城南エクセレントカンパニー from SEINENBU
What is normal?

株式会社ノーマル

 あなたにとって「ふつう」とは何ですか? 腕時計を通してそんな問いを世界に投げかけている企業が原宿に存在します。アメリカ出身のロス・ミクブライド氏、日本出身のまどか・ミクブライド氏、香港出身の佐藤ウィッキー氏。異なる「ふつう」を持つ三人による株式会社ノーマルでお話を伺いました。

2次元のグラフィックデザインから3次元の時計デザインへ

―現在の事業内容について教えてください。

 「normal」ブランドの腕時計の企画・デザイン・販売を主力の事業として手掛けています。
 腕時計はそれぞれ特徴的なシリーズをいくつか展開しています。特にExtra Normalは、初めて手掛けた腕時計のシリーズで、色や素材、大きさなどを変えながら10年以上販売を続けるロングセラーとなっています。
 また、「normal」とは別に、色遣いや使用感にこだわりを持ったレザー小物の「ECRU SHADE」ブランドを立ち上げ、この5月からネックポシェットの販売を開始しました。北欧から輸入した上質なレザーを日本国内の職人に仕立ててもらっています。顔料インクで染めた繊細な発色が特徴です。

注)「normal」(小文字):ブランド名を表す時に使用。「Normal」(頭文字大文字):商品名を表す時に使用。


社長のロス・ミクブライド氏(左)、副社長のまどか・ミクブライド氏(右)
まどか・ミクブライド氏の使用しているネックポシェットが「ECRU SHADE」の製品

―起業の経緯を教えてください。

 もともと、代表取締役のロス・ミクブライドはグラフィックデザイン等を手がけており、デザイン事務所を興したのが始まりです。その中で、クライアントのアイディアを具現化するためのデザインから、自分のものづくりを始めたい、2次元の紙のグラフィックから3次元の立体へ挑戦したいという気持ちから、時計などのデザインを始めました。

―腕時計のブランドと社名が「normal」となっていますが、どういった背景があるのですか?

 「normal= ふつう」とは、簡単に考えることもできますが、突き詰めると各人によって異なり哲学的です。会社を設立した90年代初頭は、世の中でデザインといえば、尖ったもの、変わったものが主流でした。そこに対して、「What is normal?」という問いを投げかけたのが始まりです。

デザインを実現するためのこだわり

―normalを実現する製品の開発に苦労はありましたか?

 最初のシリーズであるExtra Normalでは、短針の代わりにスリットの入ったディスクが動き、スリットからディスクの下の文字盤から時刻の数字が見えるという仕掛けがあります。針よりも重いディスクを回すため、ムーブメントも通常よりもパワフルなものを使うなど、自身のデザインを具現化できる業者さんと試行錯誤を繰り返しながら商品化に成功しました。


スリットの入ったディスクが動くことで、
時刻の数字が見える仕掛けが施されたExtra Normal

―新ブランド「ECRU SHADE」でのこだわりはどのようなものでしょうか?

 このブランドにおいては、自然で柔らかい色合いに特にこだわりを持ったデザインを行なっています。これを実現するのは簡単でなく、ヨーロッパから良質の革を仕入れ、その革に合うようなコバ(革の切り口)の色も独自に調合しています。他にも、ファスナーの開け心地や、ネックポシェット内側の革のエイジングにまでこだわり、世界各国から選び抜いた素材を用いてこれらを実現しました。

中小企業の味方=中小企業診断士との二人三脚

―事業展開にあたっては、中小企業診断士の支援を受けられていると伺いましたが、経緯と支援内容を教えてください。

 地元の信用金庫から融資を受けた際、紹介していただきました。当時は海外への販路開拓に力を入れており、中国向けECサイト構築とフランスでの展示会出展のために補助金を申請したく、相談したことがきっかけです。補助金申請のために事業計画を策定する必要があったのですが、診断士から添削などのアドバイスを受けて自力で作成することができました。事業計画の策定を通じて、自社の現状や方向性を深く考えるきっかけになり、方針が明確になりました。

―今までの支援の中で特に印象的であった事柄について教えてください。

 クラウドファンディングを活用した資金調達の実施に対する支援です。これまでは、新製品を発売する際に、その需要量を予測する手段がなく、一定量を見込みで生産する必要があり、そのための資金調達が課題でした。そこで、資金調達や事前予約による需要予測を目的にクラウドファンディングの活用をすることにしました。活用にあたっては診断士と一緒に取り組み、その結果、多くの事前予約により、目標を大きく上回る資金調達ができました。これに加え、事前予約者からは仕様についてのアイディアやご意見をいただき、製品改良やマーケティング面でもクラウドファンディングの効果があることを実感しました。

鮮明で美しい数字を強調することに注力し、
クラウドファンディングで目標を大幅に上回る資金を集めた「Tokiji」

―現在ではどのような支援を受けていますか?

 マーケティングや財務も含めて経営全体について支援を受けています。私たちはデザイナーということもあって、ものづくりは得意なのですが、財務など会社の基礎をなす知識が足りないことに対しての不安を語ったところ、「経営者は皆さん、商品やサービスなどやりたいことから始めるのです。最初から財務が得意な経営者なんて少ないですよ」とおっしゃっていただき、とても安心しました。診断士の支援は実務的な面に加え、精神的にも支えになっていると感じています。

世界のより多くの人々に自分たちを知ってもらいたい

―今後の事業展開について教えてください

 腕時計事業では、国内外のクラウドファンディングを活用し、新製品の開発と販売を進めていきたいと考えています。また、ハイブリッド腕時計や自動巻といった、現在の自社製品よりも機能やラグジュアリー性を高めた高級製品の構想もあります。ハイブリッド腕時計とは、スマートウォッチが持つようなデジタル機能の一部を、通常の腕時計に付加したものです。こうした製品の実現は、たくさんの課題がありますが、協業相手を見つけて展開できればと考えています。
 レザー小物事業については、他社のジュエリーブランドとコラボでの展示会の開催などを通じて本格的に販売を開始しています。

―今後の夢を教えていただけますか。

 販売が実店舗からオンラインにシフトしているという実感があり、今までに準備してきたオンライン販売体制を強化することで、腕時計やレザー製品を積極的にアピールする予定です。そして、世界中のより多くの方に自社の製品を知っていただければと思うと同時に、「ふつう」を考えるきっかけになっていただきたいと考えています。


デザインについては、お互いにイーブンな関係で語り合うというお二人

取材:令和元年9月3日
インタビュアー:島田 圭規、福岡 誠之


▼企業基本情報
会社名 株式会社ノーマル
代表者 代表取締役 ロス・ミクブライド
所在地 東京都渋谷区神宮前2-28-5
WEBサイト https://normaltimepieces.com/ja/(normal 腕時計)
        https:// www.ecrushade.com/(ECRU SHADE レザー小物)

19/10/23 23:51 | カテゴリー: | 投稿者:羽田巧

このページの先頭へ戻る