経営お役立ちコラム
経営革新とは何か

「経営革新」という言葉を聞いたことはありませんか。
中小企業診断士は、経営革新の相談に乗ることもあります。
経営革新とはどのようなことを指すのか
Q&A方式で見ていきましょう。

Q:経営革新とは、具体的には何を意味するのですか。

A:経営革新とは、毎年、同じ営業・生産を繰り返すのではなく、
企業を取り囲む環境変化などに対応して経営のスタイルを変えていくことです。
つまり、(1)自社の現状や課題を見極めたい(2)自社の業績をアップさせたい
(3)自社の経営の向上を図りたい場合に、経営革新への取り組みを勧めます。

Q:具体的には、どのように進めればいいのですか。

A:まず、自社の事業の現状や課題の見極め、経営目標を明確にしましょう。
また、業界やマーケットの分析を行い、経営の全体像を明らかにし、
自社のポジションや課題を目に見えるようにします。

次は、それに基づいて計画を立ててみましょう。
これを「経営革新計画」と呼びます。
この計画は3~5年の中長期のものを想定します。
計画を作っただけでも大きな前進になりますが
さらに都道府県知事の承認を受けると
以下の支援施策が活用可能となります。

(1)政府系金融機関から低金利の融資を受ける資格が得られます。
(2)信用保証協会の優遇措置が受けられます。

Q:どんな計画が承認を受けやすいのですか。

A:承認を受けるためには、2つの条件があります。
1つ目は、新しい事業活動に取り組む内容であることです。
具体的には次の(1)~(4)で紹介します。
(1) 新商品・新サービスの開発
(例:産業廃棄物業者が茶殻等の植物性廃棄物をリサイクルする
新商品の開発をした。)

(2)新サービスの開発又提供
(例:老舗旅館が日帰り客向けのリラックスゼーションルームとして改装して
新しいサービスの提供を行った。)

(3)商品の新たな生産又は販売方式の導入
(例:果物業者がフルーツパーラーを開店した。)

(4)サービスの新たな提供方式の導入その他の新たな事業活動
(例:美容室が写真館を併設、撮影&美容室をセットで提供できるようにした。)

2つ目は、その取組によって、経営がより、よくなることが見込まれるかどうかです。
具体的には、
(1)付加価値額(※)が年率平均「3%以上」伸びていること
(2)経常利益が年率平均「1%以上」伸びていること
といった、経営力の向上を示す2つの指標をクリアできる
計画書を作成する必要があります。

 ※「付加価値額=営業利益+人件費+減価償却費

Q:「新しい事業活動」とは、どのように考えればいいのですか。

A:事業展開の方向は、基本的に4つのジャンルに分かれます。

(1)市場浸透戦略
「現製品の現市場への販売」であり、今の顧客をロイヤルカスタマーに変える。

(2)新市場開発戦略
「現製品の新市場への販売」であり、現有製品の内容を大きく変えないで
競合との差別化を図る。
(例:女性だけを対象とした美容院が男性のカットを始める。)

(3)新商品開発戦略
「新製品の現市場への販売」であり、これまでのお客様に、従来とは異なる
製品やサービスを提供する。
(例:コンビニエンスストアがイートインのスペースを拡大し、
本格的なお弁当を取り扱う。)

(4)多角化戦略
「新製品の新市場への販売」であり、従来とは異なる取引先に対して、
新たな製品・サービスの提供を行うもので、リスクが高い反面、
軌道にのれば新たな柱となる。
(例:外食産業が高齢者介護事業に進出する。)

(1)~(4)のどのタイプを選択すればよいかの判断は分かれますが、
自社の現状を把握し外部の環境変化を見極めたうえで、
進む道を考えていきましょう。
中小企業診断士も相談に乗ります。

※文中の事例は、
「会社を黒字にするとっておきの経営革新術」(岡春庭著、セルバ出版、2014年6月)
「中小企業庁ホームページ 経営革新計画事例集」
 http://www.chusho.meti.go.jp/keiei/kakushin/jirei/jirei.html
を参照し、一部引用しました。

清水 功次

14/12/31 21:00 | カテゴリー: | 投稿者:広報部 コラム 担当

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