2.飲みニケーションの参加率の低さに悩む管理職へのアドバイス
「飲みニケーションに誘っても人が来ないんです」
ため息混じりに困惑した表情で悩みを打ち明ける50代の女性管理職。コミュニケーションを増やして、組織を活性化したいと考えているのに、リーダーとしてどうしたら良いのかわからない。
前回のコラムで、繋がりは2016年度のテーマであると伝えました。今回は、どうやって繋がりを深めるかをお伝えします。
会社が成長するには、社員間の繋がりはとても重要です。繋がりが強いほど、お互いの強みを活かし弱みを補完し合うことが可能です。有名な経営学者のドラッカーは、次のように述べています。
「組織の目的は、人の強みを生産に結び付け、人の弱みを中和することである」
「う~ん、繋がりが大事なのはわかるけど、そんな抽象的なこと言われてもね~」
はい。優秀な経営者としては当然の感想です。順番にわかりやすく説明していきます。
「離職率」はご存知だと思います。耳が痛い話かもしれませんが、社員と会社の繋がりが「離職率」に表れます。退職理由トップ3のうち2つは、人間関係であるという調査結果もあります。
「とはいえ、離職率は、最終的な結果だから改善が難しいよね」
はい。さすがのご指摘です。対策を打つタイミングとしては、既に手遅れです。
ところで「飲み会参加率」は把握されていますか?飲み会の参加率は、会社の忠誠心と相関があると私は考えています。「いやいや、都合が悪くて欠席する人もいるから、無理がある」というご意見はごもっともです。確かにそのケースはあると思います。ただ、私の経験では、結束力が高いチームは、ほっといても「飲み会をしましょう!」と提案し、高い参加率に繋がっています。「飲み会参加率」は、「離職率の先行指標」であり、飲みニケーションで人が集まらないというのは繋がりの警告信号です。「たかが、飲み会。されど、飲み会」なのです。
「そういえば、弊社は飲み会の参加率が低いかもしれない」と感じたあなた。
繋がりを深めるチャンスです。なぜならば、不参加者は飲み会に参加しないという行動を通して、あなたに「将来辞めるかもしれません」というサインを出しているのです。
上司と部下の関係は、野球で例えることができます。部下がピッチャー、上司がキャッチャー。普通と違うのは、「サインは部下であるピッチャーが出す」ということです。プロのキャッチャーでも変化球は事前にわかっていないと捕ることが困難です。捕れないと、場合によってはケガをしますので、正確にサインを読み取ることがキャッチーには必要です。キャッチャーになったことをイメージしてください。ピッチャーのサインがわからなかったら、どうしますか?タイムを取って、ピッチャーがいるマウンドに駆け寄り、確認に行きますよね。
飲み会でいえば、どうして欠席なのかを把握したいところです。お互いの信頼関係の深さ次第ですが「普段の会話からサインを読み取る」、「相手が嫌な思いにならないように聞いてみる」という心配りや会話が大切です。そして、仮に「無理な仕事を任されていて大変」ということが把握できたならば、「仕事の負荷を減らす方法はないか」を一緒に考えることが繋がりを深めることになります。
繋がりを深めるとは「距離を縮め、何を希望しているかを確認し、協力する」ことです。あなたがコミュニケーションで悩んでいるならば、この原則を頭の片隅に入れ、周囲と接しては、いかがでしょうか。
(追伸)
「イベント参加率」「研修参加率」「定例会議参加率」も繋がりを見える化した指標なので、同様に考えることができます。
照井 克文