経営お役立ちコラム
会社を守る、社長を守る、中小企業のミニマムコンプライアンス対応術~社長の社員管理編~

はじめに
 社員は社長の言動や行動を見ています。社長もやっているのだから、自分も少しぐらいやってもいいじゃないか、と社員が考え始めることは会社経営にとって、大きなリスクとなります。前回は社長の「お金に関連した公私混同」を題材に、社長ご自身のミニマムコンプライアンスの大切さをお話しました。今回は、社員にも横領など不正行為をさせない、社長としての社員管理術についてお話しします。

(1)社員管理のポイント
 経理はベテラン一人にずっと任せている、事務所の机にはいつも現金が入った金庫がある、営業マンの出張費・交通費は数ヶ月後にいつもまとめて精算している、このような事例に思い当たることがありませんか?社員管理のポイントは2つあります。一点目は、社員に不正行為をさせないルールや仕組みづくりです。しかし、ルールや仕組みをいくら作っても限界があります。社員との良好なコミュニケーションや良識を育む人づくりが二点目です。

(2)不正行為の構造
 最初に、米国の犯罪学者R.クレッシーによる有名な「不正のトライアングル理論」をご紹介します。不正行為は、(a)動機、(b)機会、及び(c)正当化の3つの条件がそろって、はじめて発生するという内容です。例えば、多額借金を抱えることとなった社員(動機)は、業務を任されているベテランの経理課長であり(機会)、一時的に借りるだけで後からすぐ返すからと思い(正当化)、不正行為に走るという構図です。

(3)不正行為の防止策
 上記3つの条件のうち、一つでも成立しなければ不正行為は実現しません。管理のポイントで述べた一点目は、外的規制(社員に不正行為をさせないルールや仕組みづくりなど)によって、社員からその「機会」を奪うことを狙っています。先ほどの事例で考えてみましょう。例えば、ベテラン社員に任せっきりの仕事の見直しです。社長ご自身や社内第三者が決裁や定期的な確認作業を行うことで、本人への牽制が働きます。また、有給休暇の消化率アップも狙って、1週間以上連続して休みを取ってもらい、他者がその期間代行する仕組みも有効でしょう。日常的に現金を扱う飲食店などで、1万円で支払うとレジ係が他の店員に対して「1万円、入ります」と声をかけているのも、相互に牽制しあう工夫です。

 しかし、人間は、本来外部からあれこれ言われたり、ルールで縛られたりすることを好みません。したがって、外的規制だけでは社員の不正行為を防ぐことはできません。二点目の社員とのコミュニケーションや良識を育む人づくりが重要となってきます。

 「不正のトライアングル理論」に沿えば、「動機」や「正当化」は社員個々人の主観に関わる問題といえます。「動機」や「正当化」を防止するためには、社長ご自身の日々の言動や行動がカギとなります。例えば、「動機」を排除するためには、日頃から社長が社員一人一人に声をかけ、悩みや不安を相談しやすい関係を作っておくことが大切です。また、「正当化」に対する防止策としては、コンプライアンスの重要性を日頃から社長自身の言動や行動で示し、良識を育む人づくりを推進することです。

おわりに 
 ミニマムコンプライアンスは、社長の実践と社員管理が両輪となっていることがお分かりいただけたことと思います。社員や会社を守り、社長ご自身も守るためにも、ミニマムコンプライアンスの最初の一歩を踏み出してはいかがでしょうか。

木村 充

19/04/30 21:00 | カテゴリー: | 投稿者:広報部 コラム 担当

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