令和4年度、城南支部で新たにスタートする「城南プログラム」。当プログラムは、「実践の城南」が持つノウハウを網羅的に学ぶことを可能とする、城南支部独自のセミナーカリキュラムである。注目度の高まる今、2部構成でお届けする特別企画。第1部では、宇野支部長と川居副支部長にプログラムの意義と展望についてお話を伺った。
目指すのは、会員一人ひとりのスキルアップと、民間に負けないコンサル集団になること! 記事では、以下のような会員の持つ疑問に答え、画期的な当プログラムの全貌をできる限り明らかにする。
――宇野支部長から、新しいセミナーカリキュラムを立ち上げたきっかけをお聞かせください。
宇野支部長:大きく3つあります。1つ目は、城南コンサル塾のノウハウを支部会員にも伝えていきたいという思いです。城南コンサル塾で教えていることは、診断士として必要なこともそうですが、自分自身が能力を発揮して、結果的に診断士の地位を向上させ、東京協会にも貢献していこうということです。城南コンサル塾は東京協会で一番古く、ブランド力はあるのですが、そのノウハウは公になることがありませんでした。しかしながら、城南プログラムを立ち上げる機会に合わせて、城南コンサル塾のカリキュラムの一部を開示した方が、会員の皆さまにとっても有用であると考えました。
2つ目が、2年に1度行っている会員アンケートによる要望です。今後支部に期待することとして、前回前々回も含め、毎回1位にあがってくるのが「スキルアップの機会の提供」でした。つまり会員も、スキルアップをずっと求めているということです。
――城南コンサル塾のノウハウを提供することにより、会員のスキルアップを図ろうとお考えになったのですね。3つ目のきっかけはなんだったのでしょう。
宇野支部長:昨今、行政や支援機関からの診断士を求めるニーズは非常に高まっています。補助金申請の需要があるからということもありますが、それ以外にも、「経営全般に係る相談は診断士にしよう」という流れができていて、いろいろな相談が協会に来ます。現状、そのニーズがかなり細分化されたり、専門家、高度化されたりしてきていて、従来の診断士のスキルだけでは対応しきれなくなっているのではと思っているのです。これが3つ目のきっかけになります。
――求められるニーズに診断士のスキルが対応できていないことがきっかけの一つということですが、対応できていないのは具体的にどのような点でしょうか?
宇野支部長:コロナ禍の中、多くの中小企業の経営が逼迫している状況にあります。3月には政府が中小企業活性化パッケージを策定して、中小企業の再生に関しては新たなフェーズに入っている。私は事業再生が専門なのですが、我々も経験したことのないような状況の中で、どうやって需要を回復させるのか、どうやってキャッシュアウトを減らすのか、それに対応する診断士の能力も桁違いに求められています。
ところが現状を見ると、例えばですがキャッシュフローを作れない診断士が案外多い。診断士の試験で勉強しているはずなのに、城南コンサル塾でも大体8割は作れません。よって、経営改善計画書も作れない。足元にも、こういうギャップがあるのですね。時代の流れによって診断士に求められるニーズが非常に高度化する一方、財務三表を作れない診断士も多い。前者にはすぐに対応することが難しくても、後者のほうの足元のスキル・ギャップについては十分埋められるものなので、そうしたギャップは城南プログラムで埋めていきたいですね。
――城南プログラムを活用することによる、支部の目指すべき姿についてお聞かせください。
宇野支部長:やはり目指すべきは、中小企業のみならず、中堅・大企業ともコミュニケーションがとれる集団になることです。今、支部には1000人くらいの会員がいらっしゃって、企業内診断士も独立診断士もいる、いろいろな業種にお勤めの方がいる、本当に多種多様なバックボーンをお持ちの方がいらっしゃる。こういう集団は、ほかの士業ではありえないです。個人的には、この人材の多様性をいかして、城南支部を有能なコンサルファームにしたいと考えています。
外資系など大手のコンサルファームでは、大卒の優秀な人たちが一から学んで、ビジネス経験なしにコンサルティングしているわけです。それが診断士というのは、企業内診断士はもちろん、独立診断士も企業にお勤めになった後に独立している方が多い。その経験の差は大きい。こうした多様性と実務経験をもってすれば、差別化を図れると思います。
――民間に負けないコンサル集団を目指すということですね。課題は何でしょうか?
宇野支部長:一方で、コンサルテーションスキルはまだまだ低いと思っています。もちろん全員がというわけではありませんが、やはり全体の底上げ、レベルアップは図っていかなくてはいけない。例えば城南支部は民間企業とも協業していますが、実際には経営に関する相談を通じたキャッチボールがうまくできていない現状がある。本来、民間の中堅・大企業と連携を深めることができれば、その先にある中小企業の支援でも、より機会が広がるはずです。
また、今までは一人一人の会員診断士の集団というだけで、業界としての力の引き出し方がすごく弱かった。今後は協会としても、中小企業、中堅・大企業を含めて支援する方向に持っていくことで、もっともっと力を発揮できる集団になると私は思っています。
――ここからは川居副支部長に伺います。副支部長は主にプログラムの運営を統括されていますが、今までのセミナーカリキュラムとの違いを教えてください。
川居副支部長:今までのカリキュラムは単年度で見ていたと思うのですが、皆さま、例えば企業内の方だったら3年後に独立したいとか、ほかにも何年後までにこれとこれをやっていこうとか、中期的なプランがあるわけです。そこに対応するために、カリキュラムの全体を俯瞰して、その中から自分に足りないスキルをチョイスできるような形にしていきたいと思っています。
――カリキュラムを俯瞰するというのは?
川居副支部長:今までは、セミナーなど何か募集があるたびに、都度受講を考えるというような感じでしたよね。そうではなく、年間のカリキュラムを全部お見せして、ある程度皆さまが計画的に手を挙げられるようにするということです。合わせて、例えばこの専門家派遣をやるにはこれとこのプログラムが重点的に必要だ、というようなことがわかるように、全体を色分けすることも今後やっていきたいと考えています。
――イメージとしては、自分で単位を選んで取得する大学のカリキュラムと似ていますね。受講資格や費用面に関してはいかがですか?
川居副支部長:受講資格というのはなく、城南支部にいらっしゃる方はどなたでも見られます。応用であっても実務であっても、自由に選んでいただくことができます。費用面は、一部初回の説明などは無料の可能性もありますが、一般的なスキルアップのためのセミナーに関しては一律2,000円で考えています。これはリアルでもアーカイブでの録画視聴でも同様です。
――次回はぜひ、城南プログラムの具体的な中身についてお話をお聞かせください。
支部長からのメッセージ動画が公開中!こちらからご覧いただけます。
<第2回は、城南プログラムの策定や運営方法についてお話を伺う。ふたつの地図を手にして作る、自分だけのロールモデルとは?>
【筆者紹介】
中村 美音(なかむら みね)
大学卒業後、総合出版社にて編集職に従事。
その後、個人事業主として主にコミック、Webの編集者、原案者として活動。
2022年 中小企業診断士登録
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