経営お役立ちコラム
SDGsを経営に取り入れる『フレームワーク』のご紹介

新聞やメディアで、「SDGs」という用語を見聞きする機会が増えています。SDGsは「持続可能な開発目標」の略称で、国連加盟193か国が2030年までに達成を目指す17の目標です。最近の調査によれば、20代以下の若年層で認知度が高まりつつあり、特に学生の45%以上がSDGsを知る時代になりました(*1)。中小企業でもSDGsを経営に取り入れ、商品やサービスの開発、社員のモチベーション向上等で成果をあげた事例が知られています。
筆者を含む診断士グループは本年3月、診断協会の調査・研究事業として中小企業のSDGs経営推進をテーマに報告書をまとめました(*2)。今回はその中で提唱した「SDGs経営推進フレームワーク」をご紹介します。

 

「SDGs経営推進フレームワーク」とは
SDGsの取組みに関して中小企業経営者からよくお聞きするのは、具体的に何をすればよいのか、またどうやって事業と結びつけるのかが分からない、といった悩みです。SDGsを経営に導入する際の大きな課題といえるでしょう。SDGs経営推進フレームワークは、「SDGsを認知しているが導入に至らない中小企業」に向けた、直観的で使いやすい導入支援ツールとして考案しました。全体図は以下のとおりです。

 

「A」~「E」の6つの枠に、自社の強み・経営資源(A)、関連するSDGs目標(B1とB2)、経営・事業戦略(C)、自社の利益向上等につながる効果(D)、地域や社会への貢献(E)を記入することにより、SDGsを取り入れた経営の全体像を可視化できるのが特徴です。フレームワークを作成し以下の点をチェックすることで、導入への一歩を踏み出しやすくなると考えています。

● 自社の強みとSDGs目標を組み合わせた、経営・事業戦略の方向性を描けているか?
● 戦略を進めたときに、地域社会への貢献と自社の成長が両立するか?
● 自社の強みが、地域社会の課題解決に寄与できる姿を描けるか?
● SDGs目標やターゲットの認識が、自社の成長につながる姿を描けるか?

 

フレームワーク図の使い方

「自社の強みを意識しながらもその活用で悩む企業」を例に、このフレームワークをどのように活用するかを説明しましょう。まず自社の強みを「A」に記入するところからスタートします。

1.現在認識している自社の強みをAに記入

2.Aの強みを活かせるSDGs目標を定め、B1に記載

3.企業が進むべき方向性を経営・事業戦略としてCに記入。
なるべく5W1Hを意識して具体的に記載する。また活用できる外部資源(パートナー)をB2に記入

4.Cを進める結果、得られる経営上の成果をD、社外への貢献をEにそれぞれ記入
全ての枠を一通り埋めた段階で全体を見渡し、適宜追加・修正

 

手順は以上のとおりですが、最初から完璧な全体図を作るのが目的ではなく、SDGsと自社の経営資源の結びつきを認識して、できるところから実行するのが重要です。そのために、経営者とその支援者である診断士が対話しながらこのフレームワーク図を作成し、それぞれの企業にとって望ましいSDGs経営を目指してほしいと考えています。

17の目標とそれを細分化した169のターゲットという数字が示すとおり、SDGsの内容は非常に多岐にわたります。まず、自社の活動に関連する部分を探すことから始めてはどうでしょうか。

 

今回は「SDGs経営推進フレームワーク」をご紹介しましたが、報告書(*2)ではSDGs経営を進めている中小企業11社に訪問してその取り組みについて取材し、フレームワークの使い勝手についてもコメントをいただきました。盛りだくさんの内容ですので、ぜひ以下URLのリンクにアクセスし一読いただければ幸いです。

https://www.j-smeca.jp/attach/kenkyu/honbu/r1/sdgs-keieisuisin.pdf


【出所】
(*1) 「第3回 SDGsに関する生活者調査」(株式会社電通 2020/4/27)
(*2) 「令和元年度調査・研究事業~中小企業のSDGs 経営推進マニュアルに関する調査研究」((一社)中小企業診断協会 2020/3)


<<執筆者>>

大橋 功
2013年中小企業診断士登録。
金融機関を経て現在は通信業界の会社に勤務。
米国、欧州を中心に海外勤務を通算12年経験、事業戦略・計画策定、企業の資金調達・海外進出支援を得意とする。
診断士としては新規事業、販路開拓、知的資産経営、SDGs等の分野を中心に経営診断と執筆活動に取り組む。共著者として「コンセプト作りのフレームワーク」(中央経済社2019年9月)を執筆

20/07/31 21:00 | カテゴリー: | 投稿者:広報部 コラム 担当

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