日時:2023年6月2日(月)18時30分~19時15分
場所:品川区大崎1-11-1 南部労政会館 第3講義室
出席:合計16名
演題:特別講義
講師:足立秀夫 代表
内容:
1. 自己紹介
2. 事業承継の課題と現状
3. 中小のM&Aの課題と現状
4. 事業承継は容易ではない
所感:
本日は台風第2号接近のため、予定していた東京都多摩地域事業承継・引継ぎ支援センターの和田統括責任者様、大木サブマネ―ジャー様のご来場が難しくなり、急遽、前月に続き足立代表による講義に変更となった。
全ての中小企業に事業承継はいずれ起きることから、診断士1人当たり年間で支援が必要な社数は多いと類推できることが指摘された。その上で、経営者は誰に何を相談したら良いか分からないし、身近にいる税理士には適切な知見がないとの現実を教わった。診断士の事業承継における活躍の場は改めて多いと感じることができた。
その後、ケーススタディとして、以下の中小企業を題材にお話し頂いた。
都内、従業員40名の自動車の金型設計業。従業員は総務数名を除き設計技術者で営業は社長のみ。世界中の自動車メーカーと取引あり。株主は社長60%、専務(総務)30%、長男10%。少しずつ長男に移転したが、社長と長男の関係が悪化し長男が退社。社内には他に承継者になる年代の従業員はいないケース。
本来はグループディスカッションするところだが、本日は時間の制約があり実際の事態推移を披露頂いた。まずは社外から営業できる人材を採用し、社長不在でも営業活動ができるように手当てした。銀行、引継ぎセンターや商工会議所等に持込み、自動車メーカーに引き取ってもらうためのパイプ作りを狙った。しかし、多くのM&Aアドバイザリーが情報を聞きつけ、手数料狙いで押しかけてきた。社長が譲渡価格を高めに狙っていることもあり現在でも成立していない状況とのことだった。社内に後継者候補がいない場合の事業承継が一筋縄ではいかない事例として貴重なお話だった。