経営お役立ちコラム
女性の活性化とワーク・ライフ・バランス

 我が国の経済社会が持続的に発展していくために、仕事と生活の調和が求められて
きています。
そこで、「多様な働き方が選択できる社会の取組み」や「健康で豊かな生活のための
社会の取組み」について紹介します。

1.仕事と生活の調和

(1)我が国の就業状況の現状
 我が国は、経済のグローバル化が進行し、企業間競争の激化や産業構造の変化に伴い、
非正規社員の増加と、正規社員の長時間労働が拡大しています。
 現在、勤労者世帯の過半数が共働き世帯となっていますが、働き方や子育て支援など
の社会インフラは未整備のままで、仕事と子育て・介護の両立の難しさから
女性や高年齢者などの多様な人材を活用することができない状況が続いています。

(2)ワーク・ライフ・バランスの必要性
 ワーク・ライフ・バランスとは、ワーク(仕事)とライフ(家庭やプライベートなど)
を調和、両立、共存させることです。
 少子化の急速な進行による労働力不足は、我が国経済の生産性の低下や活力の衰退を
もたらしています。働き方を見直し、多様な人材を活かし競争力を強化するためには、
仕事と生活の調和が必要です。
 

2.多様な働き方が選択できる社会の取組み

(1)仕事と子育ての両立支援
 女性の約6割が第一子出産前後に退職しています。仕事と子育ての両立が難しい
理由としては、勤務時間・職場の支援・自分の体力などが挙げられます。
 このように、育児休業からの復帰後の働き方に問題があります。
育児期の女性労働者からは、短時間労働・時間外勤務の免除の要望が高まってきた
ことから、育児・介護休業法で、3歳までの子を養育する労働者について、
短時間勤務制度(1日6時間)及び時間外勤務の免除を設けることを事業主の義務
としました。
 また、男性が子育てや家事にかかわっておらず、その結果、女性に子育てや家事の
負担がかかりすぎていることが女性の就業を困難にしており、女性だけでなく、
男性も子育てできる環境づくりが求められてきました。このため、父母ともに育児休暇を
取得する場合の休業期間の延長(パパ・ママ育休プラス)が可能となりました。

(2)仕事と介護の両立支援
 家族の介護・看護のために退職または転職している労働者は、総務省の産業構造
基本調査によりますと、平成15年からの5年間で約50万人います。そのうちの8割以上が
女性労働者です。
 仕事と介護の両立支援を効果的に進めるために、育児支援のノウハウを介護に応用
して、要介護状態にある家族の通院の付添などに対応するため、介護のための短期の
休暇制度(要介護状態の家族が1人で年5日、2人以上で年10日)が設けられました。

3.健康で豊かな生活のための社会の取組み

(1)長時間労働の抑制の取組
 長時間労働は、労働者の健康障害リスクが高まるだけでなく、労使間トラブルや
訴訟につながるなど、経営上のリスクにもなります。
 長時間労働を抑制する次の取組によってワーク・ライフ・バランスを実現する
ことは、労働者にとっても会社にとっても大きなメリットをもたらします。
 1)労働時間の見える化(可視化)
 ・労働時間を掲示板やイントラネット(企業内情報通信網)で公表することで
長時間労働の発生や業務の偏りに気づき、改善意識が芽生えます。
2)残業の事前申請制度
・事前申請のルール化により、管理職は部下の業務量や労働時間を把握する
ことができ、業務配分や要員配置の適正化を図れます。
3)ノー残業デー
・定時に退社する日が強制的に設けられることで業務の効率化に取り組むようになり
早く退社することで、友人や家族との時間・趣味の時間を持つことができるように
なります。

(2)年次有給休暇取得促進
 年次有給休暇の取得は、労働者の健康と生活に役立つだけでなく、労働者の心身の
疲労の回復、生産性の向上など、企業にとっても大きなメリットがあります。
年次有給休暇の計画的付与制度の導入など、年次有給休暇を取得しやすい職場環境を
整備しましょう。
 年次有給休暇の計画的付与制度とは、労使協定により、5日を除いた残りの年次
有給休暇を、計画的に特定の休暇取得日に割り振る制度です。例えば、付与日数が
10日の労働者に対しては5日まで、20日の労働者に対しては15日までを計画的に
割り振ることができます。
この制度は、前もって計画的に休暇取得日を割り振るため、労働者が遠慮なく
年次有給休暇を取得することができることから、年次有給休暇の取得促進に有効な
制度です。
 制度導入の仕方には、企業または事業場全体で一斉に付与する方式やグループ・
個人が交替で付与する方式などがありますので、自社の実態に合った方式を選択する
ことができます。日本では、盆(8月)や年末年始に休日を設けることが多く、
これらの休日に年次有給休暇の計画的付与を組み合わせることで連続休暇とする
ことができます。

城南支部 労務管理研究会

15/05/31 21:00 | カテゴリー: | 投稿者:広報部 コラム 担当

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