経営お役立ちコラム
数字の裏にある情報をつかもう!

毎日努力されている経営者の皆様に、経営に役に立つ事例を
お届けします。これにより、気づきをされて、貴社の経営に
いくらかでも貢献できれば筆者の望外の喜びです。

D社は、社員11名の創立35年を迎えた輸入雑貨販売業です。
今までの売上総額は、不況の影響もあって年毎に減少して、
利益も減少していました。社長が交代し、「一度、ご相談したい」
とのことで、店舗にお伺いしました。

過去の売上表を見ると、年々減少しており、減少した粗利の額で
固定費の大部分の経費をやっと賄っている状態でした。売上の中味
をお尋ねすると、毎年春季が多い月別売上表が出てきました。売上
は大別して代理店経由と店頭売りがあるとのことです。販売経路別
の売上を求めたところ、次回訪問までに作成することになりました。

半月後にお訪ねして、販売経路別の売上表を見たところ、過去5
期の売上は、店頭販売が伸びて、代理店経由販売が減収傾向を示し
ています。社長にお聞きすると、「代理店担当に毎日のように声を
掛け、また、意見を聞き、手を打っている」とのことです。
種々の手を打っていることが分かりました。それにもかかわらず
売上は伸びてはいませんでした。しかし、伸びている店頭販売
についてお聞きしますと、社長は強い関心を持っていない様子で、
反応が鈍く、どのような実態かがつかめませんでした。

そこで、社長の了解を得て店頭販売責任者から様子を聞くことに
なりました。「売上は毎年伸びていますがどうですか、店売りで
困ったことはありますか」と店頭販売責任者に声をかけると、
「今は、…や+++等があれば、もっと売れると思います」との返事です。
「この間もお客さまが来店しても、ご希望の品物がなくて、お帰り
になりました。残念なことです」とのことです。同席していた社長は
驚き、「なぜ、早く言わないのか!」と目をむいています。欠品の状態
などをお聞きして、さっそく【品物がないから売れ損になったカード】
を作り、仕入担当に伝えることなどの対策をとりました。

社長は、店頭売りは今まで伸びてきているから良いと考えて
そのままにしておき、さらに買って頂ける機会を失っていることに
気がつきませんでした。これには、「代理店経由販売の拡大」という
方針にのめりこんだことで、店頭売りが頭から去っていたことも
あります。この例は、売上が伸びている数字の裏にある活きた情報
をつかめば、売上をさらに上げることができたことを示しています。
活きた情報をとらえるために、この後、社長は店頭販売責任者に
限らず、現場の実情をとらえることが大切と気付き、定期に社員と
話し合うようになりました。

売上を増やすには、売上という数字を生み出した裏にあるお客様
の動向を捉えて、活動することが必要です。売上という数字は結果
ですが、結果ばかりを見ていても、生み出すものは少ないです。
大事なことは、お客様の動向を見ながら活動をさらに充実する
ことです。原因と結果、因果関係、お客様の求めている事はなにか、
必要なことはなにかを考えてみましょう。「こうするとこうなる」と
言う仮説を考えて活動し、結果を見て、修正して、また、活動する
ことが必要です。

窪田靖彦

11/03/07 03:02 | カテゴリー: | 投稿者:椎木忠行

このページの先頭へ戻る