経営お役立ちコラム
小規模事業者の表彰制度活用への支援(前編)

1.はじめに
 小規模事業者は経営資源、特にマンパワーの制限から折角良いアイデアでも諦めざるを得ないものが多いと感じています。我々診断士の支援の多くが、経営革新計画や経営力向上計画などの経営計画立案や補助金(助成金)申請などに留まっていないだろうか、マンパワーの不足に対しもっと直接的に支援できないだろうかと前々から私は考えていました。
 現在支援中のD社は営業拡販の一環として表彰制度を使い差別化し宣伝することで売上・利益率向上を目指しています。小規模事業者からの視点を含めた表彰制度の活用と診断士としてのその支援内容につき2回に分けて紹介致します。

2.D社の状況
 D社はジオラマ(立体模型)の制作を行っている個人事業主です。今年で開業10年になります。社長一人であり他に従業員はいません。
 細部まで忠実に美しく再現するD社製ジオラマへの客先評価は高く、国宝建築物のジオラマも制作しています。大手博物館などからも注文を受けています。近年普及してきた3Dプリンターでは1mm以下の構成部品を制作した時に制作精度に問題が生じますが、D社は1mm以下の極小部品まで手作りで行っておりその精度は伝統工芸の職人のレベルに達しています。
 D社を経営するM社長は病気により家業である建設業を継ぐことを断念、その手先の器用さを活かし数年に渡り高名な先生のもとで修業後、ジオラマ作家としてデビューしました。
 M社長は今年で50歳になります。人柄は気さくですがあくまでもジオラマ作家として生きていくことを望んでおり営業には積極的ではありません。D社の営業は口コミとホームページ(以下HP)が主となっています。

3.D社の課題
 ジオラマの評価は定まったものはありません。忠実や美しいという評価自体が定性的、感覚的なものであり、世間の評価は簡単に移り変わってしまいます。近頃は3Dプリンターを使った廉価版ジオラマも出回っています。客先にジオラマの良し悪しを評価できるだけの能力が無い場合には価格勝負になってしまい、D社が逸注することも増えてきました。
 一方、M社長は全て一人で業務を行っており、制作以外の業務に割く時間が限定されてしまいます。未経験者を制作や営業に雇用してもD社の強みが消える、伝わらないことは過去の経験から分かっており自らが何とかしなければならないと考えています。しかしマンパワー不足から制作に追われ他に何もできない状況に陥っていました。
そこで私からはまずは都道府県から工芸品として表彰を受け客観的評価を得て差別化をすること、それをHPやマスコミを使って広告宣伝を行い営業活動とすることを提案しました。

4.提案に対するM社長の反応
 <M社長の反応>
 ・商工会議所や振興公社のような大きなところは敷居が高い。
  D社のような小規模事業者に対し表彰などまともに相手をしてくれるのか不安である。
 ・どのような表彰制度があるのかも知らない。
  なぜ都道府県の表彰なのか。
 ・申請書類を作っている時間は無い。だいたい内容が難しすぎて良く分からない。
  数年後の経営計画など立てていないし、立てても机上の空論になるのではないか。
 ・素人の診断士がジオラマの良し悪しを評価できるのか。
  素人が書類作成を手伝っても上面なもので審査に通らないのではないか。
 ・ジオラマは一部マニアのものと受け取られることも多く、
  表彰を受けることが可能なのか疑問である。
 ・今のままではじり貧になることは分かっているのだが・・・。

 上記の通りM社長の反応は極めて消極的でした。私は診断士としての立場から一つずつ説明し納得してもらいました。その内容は来月の後編にてお伝えします。

福田 幸俊

19/06/30 21:00 | カテゴリー: | 投稿者:広報部 コラム 担当

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