各種報告
ナゾの難関資格「第1級陸上無線技術士」を持つ松副支部長に聞く診断士の楽しみ方

 来たる城南博覧会(2020/11/14開催)に向けた特別編として、城南支部の幹部の人となりを連載で紹介している。今回は、会員部・青年部を担当する、松美奈子副支部長の素顔をお届けする。

 松副支部長(以下、副支部長)のプロフィールを見て、筆者が最も気になったのは “第1級陸上無線技術士”という資格である。「なぜ診断士が!?」という素朴な疑問や、「コロナ時代に求められる診断士とは?」などについて伺った。

■ナゾの難関資格“第1級陸上無線技術士”と” 診断士”で二足の草鞋

-“第1級陸上無線技術士”とはどのような資格でしょうか?

 放送や通信は電波法で厳しく規制されており、有資格者のみが業務用無線設備の開設を申請できます。その中でも“第1級陸上無線技術士”は最上位の難関資格と言われています。診断士と仕事の関連性はないものの、無線基地局の新設・改修はなくならないので、この資格を活かして仕事をするケースも多いです。

-資格を取得した経緯についてお聞かせください

就職した会社が、放送建築を専門としていたため、この資格自体は身近なもので、、いつかトライしてみようとは思っていました。平成27年に実施された試験を受験して合格しましたが、最も苦労したのが忘れているルートやログの計算問題、というかなり奇妙な受験勉強でした。というのも多くの事項は試験対策資料を使った「丸暗記」だったので。私はもともと完全な文系人間なので、今でも恥ずかしながら電波に関する本質的な知見があるわけではないんです。しかし合格後に名刺やメールの署名欄に資格名を記載すると、先輩からの扱いが結構変わりました。” 別の世界のすごい人”と勘違い?されるので得しています。

■勧められるまま就職~そして“診断士”

-診断士になった経緯についてお聞かせください

 大学の先生に勧められて、前述の放送建築の会社に事務職として入社しました。10年くらい特に大きな転機もなく、これでいいのかと思い始めたとき、簿記の資格を取得したことで勉強が面白くなりました。診断士資格を取ろうと思ったのは「ちょっとニッチな資格を取得しておいたらいいんじゃない」と知人に勧められたというあまりカッコよくない理由からです。仕事の後、ドトールとかファミレスとかに行って12時くらいまで勉強し、帰宅して自分へのご褒美に晩酌する生活を続けました。さすがに試験前は我慢しましたが…

-どのように仕事を広げていかれたのでしょうか?

 声をかけてもらった仕事は断らずに何でも受けるようにしました。経験を積むうちに、自分も楽しく、相手にも楽しんでいただけるようにセッションすることに喜びを見出し、同時に商工会や商工会議所など、診断士と事業者の間に入る商工団体の方から「松さんに依頼すると穏便に事が進む」「松さんにお願いすれば大丈夫」と思って頂けるようになったことで、紹介が増え、ネットワークが広がったようです。診断士の仕事がますます楽しくなり、診断士5年目に独立開業しました。

■城南支部の活動は”遊び”!

-支部活動を始めるきっかけについてお聞かせください

 支部活動のスタートは会員部です。診断士2年目に参加したイベント(東京協会主催のスプリングフォーラム)で、勇気を出して城南支部のブースで「文化祭実行委員みたいな仕事が大好き」と当時の会員部長にお声がけしたところ、ところ、数週間後に「会員部に入らないか」とのお誘いの電話をいただきました。とても光栄で嬉しかったことを覚えています。最初は周囲の先生方がみな怜悧でクールな人に見えて緊張し続けていましたが、会員部でイベンを企画したりそのイベントに参加するうちに次第に馴染み、自分の居場所を見つけ、さまざまな専門分野を持つ優秀な診断士と交流することに楽しさを感じはじめました。先輩・後輩に会いたくて部会に出席し、先輩・後輩と話したくて宴会には必ず居残っていた感じです。

-青年部の初代部長だそうですね

 2016年、青年部の立ち上げと同時に部長になりました。そういえば現在イベントなどで使用している「実践の城南」の団旗は実は青年部が初年度に手掛けた作品です!青年部では「城南キャラバン」を立ち上げて気軽な飲み会を企画したり、あちこちに遊びに行ったりもしました。もちろんセミナーの企画・運営も堅実な部員に担当いただきましたが、それまでかなり硬派だった城南支部で「遊び」の要素を拡大したのがひとつの実績だと思っています。現在は2代目の木下部長になり、青年部は硬軟取り混ぜた企画でますます元気になっています。東京協会の中で、「城南の青年部が面白いらしい」という言われ方をするとなかなか鼻が高い。鼻の穴が広がる感じです(笑)。

(青年部が作成した団旗は支部の様々な活動の際に登場します)


(会員部主催の高尾山登山では一般登山客の注目を浴びました)


(飲み会でも会場到着と同時にいそいそと設置される団旗)


(ここでも飲み会で活躍する団旗)

-現在はどのような活動をされているのでしょうか?

