経営お役立ちコラム
経営戦略立案のコツ

(1)経営戦略立案の重要性

中小企業の経営支援をしていく中で感じることがあります。 それは、経営者は常に内外の問題に対峙しているということ。得意先からの要請、 外注先の廃業、資金調達、納期、品質、社員の退職など、例には枚挙にいとまが ありません。ともすれば、経営者の意識は短期的・対処的になりがちです。 だからこそ、経営者は中期的な視点で戦略を考える機会を持つことが大切で、 施策として年度で経営戦略を立案することを提案しています。 中期的な戦略へ取組みを実践している企業は、金融機関にも好印象を与えることも あるからです。

(2)バランス・スコアカードによる経営戦略立案

経営戦略を立案する代表的なツールとしてバランス・スコアカード(以降BSC)が あります。BSCについての解説は多くの出版されている書籍に譲るとして、 筆者のBSCによる経営支援活動に基づいたコツなどを紹介していきます。 まずBSCの導入を1.環境要因整理→2.経営目標策定→3.環境分析→4.戦略マップ作成→ 5.スコアカード作成→6.アクション計画作成→7.アクションの実行とモニタリングの 7つのステップで進めています。この中で、2.経営目標策定は戦略の軸足になる大切 なものとしています。企業理念と内外環境によりビジョンを策定することが一般的で すが、ここに「経営者の想い」を付け加えることで、より現実的かつ具体的な 「ありたい姿」を導き出し、それを経営目標としています。また、3.環境分析は SWOT分析を用いて戦略の候補を洗い出しますが、4つのマトリクスのフォームでは 要因整理に止まってしまいがちなので、9つのマトリクスの分析フォーム(クロスSWOT、 TWOS分析などと呼ばれる)を採用します。さらに、戦略は実行への取り組みがなされ なければ、まったく意味がなく、6.アクション計画作成は非常に重要なステップと 位置づけます。7.アクション計画はマイルストーンと達成時期、担当者まで具体化する ことが肝要で、もし具体化できないならば、その計画は達成できない可能性大と判断できます。

(3)予算とバランス・スコアカードの連携

予算(特にP/L)を編成している企業も多いと思いますが、BSCで立案した戦略マップ、 スコアカード、アクション計画との整合性を確認することで、編成された予算の 具体性を検証することができます。もしかしたら、予算達成のために新たな戦略を、 再度BSC側で検討する必要があるかもしれません。予算とBSCを連携すれば、 より精度が高い経営計画を立案することができるのです。

妹川 聡

14/06/30 21:00 | カテゴリー: | 投稿者:広報部 コラム 担当

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