各種報告
事業承継実務研究会_2023年5月例会報告

日時:2023年5月12日(月)18時30分~20時00分
場所:品川区大崎1-11-1 南部労政会館 第3講義室
出席:合計14名
演題:「容易でない事業承継、M&A」
講師:足立秀夫 代表

内容:
1. 自己紹介
2. 事業承継の課題と現状
3. 中小のM&Aの課題と現状
4. 事業承継は容易ではない

所感:
本日は見学者も多かったので、冒頭、金融機関も事業承継を持ち出さない様な小規模な中小企業経営者の事業承継に対する診断士の役割は大きいとして設立した、当研究会の目的を説明頂いた。
経営者の高齢化と、それに伴う中小企業数減少が進んでいる。約380万人の中小企業経営者の内70歳以上が245万人も占め、更にその内127万人が後継者未定との現実をお聞きした。このままでは650万人の雇用と22兆円のGDPが喪失するとのことで影響の甚大さがよく理解できた。
親族内承継が難しくなり、その代わり従業員承継と社外への引継ぎ(M&A)が増えている傾向が分かった。親族外、特に従業員承継の場合は、株式の譲渡や借入金の保証がネックになるのは尤もと感じた。また、知的資産も承継対象だが、他の士業では取扱いが難しく、診断士の出番との話は目の開かれた気持ちになった。
70歳以上で後継者の決まっていない経営者は、事業承継の重要性が分かっていない。「診断士は、経営者にその重要性に気づいてもらうことが必要」との話にアプローチの仕方が見えた気がした。事業承継先によって、事業承継計画の策定・実行支援になったり、M&A支援になったり、手法が変わることも分かった。そして診断士の役割は、承継前の磨き上げや、承継後の経営改善まであり、事業承継が終わったら支援も終わり、というものではないことも理解した。
事業承継が上手くいかない理由や、解決すべき課題を知れた。そして、事業承継の「専門家」に適しているのは診断士であり、診断士がやっていく必要があることが分かった。
M&Aの実態は、仲介業者が手を出さないような小規模な案件が多いことが分かった。また、M&Aが進まない理由も説明頂いた。マッチング最大手バトンズでも成長して1,000件程度の成約で、後継者のいない経営者数からすると全く足りない現状も切実なものを感じた。同社はまた、M&Aアドバイザーの負荷が高い理由として、①案件化が大変、②相手探しが大変、③Q&A対応が大変、④条件調整が大変、を挙げていることを聞いた。M&Aに支援者として取り組むのも大変だと感じた。
最後に演習問題まで用意頂き、具体的な事例にも触れることができた。見学者も多い年度初期の例会として、事業承継の全体感を持ち、診断士としての関わり方のイメージが湧いて大変有意義だった。

23/05/12 19:11 | 投稿者:牧田和泰

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