各種報告
診断士と経営者の顔を持つ木下青年部部長に聞くコロナでも変わらない診断士の歩み方

 2020年新型コロナウイルスにて社会情勢は大きく変わりました。コロナ禍でも活躍する中小企業診断士はいったいどんな方なのか。株式会社ステラコンサルティング代表取締役として診断士の第一線で活躍され、またネイルサロンも経営される木下綾子青年部部長にインタビューを行いました。緊急事態宣言中でのインタビューのためZoomにて対応させていただきました。

■リーマンショックの影響で診断士の道へ

-診断士を目指すきっかけは、何だったのでしょうか。

 当時所属していた電機メーカーがリーマンショックにて大きな影響を受けたのがきっかけです。社員の給与が落ちて、社員全体のやる気も落ちていきました。このままではいつ仕事がなくなるかわからないと思いました。そんな時に何か資格があればやめたときも食べていけるのではないかと考え、中小企業診断士の資格取得を目指しました。資格をとるからには独立しようと当時から考えていました。

■城南支部での活動

-城南支部入会のきっかけは何だったのでしょうか。

 当時横浜に住んでいまして、このエリアに住む方は神奈川県協会に入るか、城南支部に入るかどちらかを選択することが多いんです。その中で、私は実務補習の指導員の先生が城南支部だったので、勧められて城南支部に入りました。

-城南支部に入って良かったことは何でしょうか。

 わりとしっかりした組織だということでしょうか。がちがち過ぎず、緩すぎもせず、それなりの規模もあり、独立して活躍される人が多いイメージですね。
 また私の場合、会員部に誘われたのも良かったですね。会員部に入らなかったら城南支部をやめていたかもしれません。会員部には2年目から3年目の間に入りました。会員部のイベントも特に参加したこともなかったのですが、会員部の方に楽しいからおいでと誘われて入部しました。
 当時研究会も入っていたのですが、勉強が中心になってしまい、アウトプットの場が少なかったんです。そんな時に会員部で活動に参加できて良かったです。イベント系が多くて、肩ひじを張らずに活動できました。

-現在青年部部長にご就任されていますが、青年部の活動はどのようなことをされていますか。

 単なる飲み会では参加するメリットが少ないため、若手会員のスキルを高めること、懇親を深めることを目的としたイベントを企画しています。最近では「新談士の会」との連携も強化し、共同での企画運営もします。青年部のターゲットは、入会5年未満、または45歳未満の方です。若手会員の意見をより多く取り入れるため、申し訳ないのですが若手会員の方に優先して参加していただいています。そのため、青年部は若い人も多く所属していて、城南支部で一番活気がある部だと自負しています。

■独立まで人脈作りの1年間

-独立まで1年間と短い期間ですが、どのような活動をされましたか。

 イベントに参加して人脈を作ることを優先しました。合格者向けや先輩診断士が参加するイベント等、いくつか参加するだけで人脈は増えましたね。その中でも良い人脈を作るために自分から「これをやりたい」と発信することを大切にしていました。そうして先輩から仕事を紹介していただくことができ、収入のベースが見込めた段階で独立できると思いました。独立する前に、何か1つでも仕事を獲得しておくのが安心ですね。

■独立からの仕事、そしてネイルサロン経営へ

-独立してからはどのような仕事をされていましたか。

 独立当初は、公的機関の仕事が多かったです。公的機関の専門家派遣や支援機関の臨時職員を2年間ほどやっていました。その後、株式会社ライブリッツ・アンド・カンパニーの取締役に就任し、とある金融機関からお仕事をいただいて経営改善、事業再生にも携わっていきました。事業再生はやりたいといってやらせてもらいましたね。初めはどうすればいいのか全然分かりませんでしたが、先輩にノウハウを教えてもらいながら必死にやりました。

