経営お役立ちコラム
「これだけは押さえたい!」中小企業のマーケティング

 「マーケティング」とは、一言で表すと「売れる仕組みづくり」であり、製品開発や想定顧客の選定、流通経路の設定、販売促進の実施等、その範囲はとても広いものです。そこで今回は中小企業の方に向け、既に販売する商品・製品が決まっていて、それをどのように他社と差別化して販売するかに主眼をおいてお話しします。

1.自社の商品・製品の『価値』を整理する

 お客様が本当に欲しいものは、「商品」そのものではなく、「商品を使うことによって起こるよいこと」をご理解ください。例えば口紅が欲しい人は、口紅そのものが欲しいのではなく、口紅を塗ることによって「顔色がよく見える」「美しく見える」ことを期待している、ということです。つまり商品の『価値』とは、お客様の望む「よいこと」「嬉しい」を引き出したり、「困った」を解決したりするもの、ということです。
その視点に立ち、ぜひ自社の商品・製品の価値を整理してみてください。きっと同じ商品でも、男女別、年代別、家族構成等により違った『価値』があることに気付かれることでしょう。

2.『強み』で差別化する

 『価値』は整理できたものの、「同じ商品を扱う競合店がある」ことが一般的です。最も訴求しやすい『価値』は「安さ」です。しかし価格で勝負!は業界No.1、または地域No.1だけです。
そこで「なぜお客様はあなたから買うのか?」を考えます。中小企業は競合店との違いをお客様に訴える必要があるのです。その時に「どこと比べているのか」を考えます。日本一でなくても、お客様が思い浮かべる選択肢の中で自社が思い浮かび、選ばれればよいのです。そのために『強み』を明らかにしてお客様に見える形で訴求します。

3.選ばれるためにお客様を『選ぶ』

 『価値』を整理し、自社の『強み』を明確にすると、その『強み』に全ての人が共感することはない、と気づくと思います。例えば「設置から取扱方法まで丁寧に教え、修理もおまかせ」といった強みの電器屋さんが、「1円でも安い方がよい」人から選ばれることはない、ということです。
つまりあらかじめ「自社の強みに共感してくれる人」を「考え方、価値観、行動様式」等で具体的にイメージしておきます。

4.お客様への『伝え方』を考える

 自社商品の『価値』、自社の『強み』、そして共感してくれる『お客様像』が明確になったら、次に『伝え方』を具体的に考えます。
ここで大切なのはお客様へのメッセージが「ぶれない」ことです。「丁寧な対応」を強みとしているのに、接客や電話対応がぞんざいな人が1人でもいれば、会社のイメージは崩れます。「商品・製品、価格、店内、売り場POP、店の外観、販売員、接客方法」等の全てが自社のメッセージをお客様に伝える方法であることを理解し、そのメッセージを統一します。

5.最後にお客様が動く『スイッチ』を押す

 これはお客様が「買おう!」と思う決め手となるものが必要だということです。接客での一言や売り場POPのメッセージかもしれません。つまり「スイッチ」の正体は『情報』です。「商品の物語、効能、使い方、価値、お得感の強調、不安・不信・不快・不便・不満からの解放」等が切り口になります。
しかし残念ながら全ての人に万能なスイッチはないので、自社の『お客様像』に響くメッセージを考え、繰り返し流しましょう。受けた相手が「これは私宛のメッセージだ」と思うようなものを目指します。

歌田 弘子

15/01/31 21:00 | カテゴリー:,  | 投稿者:広報部 コラム 担当

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