コラム
皆さんは海外に行かれたことはありますか? 私の答えは「Yes」ですが、海外に出掛けるまでには自分の中にある非常に高い壁を乗り越えなければなりません。本音を言えば、できれば行きたくないです…
日本は他の先進国と比べてパスポート保有率が低く、2割にも満たない状況です(「令和6年旅券統計」(外務省)を参照し筆者算出)。ここからの推測にはなりますが、私のようにできれば海外に行きたくないという方は相応にいらっしゃるのではないかと思います。
一方で、日本国内市場の縮小を受けて海外に活路を見いだす企業も増えており、今後海外に「行きたくないけど、行かなければならない」という方も増えていくのではないでしょうか。
今回は、2024年に私が経験したインドネシア出張(約10年振り2回目・滞在期間2日間)を例に、海外経験ほぼ初心者の私がどのように高い壁を乗り越えたかについてご紹介をしたいと思います。
1.私の中にある非常に高い壁と乗り越えるための事前準備
海外に出掛けるにあたって、私の中にあった高い壁と乗り越えるために行った「事前準備」についてご紹介します。
(1)言語の壁
大変恥ずかしながら私の語学力は受験英語レベルです。東京駅で外国人に英語で声を掛けられるだけでビクビクします。

このような状態で、インドネシア出張に出掛けるのですから大変です。そもそもインドネシア人はインドネシア語を話しますが、私自身はインドネシア語の知識は全くないです。辛うじて英語は通じるかもしれませんが、日本語については全く通じないでしょう。インドネシアで不測の事態に遭遇した際に会話ができなかったらどうしようかと不安になります。そこで、不安を少しでも払拭するために2つの事前準備をしました。
① 翻訳アプリのダウンロード
無料で使える翻訳アプリをスマートフォンにダウンロードしました。無料で性能も高いアプリがたくさんあり迷ったので、知人に勧められたアプリ2つ(Google 翻訳とVoice Tra)をダウンロードしました。
② 「たびレジ」への登録
「たびレジ」とは、専用WEBサイトに渡航予定を事前に登録するだけで、出発前から行き先の最新情報を日本語で無料受信できるサービスで、外務省が運営しています。行き先で事件や事故に巻き込まれても素早い支援を受けることができます。
インドネシア滞在中に何か不測の事態に巻き込まれた際には、日本語で支援を受けられるのは非常に助かると思い登録手続をしました。
(2)スマートフォンの壁
言語の壁を乗り越える事前準備は整ったものの、スマートフォンを現地で問題なく利用できなければ大変です。インドネシアでも自分のスマートフォンで問題なく通信できるようにすること、そしてスマートフォンの充電を問題なくできるようにすること、という2つの事前準備を行う必要がありました。
① 日本同様に利用できるサービスの申し込み
まずは携帯電話ショップに出掛けて、自分のスマートフォンを海外でも利用できるようにするサービスに申し込みをしました(通信業者提供の海外ローミングサービス)。事前に海外での利用期間を設定しておけば、海外でもいつも通りスマートフォンを利用できます。
また、不測の事態に備えてWi-fiルーターのレンタルも行いました。出国前に空港で受け取り、帰国後に空港で返却する必要があり、かつ、かなり重たいというデメリットもありますが、スマートフォンの通信を確実に行うためには仕方がないと思いました。
② スマートフォンの充電対策
日本では電圧は100Vでプラグはtype Aが主流ですが、インドネシアでは電圧は220Vでプラグはtype C(丸ピン2本)が主流です。WEB上で調べた結果、スマートフォンを充電するためには最低限「変換プラグ」は必要とのことでした。そこで、普段から充電時に使用している充電器が使用できるように変換プラグを購入して充電器とともに持参することにしました。加えて、Wi-fiルーターのレンタルを申し込みする際に、インドネシアでの充電に必要なセット(変換プラグ、USB充電器、ケーブル、モバイルバッテリーなど)も同時にレンタルをして、第2の充電手段も確保しました。
【電源プラグの違い】

(3)インフラの壁
インドネシアに渡航歴のある複数の知人から、「インドネシアの水道水は絶対に飲んではいけない」、「交通渋滞がすごいので覚悟した方がよい」などの話を聞き、このような壁に対してどのような事前準備をどこまでするか悩みながら、最低限必要だと感じた準備をしました。
① 水道水への事前準備
現地で日本と同じような感覚で水を簡単に入手できるか分からなかったので、500mlのペットボトルの水を日本から持参することにしました。また、歯磨きにも水道水を使用しない方がよいと聞いていたため、万が一歯磨きができなかった場合に備えて口内洗浄液も用意しました。さらに、お腹を壊す可能性に備えて整腸剤や胃薬なども用意しました。
② 交通渋滞への事前準備
今回は車での移動が中心となることが分かっていたので、車酔いに備えて酔い止め薬を持参しました。また、気を紛らわすために飴も用意しました。
2.実際に出掛けてみて
ここまでご紹介した以外にも二重三重の事前準備を重ねてあらゆるケースをシミュレーションした上で、インドネシア出張に出掛けました。先述の3つの壁について簡単に振り返りをしておきたいと思います。
(1)言語の壁
コミュニケーションが必要な空港やホテルでは、金銭的なやりとりなど重要な部分のみ翻訳アプリを利用しましたが、その他は受験英語レベルで十分やりとりができました。
(2)スマートフォンの壁
海外ローミングサービスを利用したことで、通信に苦労する局面は全くありませんでした。試しにWi-fiも利用しましたが、Wi-fiも問題なく利用できました。また、用意した2つの充電手段についても、2つとも試しましたがいずれも問題なく利用できました。
あくまでも個人の意見にはなりますが、海外ローミングサービスを利用し、普段から使用している充電器と変換プラグで充電するという組み合わせが、最もストレスが少ないように感じました。
(3)インフラの壁
水については細心の注意を払い、飲食店で提供される飲み物も氷なしで飲むなど工夫をした結果、お腹を壊すことはありませんでした。空港やホテルでもペットボトルの水は販売されているため、水の入手に苦労することもなさそうだと思いました。
交通渋滞は想像以上に酷く、道路も少し脇道に入るとガタガタで酔い止め薬は必須でした。
【車窓からの様子】

(左)高速道路のすぐ脇に立ち並ぶ高層マンション(右)四輪道路の隣にある二輪専用道路
(出典:いずれもジャカルタ市内で筆者が撮影)
3.事前準備で不安を払拭
今回は、私のインドネシア出張を例に、海外経験ほぼ初心者の私が海外に出掛ける際に、不安を払拭するために行った事前準備についてご紹介をしました。
二重三重の事前準備はとても大変でしたが、そのおかげで何より安心して当日を迎えることができ、そして予定通りに行程を終えて無事帰国することができたのはとてもよかったです。次に海外に出掛けるのがいつになるかは不明ですが、「そこまで準備をする必要はなかったな」と思える部分にも気づけたので、以前よりは壁は少し低くなったように感じます。
今後、海外でのビジネス展開を考えている方々等が海外に出掛けるにあたっての初めの一歩として、本コラムが少しでも皆さまの不安払拭の一助となれば嬉しいです。
【執筆者紹介】

関谷 由佳理(せきや ゆかり)
大学卒業後、金融機関に勤務し、主に法人営業に従事。中小企業から大企業まで幅広い顧客層を担当。最近は、グローバル展開を行う企業や今後グローバル展開を展望している企業を多く担当。2021年12月中小企業診断士登録。