経営お役立ちコラム
『知的資産経営報告書』:ポスト金融円滑化法対策としての定性情報の活用

(1)知的資産経営報告書とは何か

最近、「知的資産経営報告書」なるものを眼にすることが増えて
います。しかし、そもそも、“知的資産”とは何なのでしょうか。
経済産業省等のホームページによれば、知的資産とは知的財産(権)
を含む広い概念であるとし、具体的には、知的財産(権)に加えて、
例えば、人的資産、組織力、経営理念、顧客とのネットワーク、
技能等を含むとしています。そして「知的資産経営報告書」作成の
効果のひとつとして、金融機関との良好な関係維持をあげています。
とするならば、多くの小規模企業にとっての課題であるポスト
金融円滑法対策ツールとして使えないものでしょうか。
そこで、「知的資産経営報告書」の活用について、述べてみます。

(2)知的資産経営報告書活用の狙いと効果

金融機関では、「格付け」を、当該企業に対する融資の可否や
返済条件等を判断する物差しとしています。
「格付け」のもうひとつの役割は、貸倒引当金の積み増しに
あります。「格付け」のレベルに応じ保全状況等を勘案して
貸倒引当金額が算出され、金融機関の収益が増減します。また、
金融行政の柱の一つである自己資本比率規制にも関係します。
自己資本比率が一定以下となると、当該金融機関の存続が問われます。
こうしたことから、融資担当者が行った「格付け」は支店内の
チェックだけではなく、本部監査部、監査法人、金融庁等による
厳重なチェックが行われます。
「格付け」は、定量的な財務データと定性的な要因によりランク
付けがなされます。財務データは、そもそも小規模企業にとって、
難しい評価となるでしょう。一方、定性要因については、金融庁
でも配慮することが望ましいとしており、定性情報により、ランク
ダウンしないようにし得る可能性があります。そこで、融資担当者が
「格付け」を行う際、知的資産経営報告書を、定性情報として活用
して貰えれば一定の効果が有ります。また、知的資産経営報告書が
あれば、金融機関との双方向コミュニケーションツールとして、
金融機関の当該企業への理解を深めることになります。
さらに、そうした過程で、相互に「気づき」がなされ、実質的な
経営改善につながるでしょう。

(3)何をどう作成するのか

中小機構のホームページに、サンプルや作り方が紹介されています。
しかし、小規模企業にとっては、少しハードルが高いように思われます。
そこで、企業融資担当者にとって必要度の高い、以下の四図表を、
ビジアルな図表にまとめ、簡易版知的資産経営報告書として
金融機関に対し提示・説明することが得策と思われます。
1.株主や出資関係及び関連会社等の関係が一覧で把握可能な
相関図、グループ企業関連図
2.業務フロー(仕入→製造→販売)の概要や特徴の図解、
もしくはビジネスモデル図
3.取引構造(仕入先、販売先、製商品別。対象マーケットの
概要)を示す図
4.上記「1~3」から浮かび上がる「売り」や「課題」は何か、
それらをいつまでにどうするのかの一覧表

そうすれば、金融機関側の当該企業に対する理解や信頼が深まり、
「格付け」判断において、融資担当者に頑張って貰うことは十分
期待し得ます。
中小企業診断士は、こうした作業や上記4の一覧表の方策と
整合性ある資金計画の作成等を支援し、「暫定(リスケ)計画」
さらには「経営改善計画」につなげていきます。

倉持俊雄

13/08/31 08:30 | カテゴリー: | 投稿者:椎木忠行

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