経営お役立ちコラム
経営デザインシート(将来を構想するための思考補助ツールとは)

1.はじめに
事業再構築補助金第4回、ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金第9次締切分から、申請する事業計画書を作成する際に経営デザインシートを利用することを進めています。

2018年5月に内閣府が公表したその経営デザインシートについて、その内容と活用する場面を考えてみたいと思います。

2.経営デザインシートとは
■ひとことでいうと

将来を構想するための思考補助ツール(フレームワーク)

■100文字で言うと

環境変化に耐え抜き持続的成長をするために、自社や事業の

(A) 存在意義を意識した上で、

(B) 「これまで」を把握し、

(C) 長期的な視点で「これから」の在りたい姿を構想

(D) それに向けて今から何をすべきか戦略を策定する。

3.経営デザインシートの概要
■100文字で言うと

環境変化に耐え抜き持続的成長をするために、自社や事業の(A)存在義を意識した上で、(B)「これまで」を把握し、(C)長期的な視点で「これから」の在りたい姿を構想する。(D)それに向けて今から何をすべきか戦略を策定する。

上記内容を目に見える形(図)にして、1枚で表現できるようにしたのが下記のシートになります。(簡易版です)

 

【経営デザインシート(簡易版)】

■作成のポイント

  • 書けるところから記載
  • シートを埋めること自体が目的でなく、「これから」を構想し、実現するため
  • 「これから」の構想をしながら対話(構想を「見える化」のみならず「磨き上げ」)
  • 財務的に実現可能なものであるかについて配慮しつつも、財務的な裏付けにこだわりすぎないようにする
  • 外部に開示する際には、表現ぶりや公表の範囲に注意する

4.活用方法
「これからのありたい姿を構想する」ために活用します。

 

活用方法①「経営計画・事業計画を策定に利用する。」

経営計画・事業計画は、いつまでにどのような姿にしていくか、その姿を実現するための具体的な行動を示す計画書です。具体的には、新しいビジネスに挑戦するためにどのような方法、手法、手順を踏まえ、その領域の事業環境を分析し、課題を抽出し、マーケティング方法など、必要な事柄を明確に記載した文書です。

経営システムデザインシートを使うことにより、漏れのない内容を検討し、記載できるものと思われます。

 

活用方法②:補助金申請に活用する

補助金の申請書に記載する内容の構成を考えるときに、上記経営デザインシートの各項目を利用すると整理しやすいです。

事業再構築補助金を例に取りますと、前半の補助事業の具体的取組内容に、「これまでどうだった」「20__年にはこうしたい」の事業価値、ビジネスモデル、資源を記載し、後半の将来の展望に、課題、外部環境、20__に向けて今からどうするかを記載していくと構成が分かりやすくなるかと思います。

 

活用方法③:事業承継に活用する

「これまでどうだった」現在の社長に、「20__年にはこうしたい」これからは引継ぎ者に考えてもらいます。

資源を考えるときに可視化できている資源は、承継する側もされる側もお互い認識できますが、可視化できていない資源は、お互いに考えてみないと分かりません。特に人に関するノウハウ等については、下記の視点で整理していくと整理しやすいかと思います。

1.「人的資産」

従業員の退職時に一緒に社外に持ち出されてしまう資産のことで、主にその従業員に付随するスキルや知見のことです。

2.「構造資産」

従業員が退職しても組織の仕組みとして会社に残る資産のことです。人的資産がマニュアルやスキル伝承のための教育システム、情報システムを整備することによって、従業員固有の資産から組織固有の資産へ変わった資産といえます。

3.「関係資産」

企業の対外的な関係に付随した資産のことで、販売先、仕入先、外注先、提携先、取引金融機関などのことです。

知的資産は、財務諸表などに数値として表れることはありませんが、企業が維持・成長するために欠かせない各企業固有の「強み」や「魅力」であり、企業収益の基盤といえます。

5.さいごに
いきなり事業計画書を策定するとか、引継ぎ計画書を考えろと言われても、なかなか書面に落とすことは難しいと思われます。経営デザインシートを日ごろ活用することにより、事業の内容を整理する切り口が身につくと思われます。ぜひ、ご活用ください。

 

(参考)内閣府知的財産戦略推進事務局「経営デザインシート」より


<<執筆者>>

 

 

 

 

大坪 要(おおつぼ かなめ)

2001年診断士登録

アパレル企業就職後、流通系IT企業に勤務。2019年独立、現在に至る。

企業勤務の経験を活かし、流通系企業やIT企業を中心に事業計画策定やプロジェクト管理、営業力強化、組織力強化等の支援を行っている。

 

22/01/31 21:00 | カテゴリー: | 投稿者:広報部 コラム 担当

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