各種報告
並木政之副支部長に聞く~定年後に“意義”ある人生の過ごし方

 来たる城南博覧会(2020/11/14開催)に向けた特別編として、城南支部の幹部の方々を連載で紹介していく。
 今回は、広報部、国際部担当の並木政之副支部長に、企業内診断士としての長年の活動や最近独立された経緯、副支部長としての思いなどをお届けする。

■SE35歳定年説への挑戦…“差別化”求めて診断士に…

 並木政之副支部長(以下副支部長)は大学卒業後、電子機器メーカーで生産管理に携わってきた。しかし、34歳のときに工場が移転することになり、転勤が難しかったため、大手情報サービス会社にシステムエンジニア(SE)として転職した。しかし、当時のSEには” 35歳定年説”があり、副支部長は子供を抱えながらプログラミングで生活していくことに不安を覚えるようになった。ITの世界では、経営に近い上流の業務のほうが、より付加価値を高められ、替りのきかない存在になれる。そこで、“コンサルティングもできるSE”で差別化を図ることを目指し5回の受験を経て苦労しながら中小企業診断士資格を取得した。
 その後約20年間、副支部長はコンサルティングもできるSE、企業内診断士として、システム企画構想、要件定義などを得意分野として活躍をしてきた。また、診断士協会の活動のほか、東京商工会議所などでのロジカルシンキングセミナーによる人材育成にも携わり、幅広く活動をしてきた。
 副支部長は、差別化により活躍の場が拡がったと述懐しているが、差別化はすべての診断士が意識していくべきものだと考えている。

■「将棋」と「マラソン」から得たものは?

 副支部長は、20歳のときにアマ将棋三段を取得した棋士である。今はあまり対局の時間がなく、老後の楽しみにとっているそうだが、将棋で培われたロジカルシンキングの力が、ITシステム企画開発などにつながっているのだろう。
 また、50歳頃からマラソンを始め、毎朝10キロ走っている。マラソン大会にも頻繁に参加し、ピーク時は沖縄や京都など全国各地を飛び回り毎週フルマラソンをしていた。最近は、スピードを追い求めるのをやめ、楽しみながら走れる仮装マラソンが多く、ワンピースのルフィーや、るろけん(るろうに剣心)などの格好をして楽しんでいる。
始めた理由について、「苦しくやめたいと思うことはある。しかし、耐えてゴールしたときの達成感はなにものにも代え難い。」と話す。このネバーギブアップの精神は、仕事にも生かされている。
           

■“優しく易しく”そして“クイックレスポンス”

 副支部長には、仕事をするにあたってモットーがある。“優しく易しく”だ。
 システム構築やロジカルシンキングなど理論系の仕事をしていると、どうしても理屈っぽく、固い感じに思われやすい。そこで、相手の感情を踏まえながら“優しく”、専門的な内容も噛み砕いて“易しく”、話すことを心がけている。
 また、副支部長のメールの署名の上には★あなたへクイックレスポンス!★と記されているが、“クイックレスポンス”にも努めている。
 実際、今回のインタビューで副支部長と何回かやり取りをしたが、メールの返事は速く、インタビューでも、私の理解状況を踏まえながら丁寧にわかりやすくお話してくださった。
  

■定年後 意義ある人生とは・・・

 副支部長は、定年退職を機に、2019年「並木コンサルティングオフィス」を設立し独立。“経営とITを橋渡しするコンサルタント”として、中小中堅企業のIT化支援、IT人材の育成などを中心に活動している。以前勤務していた会社で担当していたクライアントから代わりのきかない存在として引き続きITコンサルの業務委託を受けることもでき、順調なスタートをきった。
 副支部長は、自身のように、定年近くまで企業内診断士でいて、定年前後に独立するパターンがこれからより増えていくのではないかと予想する。そのような人たちを対象に本でも書きたいと思っているそうだ。企業内診断士は気負う必要はなく、本業に注力しながら、診断士協会の活動などで、人脈を広げ、自身のパーソナリティを知ってもらい、退職して独立したときに花開くように準備していくことが重要だと考える。
 副支部長のこれからの活動方針は、“半官半民”だ。公的機関の仕事は企業から喜ばれるものであり大事にしたい。一方、自分の価値を高め、意義のある人生にしていきたいと考えている。そのため、民間での仕事で単価を高くとれるよう日々精進するつもりだ。

■“実践の城南”のため奔走~支部を支える側も経験して欲しい

 副支部長は、支部長と各部をつなぎながら、PDCAが回っているかをみている。また、“実践の城南”のため、支部員の仕事をより増やしたいと思っており、「顧客開拓プロジェクト」を中心となって推進している。プロジェクトメンバーの新規顧客開拓のモチベーションを高めるため、受注額の20%をメンバーが得られるようにするなど工夫をしているが、支部としてのコンサルタント業務の品質保証の仕組みの構築など課題もあり、奮闘中だ。
 また、支部の活動は、各部員やサポーターのボランティアにより支えられているが、支部員の皆様には、ぜひ支部活動に参加し、支える側も経験していただきたいと願っている。それにより、活動の意義や外からはなかなか見えない苦労や課題を知ることができ、より充実した支部活動につながるものと確信している。

 副支部長とはこのインタビューが初対面だったが、マラソンで鍛えた精悍な姿で、きびきびと論理的に話をされる一方、仮装マラソンを楽しむなどお茶目な面をお持ちで、そのコントラストが印象的だった。色々なお話を伺い、本企画なども通じ幹部の思いを支部員皆が共有し、支部活動を盛り上げていくことが重要だと感じた。

【筆者紹介】

上野透(うえのとおる)
2019年中小企業診断士登録。東京大学法学部卒業後、通商産業省(現経済産業省)入省。省内各部局、OECD、長崎大学等で中小企業支援、地域振興、産業振興等の政策の企画立案、実施、研究等に従事し、本年7月退職。

20/10/27 18:00 | 投稿者:羽田巧

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