経営お役立ちコラム
ドリンクから見えてくる料飲店の経営改善

中小規模の料飲店経営者には、計数管理が不得意な方が多く見受けられます。
毎日の売上金額の計算はしても、費用をリアルタイムに把握していないため、
損益状況が結果論的になりがちです。

そこで、フードよりシンプルな商材である「ドリンク(アルコールを含む)」に
焦点を当てながら、料飲店の経営改善を考えてみたいと思います。

1.計数管理はドリンクから

料飲店の売上を構成する主な商材として、フードとともにドリンクが挙げられます。
また、主な費用として、原材料費(フード、ドリンク)、人件費、家賃があります。
適正な利益を確保するためには、これらFLRコスト(原材料費、人件費、家賃)を
上手にコントロールする必要があるのですが、売上ばかりに
目がいってしまう料飲店経営者が多く存在するのが現実です。

特に、原材料費のチェックを放置し続けたことで異常値の発見が遅くなり、
経営改善の目を摘んでしまうケースがあとを絶ちません。

そこで、複雑なレシピで構成されているフードではなく、レシピがシンプルな
ドリンクの原価率(対売上原材料費率)をコントロールすることによって、
計数管理へ取り組む心理的なハードルを下げることをお勧めしています。

例えば、ほとんどのドリンクメニュートップには、ビールが記載されていますが、
他のドリンクと比べて原価率が高いことを理解している経営者は多くありません。
平均すると 30%~35%の高原価率なのにです。

さらに、ビールは出数が多いメニューのひとつであることから、取組みいかんで
原価率改善に大きな効果を上げることができる特筆すべき教材といえます。

2.改善へ2つの方向性

第一に、定番ドリンクそのものを改善する方法です。
前述の通り、ビールを例にとって考えてみます。
一般的に、瓶ビールより樽生ビールの方が原価率を抑えることができますが、
無頓着に並行してオンメニューされているケースが散見されます。

並行して取り扱う場合は、価格や容量設定などによって上手に
樽生ビールへ誘導する必要があります。

また、樽生ビールについても、泡のつけ方次第でレシピが変わり、
原価率に大きな影響を与えます。

ビール:泡の割合が、7:3 に設定されているのか 8:2 なのかによって年間で
数十万円(百万円を超えることも)という利益が消失している可能性があるのです。
このことから、レシピを確立しておくことや、パート・アルバイトに対する
レシピ順守、廃棄・ロス回避の重要性を認識することができます。

第二に、原価率の高いビールからの脱却を図る方法です。
特に、「その店でしか飲めない独自性の高いドリンク」を創作することにより、
「とりあえずビール」というお客様からのオーダーを、
当店オリジナルドリンクへ適切に誘導することが肝要です。

ここでいう「独自性の高いドリンク」とは、手に入りづらい希少商品(仕入商品)を
品揃えするのではなく、唯一無二のドリンクを自ら生み出すということを指しています。
原価率を 20%前後に設定するため、訳も無くビールを提供するより、
高い利益率を確保することができます。

また、お客様の来店動機(他の店ではなく当店に来る理由)にも繋がる
オリジナル看板ドリンクを確立することができれば、来客数や客単価にも
好影響を与え、売上や利益に貢献するメニューとなります。

このように、改善の難易度がそれほど高くない「ドリンク」から計数管理の
重要性を識することをお勧めしています。

慣れてくれば、フード原価(率)や人件費などへ横展開し、
経営全般の計数管理へとモチベーションを育んでもらいたいと考えています。

松原 憲之

14/11/30 21:00 | カテゴリー: | 投稿者:広報部 コラム 担当

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