とても残念なことですが、お客様というのは、私達、つまり販売側-小売、卸、
メーカー、サービス含め全ての事業体-のことを忘れてしまうものです。
自分に置き換えて考えてみましょう。
一ヶ月前に外食したお店の店名を覚えていらっしゃいますか?
一年前に購入した手帳のメーカー名を覚えていらっしゃいますか?
それはどのお店でお買いになりましたか?
大体の場合、よほどインパクトのある出来事があったり、感動するようなサービ
スがあったりしなければ、忘れているものですね。
しかし、私達、事業体である企業は、相手は自分のことを覚えていてくれている
と誤解しているのではないでしょうか。
先日、ある焼きたてパンを売るお店にうかがいました。店長さんは、販売促進
そのものに嫌悪感さえ持っているのではないかと思うくらいチラシやショップ
カードなどを用意せず、販売促進活動を全くしていませんでした。
理由を聞くと、
「販売促進なんて、お金ばかりかかって、効果が長続きしないじゃないか。
やっても金の無駄だ」
とおっしゃるのです。
私は考えました。
効果が長続きしない→やっても意味がない
のでしょうか。
効果が全くない→やっても意味がない
なら理解できます。
効果が長続きしないなら、継続してやるべきなのではないでしょうか。
もちろん、効果が出るように改善活動を伴わせながら、販売促進活動をやって
いくべきではないでしょうか。
お客様は、「あのお店のパン、おいしいわね」とは思うものの、
少し経つとそのパンの存在を忘れてしまうのです。
これは積極的に忘れるという意味ではありません。
人間の性として忘れてしまうものだと思うのです。
だから、販売促進活動-値引きだけではありません-を続けていく
必要があるのだと思いませんか。
顧客が必要な情報を「あ!」と思わせるようなタイミングで提供するのは本当
に難しいことです。
しかし、行動を起こさなければ、「あ!」と思わせるようなタイミングを見つ
けることもできません。
残念ですが、顧客は自社を忘れてしまうものなのだと認識して-けっして諦め
てはいけません-顧客にどうしたら覚えていてもらえるのだろうかと考えて行
動しませんか。
方法はいろいろあると思います。思い出してもらう方法、考えませんか。
佐川 博樹