経営お役立ちコラム
労働力人口の高齢化にともない、労働生産性(付加価値額(※)÷労働者数)に大きく影響する45歳以上の中高年労働者の雇用施策が課題となっています。
1.中高年を取り巻く雇用環境の変化
(1)労働力人口の高齢化
総務省統計局公表数値(令和3年10月)によれば、2021年の総人口は12,550万人、労働力人口(15歳以上人口のうち就業者と失業者の合計)は6,860万人、労働力割合(総人口に占める労働力人口)は54.7%となっています。労働力人口のうち55歳以上は2,132万人と、全労働力人口の31%を占め高齢化が進んでいます。
(2)国が進める高年齢者就業確保措置
事業主は、高年齢者雇用安定法により、65歳まで労働者の雇用を確保する義務があります。さらに令和3(2021)年4月…
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◆はじめに
新型コロナウイルス感染症の大流行や世界的な物価高によって、収入が不安定になっている企業が増えている。また、経営者の高年齢化に伴い、事業承継に課題を感じている企業も多い。今回は中小企業が「収入の安定化」および「事業承継の円滑化」を図るために不動産を活用する手法を紹介したい。
◆中小企業を取り巻く課題
最近では金融緩和の副作用として世界的な物価高が進行している。日本もその例外ではなく、2022年8月の企業物価指数は昨年比9.0%上昇し、2020年の平均を100とした水準で115.1と過去最高になった。仕入原価ばかりが上昇し、販売価格に上乗せできていない中小企業も多い。このように経済の先行きが不透明な中、安定した収益源を確保することは中小企業経営者…
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1.はじめに
「勤務地・職務、全社員に明示求める 厚労省、ジョブ型促す 柔軟な人事とどう両立」
日本経済新聞2022年8月31日付朝刊のトップ記事の見出しだ。特定の仕事で働く「ジョブ型雇用」の広がりを受け、企業から全従業員に、将来の勤務地や仕事の内容を明示させる仕組みを検討するようだ。中小企業経営者にとって注目すべき点は2つ。1つは、この制度は規模を問わずすべての企業を対象とする見込みだということ。もう1つは、いわゆる「メンバーシップ型雇用」(※)から「ジョブ型雇用」への転換を経済成長の必要条件とする論調が強まっていることだ。
1つ目の注目点を受けて、中小企業経営者としては、経営面と実務面の両面で何らかの対応が必要とな…
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1.はじめに
新型コロナウイルス感染症の世界的大流行は、世界のあらゆる組織において、リーダーシップの在り方を根本的に問い直した。著者の知る中小企業経営者においても、自らのリーダーシップへの自信がゆらいだ人が多い。前例のない事態に正面から向き合い、重要な決断を下し、従業員と会社を守っていたにも関わらず、である。
では、コロナは中小企業の経営者にどんな影響を及ぼしたのだろうか?リーダーシップをどのようにアップデートすれば、ウィズコロナ、ポストコロナと言われる時代において、従業員は経営者を支持し続けてくれるのだろうか?本コラムでは、筆者の経験とリーダーシップや社会学の知見を元に、上記の問いに答えていく。
2.リーダーシップはフォロワーシップの裏返し
まず、リーダーシップは、フォロワーシ…
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前回はダイバーシティについて説明しましたが、今回は、最近ニュースで良く耳にする「ダイバーシティ経営」という用語を取り上げます。
広く一般的に使われているこの「ダイバーシティ経営」の意味は色々な解釈がありますが、ここでは経済産業省の定義「多様な人材を活かし、その能力が最大限発揮できる機会を提供することで、イノベーションを生み出し、価値創造につなげている経営」<sup><a href="#no1">注1</a></sup> をベースに、日本の状況について確認していきます。
◆日本国内企業のダイバーシティ経営の現状
ダイバーシティ経営を行っている日本国内企業は、現在どの位の事業者数なのでしょうか? 残念ながら、経営者へダイレクトに「ダイバーシティ経営」の有無についてヒアリングした結果…
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◆1◆メディアで見聞きする「ダイバーシティ」