-一番心に残っている仕事はありますか。

 いろいろありましたが、一番頑張ったのはM&Aの最初の一社でしょうか。経験がない中、買い手と売り手の価格差が結構あり、交渉していくのかがとても大変でした。どの仕事でも、最初の1件目は印象に残りますね。
M&Aといってもどの会社もパターンが全然違うため、毎回大変です。最近は買い手も変化してきていますね。今まではM&Aを勉強した上で始める人が多かったですが、最近はテレビを見て興味を持ったため問い合わせてくる人も増えました。M&Aのアドバイザーは様々な相談者が増えたため昔よりも大変になっています。

-コンサルタント以外にネイルサロンを経営されていますが、きっかけはなんだったのでしょうか。

 2019年12月に銀座のネイルサロンを買収しました。経営を経験してみたいという気持ちから始めたのもありますが、コンサル業は自分が働かないとお金にならないので、これをやり続けるのはしんどいなと考えていました。スタッフを雇って稼いでもらうことも必要だなと。また、M&Aのアドバイザリー業務をはじめて間もない時期だったので、自社でM&Aの買い手になるのは勉強にもなると考えました。ネイルサロンを選んだのは、製造業などは、予算的にも難しかったですし、なるべくリスクの小さいものを考えていました。そういった中で美容系のサロンはやりやすく、自分も好きだという気持ちがあり選びました。公的な相談をやっていると必ず出てくる業種でもあり、ノウハウも得られるかなと考えました。

■コロナ禍でも変わらないコンサルタントの仕事

-2020年は新型コロナウイルスによって様々な自粛が求められましたが、影響はありましたか

 幸いなことにあまり影響は受けませんでした。むしろM&Aや融資の相談などコロナで仕事が増えている状況です。影響を受けたといえば、中小企業大学校でのサブインストラクターのお仕事が一度休みになったぐらいですね。他にも訪問ができなかったケースはありますが、Zoomや電話で対応できるので影響はあまりなかったです。
 コロナの影響でZoomの活用はとても増えました。もともとオンラインでの対応も問題なかったですが、どうしてもクライアントがオンライン対応できないこともあり、やむなく訪問することはありました。
 一方、ネイルサロンの方は最初の緊急事態宣言の際には休業せざるを得ませんでした。現在も新型コロナウイルスの影響を受けていますが、2020年12月の売上は昨年同月を超える数字にまで回復しました。

■これからの目指す場所

-これからの目標は何でしょうか。

 私は50歳で引退したいなと考えているんです。コンサル業は自分で動かないと稼げないし、責任も全部自分に来るため全力で取り組みます。でも、ずっと全力でやり続けることは大変だと感じています。ブランディングなどでコンサルタントの単価を上げつつ、ネイルサロンの経営で利益を出して、50代ぐらいから好きな仕事を中心にしていきたいです。
直近は、M&Aアドバイザリー業務を始めてまだ数年なので、実績を積んでいきたいと考えています。事業承継でお困りの会社が増えていくのは間違いないので、今年はM&Aアドバイザリー業務を頑張りたいですね。

Zoomインタビューの様子

■新中小企業診断士に向けてメッセージ

-最後に新診断士に向けてのメッセージをお願いします。

 とりあえずいろいろ参加してみてください。今はリアル開催ではなく、オンラインでイベントをやっていますので、移動することなく気軽に参加することができます。せっかく城南支部に入るからにはいろいろ活動して吸収してもらいたいですね。たまに会費を払って支部に入ったが何にも役に立たなかったとやめていく人がいます。役に立たなかったのではなく、城南支部を上手く使っていないだけではないでしょうか。何かしら使おうと思えば使いみちはあるはずです。あまり受け身にならずに率先して行動してみてください。

【筆者紹介】

善福 大(ぜんぷく ひろし)
大阪府高槻市出身
2015年 人材派遣会社にて、経理・人事・総務など管理業務全般に従事
2020年 中小企業診断士登録
2020年 ICUサポート合同会社 代表

21/02/20 09:38 | 投稿者:羽田巧

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