経営お役立ちコラム
◆はじめに
レジ袋有料化や食器等における脱プラなど、環境問題に対する一般消費者の意識は特にここ数年で大きく高まり、さらに加速しています。
今年の中小企業白書でも「GX・サプライチェーンに関する社会的要請等の経済社会情勢への対応は、これを新たな取組に挑戦する機会と捉えて、投資やイノベーションを促進することが重要」と書かれており、今やGXは中小企業の経営に切っては切れないポイントとなっています。
◆GXとは?
GXとはグリーントランスフォーメーションの略で、「化石燃料をできるだけ使わず、クリーンなエネルギーを活用していくための変革やその実現に向けた活動」(注1)のことです。政府は2050年時点で温室効果ガスの排出量と吸収量を均衡させるカーボンニュートラルの実現を宣言しており、…
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♦はじめに
昨年から円安ドル高の傾向が見られ、新聞やニュースを賑わしています。「金利の動向から景気を読み解く」の最終回は、金利がこの「為替」にも影響を与えることをテーマにしたいと思います。(本コラムの記載はすべて執筆者個人に属し、組織等の公式見解を示すものではありません。投資等の判断は自己責任でお願いします。)
♦昨年からの円安の要因には「内外金利差」の拡大がある
「ドル円」などの為替が変動する要因はさまざまですが、一般に「金利」は為替に影響を与える重要な要素です。投資家が少しでも高い金利で資産を運用しようとして金利が高い国(例えばアメリカ)の通貨を買い、金利が低い国(例えば日本)の通貨を売ると、これは「ドル高円安」の要因になります。特に日本と外国の金利差(内外金利差と言い…
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♦はじめに
「金利の動向から景気を読み解く」をテーマに、前回のコラムでは、日本で超低金利が続いた理由として、長い間、予想物価上昇率が低水準で定着してきたことがあるとお伝えしました。今回はその要因と、では今後どうなるのかについて考えたいと思います。(本コラムの記載はすべて執筆者個人に属し、その所属する組織の公式見解を示すものではありません。投資等の判断は自己責任でお願いします。)
♦予想物価上昇率が上がらなかったのは「賃上げが見込めない」など構造的要因
人々の行動として、今後、物価が上がると考えれば、買いたいモノの値段が上がる前に早めに買おうとします。その際に、貯金を取り崩したり、ローンを組んででも買おうと行動すれば、金融機関は預金金利を引き上げて預金を集めようとしたり(…
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♦はじめに
今年4月、経済学者の植田和男氏が日本銀行(以下日銀)の新総裁に就任しました。長い間、超低金利政策が採られてきた日銀の金融政策にも今後何らかの変更があり、わが国の金利や為替の水準、企業の設備投資等に影響を与える可能性があります。
そこで、今回から3回の連載で「金利の動向から景気を読み解く」をテーマに、金利変動のメカニズム、金利が日本の景気や物価、為替などにどう影響してきたかについて、分かりやすく示したいと思います。
将来の金利変動を予測することは極めて困難ですが、金利の動向について理解することで、中小企業の皆様が少しでも将来の予測可能性を高め、事業機会の獲得や脅威の回避につながれば幸いです。(本コラムの記載はすべて執筆者個人に属し、その所属する組織の公式見解を示すもの…
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1.はじめに
「今年こそイノベーションに着手する!」と一度は思い立った中小企業は数多くあるのではと思います。2021年の東京商工会議所調査(注1)によれば、都内中小企業の約70%は既に何らかのイノベーションに着手しています。一方で、差別化に繋がる“革新的イノベーション”となると約30%であり、さらに“新商品・新事業開発に関するイノベーション”は約21%程度にとどまっています。また、外部連携してイノベーションする場合の相手先として、「異業種」「提携先」「大学・高等教育機関」「研究機関」などを“これまで以上に新たに連携を希望する相手”と回答する割合が他を大きく上回っています(注2)。このあたりに経営者の期待と悩みが垣間見てとれます。
2.企業活動のどの分野からはじめるのか、特別な着想が必…
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1.はじめに
2020年の国の脱炭素宣言から、官民挙げた“脱炭素“の動きが加速しています。これに伴い、国や自治体から様々な補助事業が打ち出され、環境分野は新たなビジネス領域として注目を集めています。中小企業にも脱炭素経営への取り組みが求められると共に事業機会が増えつつありますが、脱炭素経営とは具体的にどのようなものでどこから取り組みに着手すればよいのでしょうか。
2.そもそも脱炭素経営に取り組む必要あるのか?
