経営お役立ちコラム
会社を売却しようと思ったら!

中小企業の経営者として、「会社を売却しよう!」と決断したときに、なにをするべきなのでしょうか。専門家に相談するまでの手順をご紹介します。

 

(1)売却情報の言語化と秘密保持

「なぜ、売却するのか?他の道はないのか?」

「いつまでに売却したいのか?売却するときの条件はなにか?」

売り手側の経営者として「売却理由」、「売却期限」、「売却条件」などを明確にしておきましょう。周囲に相談した際に、「売却すること」を反対する方もいらっしゃいます。売却の目的や意図が曖昧になっていると、その反対意見に対する処理ができず、決意が揺らいでしまいます。また、最初の決断が覆ってしまうことにより、周囲は大きく振り回され、不信を買うことにもなります。

売却情報の取り扱いについても、十分に気をつけないといけません。会社売却は、「秘密保持」が重要です。さまざまな利害関係者に、「会社を売ろうと思っている」ことが伝わってしまうと、うまくいくはずだった会社売却が頓挫することがあります。

売却情報を言語化することと、秘密の保持の両面が大事ということを最初に認識しておきましょう。

 

(2)自社の棚卸し

第三者に売却するには、その過程で自社の情報を外部に公開する必要性が出てきます。

資金の流れ、取引先との契約書や口約束、少数株主、労働上の手続き、財務諸表には出てこない債務など、すべてにおいて適切に運用していれば、もちろん問題ありません。ですが、いざ外部に情報を開示しようとすると具合が悪い、というものがあると、問題を解決するための時間が必要になります。

特に、会社の歴史が古いと、数十年前のことだから、と情報がないということが多々出てきます。株主と経営者が一体化しているいわゆるオーナー企業の際には問題にならなかったことが、第三者に売却するとなると、問題として表面化し、売却するときのボトルネックになりかねません。

最初から懸念事項としてあがっていればいいのですが、悪い情報が後から出てくるとなると、買い手企業への心象も当然悪くなります。不信感から、売却の話自体が頓挫する可能性すらあります。早めに、自社の棚卸しをすることをオススメします。

 

(3)第三者への相談

ここまでのお話は、経営者ご自身で先行してやっておきたいことです。もちろん、上記の内容を含めて、専門家に相談したいケースもあるかと思いますし、早めの相談は大事です。そこで、会社売却において、「誰に相談するのか?」について、紹介します。

経営者ご自身で売却を決意し、買い手先を見つけてきて、譲渡の条件を詰めて、最終的に譲渡契約を交わすことは、M&Aの経験がない限り難しいかと思います。ですので、会社売却の実務については、「第三者承継の専門家」に相談することになります。

事業承継や第三者承継の相談相手として、最も多いのが顧問税理士になります。顧問税理士が第三者承継に強い方でしたら、1番に相談すべき相手となります。

公的な相談窓口としては、「事業引継ぎ支援センター」になります。公的な窓口ですから、相談は無料です。(具体的に売却の話が進んだ折には、仲介会社への着手金や成功報酬などの支払いが発生してきます。)

上記以外に、中小企業の会社売却の相談相手としては、第三者承継に対応できる中小企業診断士がいます。どの専門家に依頼したとしても、中小企業が第三者承継するための入り口の情報整理はしてくれます。加えて、中小企業診断士に相談した場合は、「企業診断」の過程で、会社の本質的な問題を解決するようなアプローチ、業績アップ・事業変革のポイントなども分析していきます。結果的に、第三者から高い評価をいただきやすくなります。

城南支部では、「スモールM&A研究会」という中小企業の第三者承継に特化して研究しているグループがあります。各業界の専門家・総勢30名で構成するチームです。身近に、第三者承継の専門家がいない場合は、1つの相談窓口としてご活用いただければと存じます。

 

城南支部 スモールM&A研究会

http://small-ma-jonan.cocotte.jp/

 


<<執筆者>>

田邊佑介
2005年、中小企業診断士登録。
2004年より経営コンサルタントとして活動。
営業強化の専門家として、中小企業の売上アップに貢献。
近年は、スモールM&Aのアドバイザーとして活動している。

株式会社そだてる 取締役
株式会社カンガルー 代表取締役
一般社団法人 日本M&Aファースト推進機構 代表理事

20/09/30 21:00 | カテゴリー: | 投稿者:広報部 コラム 担当

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