経営お役立ちコラム
説得力を高めるスライド作りの2つのポイント

 本屋でビジネス書籍のコーナーを歩いていると「外資系コンサルが書いた◯◯◯の
スライド作成術」という表紙を目にします。商品の提案をするときのスライド表現
テクニックを纏めた本です。書籍のタイトルにはマッキンゼー、BCG、アクセン
チュアといった名立たる外資系コンサルの社名が掲げられています。数枚のスライド
だけで数千万円~数億円の仕事を受注するイメージがあるためでしょう。
私も10年以上、外資系コンサルと呼ばれていました。若手の時は提案書に使うスライド
作成の納期に追われ、徹夜も日常茶飯事でした。1秒でも作成速度を上げるために、
マウスは一切使わずキーボードのみで操作する技術も習得させられました。入社して
5年も経つと、お客様が唸るスライドを短時間で作成する「スライド製造マシーン」の
完成です。
しかし、完璧と思えるスライドもコンペで必ず勝てるわけではありません。
コンサルティングはもとより、金融・保険・広告といった単純比較ができない商品を
選ぶときに、あなたが重要視することは何でしょうか。
説明の分かりやすさ、価格の妥当性、担当者との相性など、様々な判断材料があります。
敢えて1つと言うなら、私なら「どれだけ心を動かしたか」と答えます。
どんなに機能や価格が勝っても、心が動かされなければ購買には繋がらないものです。
外資系コンサル並みに、社員のスライド作成技術を向上させるのは時間がかかります。
また、多くの外資系コンサルのスライドには、聞き手の心を動かす配慮が足りないと
いう問題点があります。

そこで、今回のコラムでは「説得力を高めるスライド作りの2つのポイント」について
ご紹介します。

ポイント1.「紙と鉛筆で筋書きを徹底的に考える」

多くの人は、いきなりパワーポイントを開いてスライドを作成し始めます。
他社で使用した資料を使い、手持ちのグラフや図を貼り付け、見出しの文章を変えて、
最後に表紙の社名とロゴを変え、「はい、御社向けの提案資料です」と出してきます。
これでは、心を動かす資料になりません。体型にあわない既成品のスーツを強引に
着させられるような不快感を与えるだけです。
まず、アナログでお客様のことを考えることの重要性です。
白地のメモ帳やコピー用紙の裏紙でも良いので紙と鉛筆を使い
「お客様が何に対して困っているのか」
「この商品を買うことで暮らしの何が変わるのか」
「どんなストーリー(起承転結)だったら自分の想いが伝わるか」
について、手を動かして徹底的に考えます。考え尽くされた提案内容は、
オーダーメイドのスーツのような心地良さを与えます。
また、この地道な労力がプレゼンでお客様に訴えかける情熱にもつながります。

ポイント2.「子供でも分かる言葉だけで簡潔に書く」

筋書きを考えることに時間をかけると、スライドを描く時間は減ります。
そのため、スライドは徹底的にシンプルにして時間を節約します。
外資系コンサルのスライドは、詳細なデータや説明を細かい文字で書き、
図形は1mm単位で位置調整することに時間をかけます。
しかし、スライドで心を動かす効果的な箇所は、「見出し」と「画像」です。
見出しは、誰にでも伝わる言葉で簡潔にする必要があります。
子供でも分かる言葉で説明できるということは、説明者自身が十分に理解していることの
証明だからです。少しでも難しいと感じた箇所は書き直しをさせるべきです。
また、文字を極力減らした画像主体にし、説明はすべて口頭で補足することで、
映画のワンシーンのようなスライドが完成します。
外資系コンサルと同じ土俵の資料を作ることは必要ではありません。
御社ならではのお客様の心を動かすプレゼンにしていきましょう。

長瀬 勝好

15/11/30 21:00 | カテゴリー: | 投稿者:広報部 コラム 担当

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