経済産業省によれば、中小企業の約70%が何らかの形で経営に影響を及ぼすと考えているものの、80%は対策を立てていない状況です(注1)。その理由としては、コストが高い、規制やルールなど対応に関する情報が乏しい、自社経営には関係ないと考えている、などが挙がっています。必要性は感じ…
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◆はじめに
本は1人で読むもの。つまり「独」書であるという概念を打ち破るのが読書会です。テーマに沿った本を持ち寄って、コーチングの「傾聴」、ファシリテーションの「対話」、人的資本経営の「心理的安全性」を盛り込んだ手法です。所要時間は2時間ほど。事前に本を読んでこなくても大丈夫。参加のハードルが低いのが大きな特徴です。
◆中小企業を取り巻く課題
人手不足が深刻になるなか、中小企業が新規採用を行って人員を確保することはたいへんな困難を伴います。これからの時代は、ますます生産性を向上させ、限られた人員で業務をこなすという方針を採用しなければ、事業そのものが立ち行かなくなります。
さらに、新規事業や顧客の開拓、SDGsや対話型AIの登場など、次々とやってくる外部環境の変化にも対応して…
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◆はじめに
2022年12月、「経営者保証改革プログラム ~経営者保証に依存しない融資慣行の確立加速~」(注1) が政府から公表されました。金融機関向けの監督指針の改正も盛り込まれ、23年度は“脱”経営者保証の流れが一気に加速する見込みです。今回は足元で大きな改革が進む「経営者保証」について、経営者の方々に知っていただきたいポイントをまとめました。約3分でお読みいただけますので是非ご覧ください!
◆経営者による個人保証 ~中小企業融資の現場では半ば慣行に~
経営者保証とは、中小企業が金融機関から融資を受ける際に、経営者個人が会社の連帯保証人となることです。企業が倒産して融資の返済ができなくなってしまった場合、経営者個人が企業に代わって返済することが求められます。経営者保証は…
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23/04/30 21:00 | カテゴリー:
資金繰り、金融 | 投稿者:
広報部 コラム 担当
◆はじめに
海外子会社へのガバナンスのポイントとして、第1回のコラムでは「本社と現地経営陣とのコミュニケーション」、第2回のコラムでは「現地スタッフの労務管理」について述べた。第3回の今回は「本社による内部監査の実施」について筆者の経験を中心に述べることとしたい。
◆内部監査の実施
海外子会社の実態を把握するためには、本社による定期的な内部監査が極めて有効である。それには、派遣する監査スタッフの養成や出張のための交通費、宿泊代など相応の費用負担が発生するが、これは本社による経営ガバナンスを効かせるための必要経費であり、これを出し惜しむと後々潜在的なリスクが顕在化することになり、却ってコストが嵩むことになりかねない。
中小企業の海外子会社の決算は現地会計事務所にて取りま…
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◆はじめに
海外子会社へのガバナンスのポイントとして前回のコラムでは「本社と現地経営陣とのコミュニケーション」について述べた。今回は「現地スタッフの労務管理」について筆者の経験を中心に述べることとしたい。
◆現地スタッフの労務管理
現地の法制、行政、労務、商慣習などが日本とは異なっている海外子会社を経営するにあたって、それらを見知っている現地スタッフをいかに活用できるかが大きなポイントとなる。日本人派遣者は就労ビザ枠が限られていることに加え、人件費は現地スタッフに比べ高く、派遣できる人数には限度がある。そのため海外子会社の経営を安定させるには、現地スタッフを育成し、戦力化させることが必須である。
まずは、現地スタッフと海外子会社の経営理念・経営方針を共有することから始…
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