ケニアの人々の経済的自立を実現したいという強い想いから、ケニア産のバラを直輸入し、500本のバラから販売をスタート。ケニア産のバラは生命力が高く、品質も高い。そんな高品質のバラをお客様にタイムリーに提供するため、店舗販売に力を入れる。接客では個々のお客様との会話を重視し、バラを選ぶ過程も楽しめる点も特徴のひとつである。徐々に各種メディアでも取り上げられており、知名度も向上し話題を集めている。
写真1.アフリカローズ六本木ヒルズ店にて(右から2番目が代表の萩生田様)
-御社の事業内容を教えていただけますか。
ケニアのバラを直輸入して販売する、「アフリカローズ」という店を経営しています。現在、広尾本店と六本木ヒルズ店の2店舗を構えています。ケニアのバラは生命力があり、たくましく、力強いです。現地の人々が誇りを持っているプロダクトをお客様に届けることで、バラのあるライフスタイルを提案しています。
-起業に至った背景、経緯を教えていただけますか。
ケニアへの留学経験で、「援助慣れ」をした現地の人々を目にしました。何とか彼らが貧困のスパイラルを抜け出し、雇用をつくって経済的自立を実現できるよう、起業しました。私は草月流華道の師範を持っているのですが、ケニア産のバラを初めて目にしたとき、生命力・たくましさ・力強さがあると感じました。ケニアの人々は、バラを誇るべきプロダクトと胸を張っています。コーヒーやお茶よりも現地の収入が高いバラを輸入・販売することで、現地の雇用を増やし、学校に通える子どもを増やす。このようなサステナブル(持続可能)な方法で、現地の経済的自立を実現したいと思っています。
-御社は当初、どのような事業からスタートされたのですか。
代々木公園のイベントで2日間販売したのが事業の開始です。特に採算性は意識せず2,500本のバラを輸入しました。そのため2日間で完売できず、売れ残ったバラは泣く泣く廃棄することになってしまいました。もう廃棄はしたくないと強く思い、必要数だけ仕入れて販売するインターネット上の予約販売でスタートすることにしました。母の日や誕生日などの贈答用に予約を受け付け、必要数を輸入し、お客様にお届けする、という流れです。
-今では路面店も展開されていますが、どのような経緯で出店されたのですか。
次第に、お客様から「今日買って帰りたい」、「実物を見て、自分で選んで購入したい」などの声をいただくようになりました。お客様と直接会話をしながらバラを一緒に選び、タイムリーに提供できるようにするためには、路面店の出店が必要だと考えるようになったのです。
写真3.接客をする萩生田氏
-出店を実行したのは、勇気がいることだったのではないでしょうか。
実は、マザーハウスの副社長である山崎さんが登壇したビジネスセミナーに聴講者として参加したときに、懇親会でお話したのがきっかけです。マザーハウス創業者である山口絵理子さんは私と同い年の女性起業家で、私よりも早く創業している、起業家として先輩です。日本でのマーケティングや財務面は副社長である山崎さんが担っていると耳にしていました。そのため、山崎さんから出店や店舗運営についてアドバイスをもらいたいと思っていました。そんな折、アドバイスをいただける機会があり、お願いしたところ、路面店出店への後押しをいただいたのです。現在でも、山崎さんには定期的にアフリカローズの経営状況を報告しに行っています。
-六本木ヒルズにも出店されました。出店の経緯を聞かせてください。
実はいろいろありました。当時、プライベートでも環境の変化があり、仕事も以前のようなスピード感で進められなくなっていました。事業に対して貢献できる時間が減ってしまったことで、他の誰かに経営を譲った方が良いのではないか、とも考えました。しかし原点を思い出し、自分にできることを少しずつでもいいから進めよう、それがサステナブルな企業の在り方だと決意を新たにしたその翌日に、六本木ヒルズの出店の話が舞い込んできました。これは掴むしかないチャンスだと思いました。
-中小企業診断士の支援を受けられたことがあると伺いましたが、経緯と支援内容を教えてください。
ある金融機関から、東京都が推奨している、無料で診断士の支援を受けられるサービスを紹介され、試しに支援していただくことにしました。最初の支援は商品カテゴリー毎の採算の見える化です。その他、出店計画・商品販売計画などの細かい計画作成などを補ってくださって感謝しています。
東京都が推奨するプログラムが終了した後も、継続して診断士の方にサポートを行っていただいています。六本木ヒルズへの出店の際、資料作成や出店計画作成を支援いただきました。コンペ当日は、励ましのメールをいただき、随分と力をいただきました。専門的な支援だけでなく、精神面の支えにもなりました。
-今後の展望を教えてください。
ケニアの雇用を増やすため、引き続きケニアのバラの輸入販売を行うことで、経済的な自立を実現させていきます。具体的には、3年後には3店舗目を出店、8年後には上場を実現させたいと思っています。そうすることで、ケニアで楽しく働ける人や、安心して学校に通える子どもたちの数を飛躍的に伸ばしていきます。そのためにも、各種メディアへの露出の機会を大事にしています。中小企業診断士の方を経由して講演者として登壇する機会をいただくこともあります。ケニア産のバラを広く知っていただくためにも、メディアへの露出を進めていきたいので、このような講演のお話をくださることには感謝しています。
-読者の皆さんにメッセージをいただけますか。
家庭円満の秘訣は一輪のバラから始まります。大事なのはバラを渡すときの一言です。「いつもありがとう」という一言がコミュニケーションを良くします。日頃、なかなかそういった感謝の言葉を伝えていない方が多いのではないでしょうか。旦那様や奥様に、そのような言葉をかけてもらったら、幸せですよね。バラを選んでいる時間は、プレゼントする相手のことを考えます。「選んでいる時間、自分のことを考えてくれていたんだな」と思うと、もらう方も嬉しくなりますよね。ぜひ、バラをプレゼントしてみてください。
-ありがとうございました。早速購入して帰ろうと思います。
取材:令和元年6月30日
インタビュアー 冨坂 明代、堀 正仁
▼企業基本情報
会社名 株式会社Asante
代表者 代表取締役社長 萩生田 愛
所在地 〒150-0012 東京都渋谷区広尾5-18-8
WEBサイト https://afrikarose.com/