経営お役立ちコラム
(1)はじめに
今回は、製造業の生産管理の中でもスケジューリングと情報システム
の活用についてまとめました。理想は、生産の進捗と情報システムとが
リアルタイムに連携し、納期の短い注文が割り込みで入ったり、
トラブルで生産が遅れたりした時に、原材料や人員といった資源の
再配分計算、再スケジューリングなどを短時間に行い、それに基づいた
生産指示が即座に生産に反映されることだと思います。
皆さんの生産工程では、どのようにスケジューリングを行っている
でしょうか。
(2)スケジューリングの難しさ
製造対象のリードタイムにもよりますが、完全受注生産に近いほど
短期間のスケジューリングしかできない場合が多く、このような場合は
納期優先になりがちです。注文が少ない場合で…
続きを読む
最終回の今回は、中小企業におけるIT導入の留意点、対応策を
筆者の失敗を含む経験からまとめてみます。
留意点の第一は、中小企業は全社プロジェクトが初めてか、
取組み経験が浅く、方法論に疎いことです。その典型が、第一回目
に申し上げた、基本設計書の内容確認・合意・承認の未実施です。
確かに、小規模開発や部分的開発であれば、テスト確認用のものを
まずは作成した上で、それを叩き台に議論しながら作り上げていく
方法もあります。しかしながら、会社全体もしくは複数部署に
またがるシステムについては、作るべきシステムの概要を文書に
落とし込み、それを関係者で確認し合うことで、漏れや不整合を
防ぐべきです。こうしたことは、中小企業診断士により、方法論や
適用手順についての的確なアド…
続きを読む
<div>2回目の今回は、効果をあげたシステム化の事例を中心にお話し
します。3年にわたり悩まされた販売システムの不具合が落ち着いて最初
に行ったことは、標準品(カタログ品)の売上増を目的とする
インターネット受注システムの改善強化です。X社は景気の低迷も
あって売上が伸び悩んでいました。ところが、圧倒的なシェアを誇る
ライバル企業は、インターネットの利便性を訴えることにより、
売上げを伸ばしていました。商品数は50万品目を超え、商品コードは
最大100桁にもなりますから、発注(受注)の入力負荷、入力ミス
を考えれば、インターネットの利便性は明らかです。ところが、X社では、形ばかりのインターネット受注システムは
開発したものの、受注の大半は、電話とFAXで行われていました。…
続きを読む
本稿の目的は、中小企業におけるIT化の効果が極めて大きいこと、
しかしながら、そうした大きな効果を享受するためには、いくつかの
セオリーがあり、セオリーに沿わないとすれば、逆に、危機的状況を
招きかねないこと、この二点を筆者の体験で、お示しすることに
あります。
筆者は、8年前に、中小企業としてはやや大きめの資本金2億円強の
製造業X社にシステム部長として入社し、開発が泥沼状態であった
販売システムを悪戦苦闘の末に何とか完成させました。
とは言え、まかり間違えれば倒産しかねない状況でありました。
また、完成したシステムは品質が3年にわたり安定せず、開発を
委託した最大手コンピュータ企業Y社の開発子会社(社員数2千名強)
社長に直接面談して強く善処を申し入れる等のこと…
続きを読む
“クラウド”―「意味は分からないけど言葉だけは良く聞く」
そんなイメージをお持ちではないでしょうか。コンピューターに
詳しい社員に聞いても仮想化、SaaS、SOA…意味不明な言葉ばかりで
聞けば聞くほど分からなくなる。「中小企業にはクラウドなんて
関係ない!」と思わず怒鳴りそうな経営者や経営幹部の方々、
少しだけ待って下さい。「予算ゼロから始める情報活用最前線」
の最終回は”クラウド編“です。
【結局、クラウドって何なの?】
クラウドを一言で説明すると「インターネット経由でクラウド
事業者が提供するシステム(ソフトウェアやハードウェア)を
共同で利用すること」です。
会計ソフトを例にして説明します。従来は会計ソフトを利用する
には、経理部一人ひとりのパソコンに…
続きを読む