 支部行事参加促進プロジェクトのリーダーを務めています。中でも、今年始めた一年目の会員をサポートするチューター制度が好評です。せっかく城南支部に入会したのだから、支部のうまみを存分に知ってもらいたい、支部の使い方を見つけてもらいたいと思います。私にとって、全てが遊び、とは言いませんが、支部での活動の多くは楽しいからやっている感じです。皆さんにも「業務」に縛られない場でまずは“遊び”を自ら作り、“楽しみ”を生み出す場を体験してもらいたいと思っています。

 余談ですがコロナの影響で4月くらいからまったく飲み会ができていません。もう寂しくて寂しくて寂しくて。すべての会員に飲酒を強要する気は毛頭ありませんが、私は会合後の飲み会で輝くタイプです(断言)。と同時に多くの会員と語り合える場が本当に好きなので、それができないのがすごいストレスになっています。城南支部に何故居るのかというと、宴会が楽しいからといっても過言ではなく、お酒を飲みながら人柄に触れ、信頼関係ができてグループワークが物凄いクオリティになる経験を何度もしてきました。酒をのんだからなんぼという話ではないけれど、今はそういう場が皆無になっているのが残念です。人となりに触れる手段がほしいです。

■モットーは、押し付けない、敬意を失わない、自分が楽しむ

-仕事のスタイルについてお聞かせください

 事業者のやりたいことを聞いて、客観的に整理します。間違っていれば、どこを軌道修正すべきなのか自分で見つけてもらいます。決してこちらの考えを押し付けないように努めています。いっぽう事業者は、自分の思いをこちらに伝えることで満足感を得、その結果自分の考えを言語化して整理することができる。そうやってコミュニケーションを重視しながらコンサルティングするのが得意です。

-大事にしている点を聞かせください

 事業者が自分でひとつひとつ積み上げてきたものを否定せず、敬意を失わず、一人の人間として尊重することが大事だと考えています。もちろんさまざまなパーソナリティがあるため、事業者と私の考え方が最初から完全に一致することはまずないのが普通ですが、どのような方が相手でも、相手を尊重してヒアリングを重ね、その思考のプロセスを理解できればヒットするポイントは必ず見出せると思っています。

-今後についてはいかがでしょうか?

 入会してからそこそこの年数が経過しており、自分より若い会員の比率も相当上がってきました。なので10年前の自分を忘れないようにしたいです。歳をとると上から目線になりがちなので。特に少しずつ増加している若手の女性会員にはこれまでにないタイプのスキルやパワーを持った方がたくさんいる。こういう人たちの熱気にいつまでも触れていたいなあと思います。若手に迷惑をかけない範囲ではありますが、まだまだ長~く支部活動を楽しんでいきたいと思っています。

■コロナ時代に求められる診断士とは?

-「コロナ時代に求められる診断士」についてどのようにお考えでしょうか?

 環境に順応できない診断士に存在意義はないと思います。日々変わりゆく社会環境の中で、相対的に一番正しい答えを判断できる座標軸が必要です。そのために情報収集をする必要があるし、自分の考えに固執せず、社会が求めるものはどこにあるのかを探し続ける必要があると思います。また、診断士の世界や取引先とのコミュニティの中だけに閉じこもってしまうのも良くないと思います。「自分の置かれている環境に一定のバイアスがかかっている」と自覚してその環境を受け入れる分には構わないのですが、自分でそのバイアスに気づくのは非常に難しい。ですので前述の情報収集によって常に「目を覚まし」続ける必要があると思います。

 10年前に東日本大震災でインフラが崩壊し、今度は新型コロナウィルス感染症の拡大で労働環境が大きく変化した。10年くらいで大きく環境が変わります。コロナ禍もいずれは一定程度収束すると思われますが、今回の教訓を忘れてはいけないと思います。次に何が起こり得るか、診断士としてどういう立ち位置で次の問題に対応できるかというのは考えておきたい。必ずまた経済的な危機が訪れるでしょう。事業者がその都度リアルに危機に直面し、どうしてよいか分からなくなっている瞬間、状況を鳥瞰してモニタリングし、情報提供できる力が必要になるのではないでしょうか。

■インタビューを終えて


 副支部長の印象を一言でいうと“自然体”。仕事にしても、支部活動にしても、「自分が楽しいからやっている。楽しくなければ続かないし、相手を楽しませることもできない」という点で首尾一貫している。また、「上から目線にならない」「自分の考えに固執しない」「バイアスをかけない」など、バランス感覚を大事にしている点も印象的だった。それでは最後に、城南支部会員、入会を検討している診断士に向けて、副支部長のメッセージで締め括る。

 診断協会は楽しい組織です。だから楽しんで欲しいと思います。私は15年在籍していても楽しいし、まだまだ知らないこと、わからないことがある。ということはまだまだ楽しめるということだと思っています。また城南支部の良さは、人の質の良さだと思っていて、特に、プロジェクトをやったりイベントをやったりしたときに、参加した人たちの動きの良さを身に染みて感じています。。さまざまなスキルや経験を持った、個人としての高い資質を持った人たちが集まり、その場にすごいパワーが集まって爆発的なアウトプットが生まれる。そういう体験を楽しんでもらい “すげえこの組織”というのを感じてもらいたいです。企業と違い、完全な統制がとれているわけでもない、規律がとれているわけでもない、みんな好き勝手やっているのにクオリティが高い。それを是非味わって下さい。そしてやりたいことがあれば声をかけて下さい。今だから言えますが、執行部のオジさんオバさんには気が付かないこともあると思います。ですので是非積極的に絡みに来て下さい。あと、顔が見える関係になるやすかさず無茶振りするかもしれませんが、NGの時は無理せず、できる範囲で長くお付き合い下さい。


【筆者紹介】

間部 恭介(まべ きょうすけ)
宮崎県出身
1997年 京都大学卒業、エレベーターメーカーに入社
2019年 診断士登録、城南コンサル塾15期生
現在はシステム会社に勤務する企業内診断士

20/11/06 18:00 | 投稿者:羽田巧

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