経営お役立ちコラム
電力量の削減にむけた補助金制度について

(1)はじめに

中小企業等の、電力会社との契約が高圧小口電力需要家に対して、
電力需要抑制の取り組みを促進するために、エネルギー管理
システム(BEMS)導入促進事業費補助金が、平成25年度末
までの予定で実施されています。中小企業事業者にとって、福島
の原発事故以来の節電への協力はもちろんのこと、電気料金の
値上げ等により、経営面からもエネルギーコストの削減は重要度が
増しています。補助金を活用した電力量の削減にむけて、補助金
制度の概要をご紹介します。

(2)制度の背景

電力需要の視点から、中小ビル等の高圧小口需要家(契約電力
50kW以上500kW未満)は日本全国で約77万口あり、
全国の電力使用量の2割を占めています。また昼間に限れば、
使用電力量全体の4割におよんでいます。この使用電力量の削減は
国策として急務であり、また大手企業に比して中小企業等で
あるがゆえに節電対策が遅れている中小ビル等の問題とも
みなされており、この抜本的改善が必要とされています。

(3)制度の概要

この制度は、中小ビル等が節電を行っていくために必要な
エネルギー管理システム(BEMS;Building Energy Management
Systemの略。建物内の電力消費量を計測・蓄積して「見える化」
を行うとともに、空調・照明設備等の機器を制御する機能や
デマンドピークを抑制する機能を有する制御/管理システム。)
の導入にあたって、その導入費用の一部に補助金を支給するものです。

補助率は、1/2(上限250万円)若しくは1/3
(上限170万円)と定められています。補助を受けることが
出来る対象者は、中小ビル等の高圧小口需要家であることが
必要要件ですが、合わせてBEMSアグリゲータ(エネルギー管理
支援サービス事業者;電力消費量を把握し、節電を支援する
サービス業者。現在21の企業グループが認定されている。)との間で、
1年以上のサービス契約が結ばれていることも必要となります。
この事業は、一般社団法人環境共創イニシアチブが個々の案件の
補助金交付審査、支給やBEMSアグリゲータの認定等を行っています。

(4)投資対効果

それでは、BEMSを導入し、エネルギー管理支援サービスを
受けることで、具体的にどの程度の効果が得られるのか見て
いきましょう。実際の導入コストは建物の規模や用途、もしくは
現在の設備の装備状況で大きく異なります。またサービスの費用も
個々のアグリゲータによりそのサービス内容や費用に差がありますが、
ここでは一般的な参考指標として記述します。

BEMSの導入費用は、小規模なオフィスや店舗の場合100万円
~200万円。大規模なオフィスや店舗、中規模な工場では
400万円~800万円程度と言われています。またサービス費用は、
同様に小規模なオフィスや店舗では5万円~10万円/年、
大規模なオフィスや店舗、中規模な工場では20万円~40万円
/年程度となります。

一方実際の電気料金は小規模なオフィスや店舗であれば、年間
500万円~1000万円程度が標準的な値となります。
BEMSの導入と支援サービスにより10%の電気料金が削減された
場合(アグリゲータは契約総量の10%以上の電力消費量削減が
義務付けられている。)、約2年間でBEMS導入の費用回収が
可能となります。また支援サービス費用を大きく上回る電気料金の
低減が行えているので、差額分がまるまるコスト削減となります。
この概算は補助金を加味していないので、補助金活用でより有利
な条件となってきます。またさらに、東京都では、国の補助金と
併用して助成できる制度も整備しています。中小企業者であれば
この両方の制度を活用して、より有利にBEMSの導入が行えます。

エネルギーコストの削減による経営改善にお役立てください。

寺野 仁

13/07/31 05:57 | カテゴリー: | 投稿者:椎木忠行

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