11/10/23 12:23 | カテゴリー:
IT活用 | 投稿者:
椎木忠行
巷ではiPhone5(アイフォン)がauから発売との報道が大きな
話題となっています。“スマートフォン”は一部のデジタルマニアの
ものではなく、20代~30代の男性では3割以上が所有する身近な
デジタル機器となっています。そこで今回は、「そもそもスマート
フォンは携帯電話と何が違うのか?」「スマートフォンはビジネスの
役に立つのか?」といった疑問をお持ちの経営者や経営幹部に
分かりやすく解説いたします。
【スマートフォンと携帯電話の違い】
スマートフォンは一言で言うと“携帯電話とノートパソコンの
中間の存在“です。携帯電話の音声通話機能だけでなく、ノート
パソコンのようにゲームやビジネスソフトといったアプリケーション
(以下、「アプリ」)を追加することで、様々な…
続きを読む
“情報活用=難しい言葉ばかりで分からない”、“情報活用=莫大
なお金がかかる“と考えて情報活用に手を出せない経営者や経営幹部
に送る全3回のコラム「予算ゼロから始める情報活用最前線」。
第1回は”ツイッター編“です。
【ツイッターでつぶやくのは子供の遊び?】
新聞やテレビで“ツイッター(Twitter)”という言葉を最近よく
聞くけれど使ったことは無い、という経営者の方々も多いと思います。
「ましてやビジネスに使うなんて…」そう考えられるのも無理は
ありません。ツイッターが日本に現れて普及し始めたのが2009年
の中頃であり、まだ2年しか経っていないからです。また、ツイッター
を始める動機も「友達が使っているから」「好きなアーティストが
つぶやいているから(=発…
続きを読む
平成20年に施行された電子記録債権制度について、これまで制
度の概要と、大手銀行三行が展開するサービスについて解説してき
ました。今回は、中小企業同士の取引で主に利用することになると
思われる、「でんさいネット」について解説します。
「でんさいネット」は全銀協が設立する電子債権記録機関(以下、
記録機関)で、全ての金融機関(大手行のほか、地銀、第二地銀、
信用金庫、各種組合系金融機関など)が参加を表明しています。金
融機関と取引している企業であれば、誰でも使え、平成24年度に
サービスを開始する予定です。
【利用開始時の注意点】
前回のコラムで解説した大手行が提供する一括支払型のサービス
では、記録機関を設立した金融機関がサービスの取りまとめを行い
ます。…
続きを読む
前回は電子記録債権制度創設の経緯と、制度の概要についてご説
明しました。今回と次回(第三回)は、電子記録債権を利用した、
実際のサービスの内容について、ご説明したいと思います。
【二つのビジネスモデルの棲み分け】
電子記録債権法の成立後、全国銀行協会(以下、全銀協)は手形
に近いサービスを提供するための電子債権記録機関(以下、記録機
関)の設立を表明し、その後、三菱東京UFJ銀行、三井住友銀行、
みずほ銀行が相次いで電子記録債権事業への参入を表明しました。
いずれも、各行が独自に電子債権記録機関を設立し、自行の取引先
に利用してもらうことを想定しており、これまでにもあった、「一括
支払」サービス(銀行によって呼び方は異なります)と類似したサ
ービスです。
…
続きを読む
中小企業の資金調達環境に、新しい波が起き始めています。平成
19年6月に成立、平成20年12月に施行された電子記録債権法の
サービスが、平成21年7月に三菱東京UFJ銀行、続いて平成22
年7月に三井住友銀行により開始されました。また、各地でも定期
的に電子記録債権に関するセミナーが開催されており、中小企業経
営に携わる方々にとっても気になる話題となっていることと思いま
す。そこで、今回から計三回にわたって、電子記録債権制度の概要
と、実際の利用におけるポイントを解説したいと思います。
電子記録債権法の制定の大きな目的は「中小企業の資金調達の円
滑化」です。そこで、今回の第一回目の解説として、中小企業の資
金調達環境についておさらいしながら、電子記録債権制度の概要に
…
続きを読む