経営お役立ちコラム
反社会的勢力への対応方法

ここでは、実際に企業へ資金稼ぎなどの目的で反社会的勢力が
押し掛けてきた場合の基本的な対応について述べていきます。
この場合に重要なことは、あくまでも冷静に対応することです。
彼らの手口は、一般の社会人が持っている暴力団などのイメージを
悪用して、受け手に恐怖心を与えて自分達の不当な要求を押し
通そうとするものです。目的がお金ですから暴力を振るうことは
ありません。従って怖がらずに冷静に対応することが重要です。

(1)相手の身元を確認する
名刺をもらうか、住所・氏名・所属団体名・電話番号を確認します。
訪問カード、来訪者カードなどに書いてもらうと、イザというときの
証拠となり、指紋も活用できます。相手が応じない場合は、その場で
対応を打ち切ります。

(2)相手の用件を確認する
用件・要求を具体的に聞きます。はぐらかそうとする場合は、
それはどのような意味ですか、などと聞きなおしていきます。
用件を明確にすることで、相手の真意が何であるか把握でき、
それによる対応も可能となります。

(3)複数の社員で対応する
相手より多い人数で対応することにより、相手にプレッシャーを
与えることができます。また対応の内容についても記憶がより確か
なものになります。対応する者、記録をとる者、相手の人相や服装
などを確認する者など、役割分担を決めておくと効果的です。

(4)論争はしてはいけない
相手は言葉尻を捉えて難癖をつけてきます。論争に巻き込まれて
不用意な発言はしないことが重要です。また早く解決しようとして
その場での安易な妥協はしてはいけません。相手はそこにつけ込ん
できます。

(5)冷静に対応する
相手は金が目的なので、決して暴力は働きません。暴力を働くと
その場で傷害罪となってしまい、当初の目的を達成できなくなって
しまいます。いくら大声を出そうが悪口をたたこうが、冷静に対応
していきます。

(6)書類は作成しない。
相手は「一筆書けばそれで終わりにする」などといって詫び状や
念書を書かせようとすることがありますが、いったん書いてしまう
と「非を認めたのだろう」としてそれをもとに脅迫の材料にされて
しまいます。署名、捺印は絶対にしてはいけません。

(7)対応内容を詳細に記録する
対応内容の記録は事件になったときの証拠となります。特に録音
は脅迫・恐喝・威力業務妨害などの犯罪の有力な証拠となるので、
なるべく実施したほうがよいでしょう。

(8)相手が延々と居座った場合
刑法130条の不退去罪が適用できますので、警察を呼びます。
但し不退去罪の成立要件は、以下の通りですので、周到な準備が
必要です。
・退去してほしいとの要望を発信する。
・発信は一定の時間(10分程度)をおいて繰り返し行う。

建物の管理会社などと事前によく相談するとよいでしょう。
注)刑法第130条
正当な理由がないのに、人の住居若しくは人の看守する邸宅、
建造物若しくは艦船に侵入し、又は要求を受けたにもかかわらず
これらの場所から退去しなかった者は、3年以下の懲役又は10万円
以下の罰金に処する。

おわりに
以上3回にわたって反社会的勢力を取り締まる法律と企業として
の対応を述べてきました。基本はあくまで不当な要求には応じない
ことです。少しでも要求に応じると、相手はそれを元にして、必ず
要求をエスカレートしてきます。健全な企業人として反社会的勢力
には毅然として対応し、企業の社会的責任を果たしていくことが
求められます。

柄澤明久

12/09/16 08:19 | カテゴリー: | 投稿者:椎木忠行

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