってきたことが挙げられます。この環境により、彼らは多様な情報を迅速に取り入れ、効果的に取捨選択を行う能力を身につけています。チャットツールはやり取り…
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