1.BCPとは?
「BCP(事業継続計画)」の策定とは、災害などの緊急時に行うべき行動や、
緊急時に備えて平常時に行うべき行動をあらかじめ整理し取り決めておくことです。
単なる災害対策ではなく、被災後に事業をどう継続させるかについての計画です。
たとえば、緊急事態に遭遇した時に、社長は適切な対応がとれるかもしれません。
しかし、社長が指示をだせない状況になったときに企業として対応がとれる
でしょうか? BCPは、企業のボトルネックを解消しようとする取り組みでもあり、
通常期の経営で考えるべき項目のひとつです。
ただ、起こるかどうかはっきりしないものに対しての計画となるため、
まずは身の丈にあった実現可能なBCPを策定し、それを積み重ねて行くと
よいでしょう。資金を必要とする対策ばかりがBCPではありません。
2.BCP策定のメリット
BCPを策定すると以下のようなメリットがあります。
(1)自社の経営管理を再確認できる
自社の製品がどのように動き、どのように顧客に納品されているかなどの実態を
把握しないとBCPは作成できません。そしてこの実態を従業員全体で共有できます。
(2)防災に関する融資や保険の優遇が得られる場合がある
たとえば、日本公庫などには防災施設整備融資制度(BCP融資)があります。
(貸付限度額7億2000万円、貸付期間20年以内(内据置期間2年以内))
(3)取引先や外注からの信用を高められ、中長期的な業績の向上が期待できる
BCPの実施は、取引先や外注に対して安心感を高められます。
また、企業体としての危機管理能力の向上は、企業の成長力を高めるはずです。
3.BCP立案のガイド
それでは、具体的には何から始めればよいでしょうか?
中小企業庁からBCP作成についてのガイドが発行されています。
わかりやすく入門・基本・中級・上級の4つのコースに分けて説明されています。
URL: http://www.chusho.meti.go.jp/bcp/index.html
BCPをまだ策定していなければ、1~2時間でできる入門コースがおすすめです。
以下の様式を埋めるだけという簡単なものです。具体的にご紹介しますので是非、
始めてみてください。
様式1.BCPの基本方針
目標についてはあらかじめサンプルが記載されていますのでこれを修正します。
基本方針も「人命の安全を守る」、「自社の経営を維持する」などの5項目は
すでに記載されているので、選択・追記します。
優先的に復旧させる重要商品をまず一つ選択します。
様式2.被害想定
震度5以上の大規模地震で想定される影響が記載済みなので
まずこれで考えます。
様式3.重要商品提供のための対策
人・物・金・情報・その他の経営資源に対しての代表的な事前対策が
あらかじめ記載されています。実施済であればその対策を、
そうでなければ対策を立案し、
「誰が」、「いつ」までにやるのかを追記します。
様式4.緊急時の体制
緊急時の統括責任者と代替責任者2名を記載します。
様式5.BCPの運用
BCPの定着のための教育計画として「誰が」、「何を」、「いつ」または
「どのくらいの頻度」で行うかを記載します(年1回以上)。
また、BCPの見直しの基準を明記します。こちらもあらかじめ
いくつかの例が記載されていますので追記します。
井上 裕之