経営お役立ちコラム
Withコロナ時代に求められる従業員エンゲージメント

 新型コロナウィルス感染症は、日常の生活のあり方、働き方に大きな影響を与えました。2020年11月上旬時点で、春先に比べると落ち着いてきたとはいえ、まだまだ予断を許さない状況です。長期的には収束することが予測されますが、テレワークなどの働き方改革の推進はコロナ収束後も重要な課題となるでしょう。そこで今回は、「エンゲージメント」に着目し、Withコロナ時代の会社と従業員の関係性を考えます。

1.働き方の変化による効果と課題

 新型コロナウィルス感染症の影響で、働き方は大きく変化しました。テレワークの浸透をはじめ、時差出勤や輪番出勤なども当たり前になってきました。特に話題が集まったテレワークに着目すると、厚生労働省の「テレワーク総合ポータルサイト」には、テレワークの効果として「業務生産性向上」「新規雇用・離職防止」「社員のワーク・ライフ・バランス向上」「コスト削減/節電」「事業継続性確保(BCP対策)」の5つが挙げられています。https://telework.mhlw.go.jp/effect/

 このようなメリットのあるテレワークですが、日常的に従業員同士が直接顔を合わせなくなることによる弊害もあります。コミュニケーションや交流の機会が減る、リフレッシュする機会が減りストレスが溜まるなどにより、中長期的な退職リスクが高まり、かえって生産性低下するリスクも増えるのです。時差出勤や輪番出勤なども、同様のリスクを抱えているといえるでしょう。では、そうしたリスクを低減するにはどうしたらいいのでしょう? そこで、注目されているのが「エンゲージメント」なのです。

2.なぜWithコロナ時代にエンゲージメントが注目されるのか

 「エンゲージメント」という言葉を聞いて、エンゲージリングを思い浮かべた方も多いのではないでしょうか。エンゲージには婚約という意味のほか、約束、契約、雇用といった意味があります。ビジネスの世界では、もともとは顧客との信頼関係をもとに購買に繋げるという意味のマーケティング用語として使われてきましたが、現在では人事やSNS関連など、より幅広い分野でも活用されています。

 人事分野における「エンゲージメント」の概念では、単に従業員の「満足度」を上げるだけでなく、「愛着心」に注目します。愛着心を持った従業員が増えれば、企業は優秀な人材の離職を防ぐことができ、組織力を強化できるという考え方です。こうした背景には、人材の流動化が進んだことで、企業と従業員の新たな関係性が必要性になったことにあります。テレワークの機会が増え、企業と従業員の関係が希薄になりがちなWithコロナ時代において、「エンゲージメント」の重要度はますます高まっているのです。

3.エンゲージメントを高めるためのQ12

 では、エンゲージメントを高めるにはどのようにしたらいいのでしょう。米国のギャラップ社は、全世界1300万人のビジネスパーソンを調査し、エンゲージメントを測定するための12の質問を導き出しました。「Q12(キュー・トゥエルブ)」と呼ばれるそれらの質問をご紹介しますので、エンゲージメント向上の参考にしてください。

【Q12(キュー・トゥエルブ)】

Q1 私は仕事の上で、自分が何を期待されているかがわかっている。
Q2 私は自分の仕事を正確に遂行するために必要な設備や資源を持っている。
Q3 私は仕事をする上で、自分の最も得意とすることを行う機会を毎日持っている。
Q4 最近一週間で、良い仕事をしていることを褒められたり、認められたりした。
Q5 上司または職場の誰かは、自分を一人の人間として気遣ってくれている。
Q6 仕事上で、自分の成長を励ましてくれる人がいる。
Q7 仕事上で、自分の意見が考慮されているように思える。
Q8 自分の会社の使命/目標は、自分の仕事を重要なものと感じさせてくれる。
Q9 自分の同僚は、質の高い仕事をすることに専念している。
Q10 仕事上で、誰か最高の友人と呼べる人がいる。
Q11 この半年の間に、職場の誰かが自分の進歩について、自分に話してくれた。
Q12 私はこの一年の間に、仕事上で学び、成長する機会を持った。


<<執筆者>>


猪瀬 記利(いのせ のりとし)

2015年 中小企業診断士 登録
株式会社リクルートをはじめ、就職・転職関連の企業に長年勤めた後、2017年に独立。研修・セミナー講師を中心に組織・人事面から企業の成長を支援している。

中小企業診断士
ギャラップ認定ストレングスコーチ
7つの習慣®実践ファシリテーター
NLPプラクティショナー

20/11/30 21:00 | カテゴリー:,  | 投稿者:広報部 コラム 担当

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