最近、生成AIという言葉をニュースやSNSでよく見かけるようになりました。ChatGPTに代表されるこの技術は、社会に大きな変革をもたらすと言われ、世界中の企業がその活用に乗り出しています。しかし、AIに詳しくない方にとっては、「聞いたことはあるけど、どう使えばいいかわからない」というのが正直なところではないでしょうか。本コラムでは、AIの基本的な仕組みから、明日から使える具体的な活用方法まで、わかりやすく解説します。
AIとは、Artificial Intelligence(人工知能)の略称で、人間の脳が行うような学習や思考をコンピューターで再現する技術です。AIには様々な種類がありますが、現在最も注目されているのが「生成AI」です。生成AIの最大の特徴は、人間が思い描くアイデアや要望を、具体的な文章や画像として形にすることができることです。従来のAIが「与えられたデータを分析して、特定の答えを出す」ことに長けていたのに対し、生成AIは「要望に沿ったものを創り出す」のです。
生成AIがこれほど注目されているのは、その使いやすさにあります。特別な知識がなくても、まるで人間と会話するように質問や指示をするだけで、望む結果を得ることができます。これにより、多くの人がAIを身近なツールとして活用し始めています。AIは決して難しいものではありません。まるで優秀な部下や秘書のように、日々の業務をサポートしてくれます。具体的にどのような場面で活用できるか、2つの例をご紹介しましょう。
1. 業務効率化:文章作成やスピーチの構成を手伝ってもらう
自社のウェブサイトに掲載するブログ記事や、新製品のプレスリリースなど、文章作成に時間を取られていませんか。AIを活用すれば、これらの作業を驚くほどスピーディにこなせます。例えば、「若年層向けに、新製品のプレスリリースを作成してほしい。新機能とメリットを分かりやすく伝えて」とAIに指示するだけで、骨子を整えた原稿案を作成してくれます。また、「来週の朝礼で、社員のモチベーションを上げるスピーチをしたい。3分程度の構成を考えて」と伝えれば、適切な原稿案を提案してくれます。ただし、AIはあくまでたたき台を作成するツールです。作成された文章をそのまま使うのではなく、内容が正しいか、伝えたい意図に合っているかを確認・修正する作業が不可欠です。
2. 業務改善:膨大な資料から必要な情報を瞬時に分析する
経営者の皆さんは、市場調査レポートや決算報告書など、数値が多く、見るのも疲れる資料に日々向き合っていると思います。これらの膨大な資料の中から、会社に有用な情報を探し出すのは一苦労です。しかし、AIを活用すれば、この作業も劇的に効率化できます。多くの生成AIには、PDFファイルを読み込んで内容を分析する機能があります。「この資料から、当社の売上目標達成に必要な市場データを抜き出して」や「当社の今後の成長が見込める市場はどれか、その根拠となるデータを提示して」のように指示するだけで、AIが瞬時に該当箇所を抽出し、要約してくれます。その際、AIが分析したデータも、あくまでたたき台であることを忘れてはいけません。元データと照らし合わせ、その情報が正確かつ最新であるかを確認することが非常に大切です。
生成AIは、もはや単なる流行り言葉ではありません。ChatGPTやCopilot、Geminiといった具体的なサービスが、すでに多くのビジネスの現場で活用され始めています。会社に革新をもたらし、生産性を飛躍的に向上させるための重要なツールです。AIを「難しいもの」と敬遠するのではなく、「頼れる右腕」として捉え、まずは無料版からでも気軽に試してみることが、これからのビジネス成功の鍵となるでしょう。
<執筆者> 長瀬 勝好
業務改革やDX推進をサポートするITコンサルタントです。AIなど話題のテクノロジーやビジネストレンドを日々調べながら、現場での経験を活かして、すぐに使える実践的な情報を分かりやすくお届けします。経営者の皆さまにも役立つ内容を意識し、むずかしい専門用語はできるだけ避け、最新技術や業界の動きも身近に感じていただけるコラムを発信したいと思います。