経営お役立ちコラム
ダメなコンサルタントを見分ける2つの質問

 15年程コンサルティング業界に携わっていると、時折初対面の経営者の方からこんな声をいただくことがあります。

  「コンサルタントを使ったがプロジェクトが失敗した」
  「高い報酬を前払いしたのに見合う成果が出なかった」
  「最初は高い能力と知性を感じたのに期待外れだった」

 決して安いとは言えない報酬を支払うわけですから、コンサルタントに対する不満が多少なりとも出てしまうのも当然ですし、理解できます。一方で結果を出せないコンサルタントが多過ぎるという業界全体の問題もあります。免許も資格も不要で、「名乗りさえすれば誰でもなれる」ことが原因かも知れません。今日も結果を出せないコンサルタントが、パリッとしたスーツに身を包み、◯◯専門コンサルタントと書かれた名刺を持って社長室の扉を叩いています。そのようなダメなコンサルタントを私は「ダメコン」と呼んでいます。

 さて、本コラムを読んでいる方々は、コンサルタントをどのような基準で選んでいますか。名刺に書かれている企業名や肩書でしょうか、学歴や職歴でしょうか、MBA等の保有資格でしょうか、社交性や性格でしょうか、講演実績や著書でしょうか、インターネットの口コミでしょうか。いえいえ、そのような曖昧な情報と勘を頼りに判断をしていたら、これからもダメコンを選び続けることになります。本コラムでは、提案時に2つの質問をするだけで、本物とダメコンを簡単に見分けることができる方法をお教えします。

  質問1.「成功事例は分かったので、失敗事例を教えてください」

 ダメコンは失敗事例を話すことを極端に嫌がります。「失敗なんてしたこと無いですよ」と戯けたり、「守秘義務があります。何故言わなければならないのですか」と威圧したりします。これは、失敗した際に尻尾を巻いて逃げ出したことがバレるのを恐れている表れです。経営者の方々に知っておいて欲しいことは、「コンサルティングに100%の成功は無い」という事実です。野球で10割打者がいないのは、バッティングセンターのように常に同じ環境で同じ球を打つのではなく、投手の癖、球場の状態といった様々な要素が絡むためです。コンサルティングも同様で外部環境や社内体制といった諸要因が複雑に絡み合うため、必ずしも期待通りの成果が出るとは限りません。しかし、打率を高く維持し、失敗しても最後まで真摯に対応するのが優秀な証です。失敗事例を聞かれた際も、自分が何故失敗したのか、その時どう対応したか自信をもって答えます。回答するコンサルタントの姿勢は、仕事が失敗した時の態度に他ならないと考えてください。

  <見分け方>
   『ダメコンは失敗を隠して逃げようとしますが、本物は失敗で学んだ事を御社にどう活かすかを語ります』

  質問2.「具体的に何をアウトプットしてくれますか」

 「アウトプットは報告書として最後にお渡しします」「現状分析やヒアリングをしてから決めます」と平然と言う人物はかなりの確率でダメコンです。これは「現時点では課題解決への道筋が全く見えていません」と言っている事と同義です。後から言い訳ができるように、証拠となるアウトプットを少しでも後回しにする心理も働いています。学生が夏休みの宿題を後回しにして慌てるように、締め切り間近になって低品質の報告書が出すのがダメコンです。優秀なコンサルタントは、短い会話の中から得た限られた情報からでも、仮説を立て、過去の成功実績と照らし合わせて瞬時に進め方がイメージできます。当然、進める中で必要なアウトプットは何かも具体的に提示することができます。

  <見分け方>
   『ダメコンはアウトプットも進め方も何もかも不透明ですが、本物は成功までの道のりが目に浮かびます』

 さて、2つの質問は如何だったでしょうか。今まさに契約を結ぶか迷われている経営者の方々は是非この質問を唱えて効果を試してください。

長瀬 勝好

15/09/30 21:00 | カテゴリー: | 投稿者:広報部 コラム 担当

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