出勤前の支度をする慌ただしい朝、TVニュースからSDGsの解説が流れその説明に「ダイバーシティ」が多く使われていました。
NHKのインビューに蟹江憲史教授<sup><a href="#no1">注1</a></sup>は、“SDGsの17の目標の中には、「ダイバーシティ」という目標はありませんが、SDGs全体に通じる「誰一人取り残さない」という理念や、目標5「ジェンダー平等を実現しよう」や目標17「パートナーシップで目標を実現しよう」など、SDGsの考えのベースには“多様性の尊重”があるため、「ダイバーシティ」という言葉を数多く用いて説明しているのです”と解説しています。
また電車やバスで移動中、スマホでWebニュースのお知らせ…
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中小企業が最も迅速に海外に進出する方法として、同業種の撤退希望企業を土地、建物、設備、主要スタッフを引継ぎ、買収代金を一括で支払う『居抜き』で買収するという方法があります。いち早く海外進出をした部品供給先の企業から、一日も早く現地での供給をするようにと依頼された場合等がそのケースに該当します。
今回は、海外企業の居抜き買収のメリットとそのリスクについてインドネシア進出の事例をもとにご紹介します。『居抜き』買収は、リスクの事前チェック等、中小企業診断士をはじめとする専門家との十分な事前打ち合わせが必要です。
■「居抜き買収」のメリットとリスク
<メリット>
・供給先企業の要請に速やかに対応。
・土地/建物の価格設定を変えることで不動産取得税を節税。
・幹部社員はじめ現地人社…
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1.はじめに
事業再構築補助金第4回、ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金第9次締切分から、申請する事業計画書を作成する際に経営デザインシートを利用することを進めています。
2018年5月に内閣府が公表したその経営デザインシートについて、その内容と活用する場面を考えてみたいと思います。
2.経営デザインシートとは
■ひとことでいうと
将来を構想するための思考補助ツール(フレームワーク)
■100文字で言うと
環境変化に耐え抜き持続的成長をするために、自社や事業の
(A) 存在意義を意識した上で、
(B) 「これまで」を把握し、
(C) 長期的な視点で「これから」の在りたい姿を構想
(D) それに向けて今から何をすべきか戦略を…
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22/01/31 21:00 | カテゴリー:
中小企業経営 | 投稿者:
広報部 コラム 担当
新1万円札への採用から2021年のNHK大河ドラマまで、昨今の衆目が高まる澁澤栄一。本稿では澁澤自身と著書「論語と算盤」から企業経営への示唆を求めてみたい。
1.論語と算盤
論語は、言わずと知れた孔子の言行の記録書で、儒教的道徳を説く。一方、算盤は金儲けを象徴し、一般には相容れない概念で、澁澤自身も「甚だ遠く」と評している。同時に澁澤は「甚だ近い」とも言い、続けて「利殖と仁義道徳は元来、共に進む」と説いている。つまり論語「か」算盤の二者択一ではなく、論語「と」算盤のどちらも犠牲にせず融合して「二兎を追う」挑戦をしたのである。このESGやSDGsに通じるコンセプトは当時独創的であったが、現代では広く支持されつつある。昨今の澁澤ブームには、社会が志向する方向が、澁…
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第2回では、人づくり(人財開発)についてお話をしました。人づくりは、一朝一夕にできるものではありません。したがって、経営者は、社員の失敗に対してダメ出しをするのではなく、社員を信頼して見守るスタンス、心の余裕(懐の深さ)が必要です。失敗が許される心理的安全性(注)を担保した組織をつくることも経営者の役割の一つです。
組織づくり(組織開発)の目標は、多様な価値観を持ち経験や能力の違いがある社員を受け入れて、社員一人ひとりの可能性を最大化することです。たとえて言えば、ラクビ―日本代表のような「ワンチーム」になることです。
キャリア自律の話をすると、社員が目覚めて転職してしまうのではないかと心配する経営者がいます。そこには、社員を組織に囲い込み、コントロールしようとする意識が根底にある…
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