経営お役立ちコラム
システム開発を失敗させない社長からの2つの指示

「うちもスマートフォンでのマーケティングを始めましょう!」
「システムが老朽化しているので刷新しないと限界です・・・」
社長のもとにはシステム開発の要望や売込みが途絶えることはありません。
システムという言葉を聞くだけで敬遠して、部下に一任する場面も多く見られます。
社長は経営の専門化であって、技術者ではないので当然かも知れません。
「何でこんなに金がかかるんだ!」と怒鳴りたくなる気持ちを抑えて
開始したシステム開発なのに、納期は延期し、追加費用が発生するという散々な状況に陥る
場合もあります。システム開発は物品調達とは異なります。期待されたモノが
予定通りの期日に納品できるとは限りません。遅延や失敗の理由は開発会社の力量、
発注担当者の経験不足など実に様々です。
では社長は、何をすれば成功に導くことができるのでしょう。
「予算(カネ)と担当者(ヒト)にだけ目を光らせておけば良い」と考え方もあります。
熟練の開発担当者がいる会社はそれでも良いかも知れません。しかし、一般的には
未経験の担当者に突然システム開発を任せるケースもあります。
その場合、担当者に任せっきりにすると必ず失敗します。
失敗させないコツは簡単です。「何を作るか」「どうやって進めるか」を開発準備段階で
十分に練っておくことです。何を当たり前のことを、と思われるかも知れませんが、
実はこれが出来ていないで失敗するケースが大半です。
今回のコラムでは、「開発準備段階で社長が出すべき2つの指示」をお教えます。

指示1.「要求事項を一覧表に取り纏めて具体的な説明して欲しい」
「何を作るか」は開発では“要求事項”と呼びます。不要な要求で工数が増えたり、
要求事項の認識違いで手戻りが発生したりすることが失敗の原因となります。
このような失敗を回避する方法は、「要求事項を発注担当者と開発会社で一覧化し
説明させること」です。説明の場では、社長は分からない事はどんどん掘り下げて
聞いてください。例えば「現在使っているシステムと同じように・・」という
文言に対しては「同じとは具体的に何を指すのか?」といった具合です。
質問を繰り返すことで、曖昧だった要求事項が具体化していき、関係者間の認識も
ズレがなくなります。
また、社長と対話する過程で、会社にとって本当に重要な要求事項も伝わります。

指示2.「開発完了までのWBS(だぶりゅーびーえす)を見せて欲しい」
WBSとは「作業の段取り」を箇条書きにした一覧表です。
WBSの略語の意味など覚える必要はないのですが、とりあえず言ってみてください。
「社長なんてシステムのことは分かっていない」と高を括っている開発会社は震え上がります。
何故かというと、WBSを見るだけで「どうやって進めるか」を十分に考えているかが
一目瞭然だからです。個々の作業内容を理解する為には技術的な知識が必要です。
しかし、以下の点を確認するだけなら高度な知識は不要です。
不十分と感じた場合は、すぐに再考させてください。
・開発前半だけでなく後半の作業も書かれているか。
・作業の段取りが見やすく順序立てられているか。
・同一の担当者が3つ以上の作業を同時進行していないか。

システム開発は専門的で難しい!とおっしゃる社長も多いです。
しかし、「何を作るか(目的)」「どうやって進めるか(段取り)」の点で見れば
通常の仕事と同じです。
社長だけが持っている、仕事を失敗させない方程式をシステム開発にも活かしてください。

長瀬 勝好

15/10/31 21:00 | カテゴリー:,  | 投稿者:広報部 コラム 担当

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