経営お役立ちコラム
社員に任せて、成長会社になる方法(3)

3.見せるのは、俺の背中ではなく、未来への希望

「俺の背中を見ろ」が成功していた時代は、「俺」が会社の指針として機能していました。しかし、社員に任せて成長をする場合には、新たな指針が必要です。指針がないと社員がバラバラに活動しやすく、組織力は高まりません。

 

部長:「今の時代、俺の背中を見ろというやり方に限界が来ているじゃないか?」

私:「はい、そうですね。見せるのであれば、背中ではなく未来への希望です」

部長:「未来への希望?」

 

「俺の背中を見ろ」というのは、「この人についていけば大丈夫」という安心を与えていました。しかし変化が激しい時代では、その安心が揺らいでいるのです。

 

「この人についていって大丈夫なのかなぁ」

「この会社で大丈夫なのかなぁ」

 

成熟した時代背景も重なり、以前より安心は揺らぎ、不安が高まっているのです。経営者は、その閉塞感を打ち破るような「希望」を見せる必要があります。希望を見せる秘訣は、2つあります。

 

1つ目は「将来のビジョン」です。

 

ビジョンの立案に関しては、たくさんの書籍がありますので、ここでは割愛しますがとても大切です。ビジョンに対して、論理的に納得し、将来イメージができ共感が伴えば、不安は希望に変わります。そして、自律的な行動へのきっかけに繋がります。

 

2つ目は「希望を持てる環境を作る」です。

 

ここでいう希望とは、面白い・格好良い・働きやすいといったポジティブな感情を意味します。経営者は、ポジティブな感情を引き出すような取組みをする必要があります。

「社員に任せる」というと、仕事を丸投げすれば良いと誤解している方がいますが、必ずしも正解ではありません。任された社員がポジティブな感情を持ったかどうかがポイントなのです。

例えば、経験十分で自信満々な人に対して全面的に任せ、積極的な挑戦的な気持ちが引き出されたならば、環境構築は成功です。

一方、経験十分だとしても、心配性で慎重に石橋を叩いて渡るタイプの人に対して全面的に任せると、不安を抱えネガティブな感情を持つ可能性があります。この場合、全面的に任せては不十分で、自信もって作業が出来るようにさらなる追加支援が必要です。

 

将来は不確実性で溢れています。例えるならば、真っ暗な闇をドライブするようなものです。一昔前ならば、優秀な経営者が先導し、社員はその背中を信じて進んできました。しかし今、経営者は目先の数メートルを照らすライトになるべきだと思うのです。暗闇に明かりを灯し、社員に安心感と勇気を与えるのです。

そのためには、まず自らが変わることです。小さな変化は、未来の大きな変化を呼びこみます。ライトの明るさに気付いた社員はきっと協力してくれます。あなたのライトは、ボトムアップへの変化を促します。そして、協調関係の中で現状や方向性を確認し合えば、社員との信頼関係が強まり、繋がりが生まれます。暗闇を進むのは怖いかもしれませんが、強い信頼関係は恐怖を推進力に変えてくれます。

このとき初めて、「俺の指針」から「みんなの指針」に変わるのです。変容を経て統合されることにより、共通意識を持った組織が誕生します。マニュアルに頼った形式的組織よりも、強固で長期的、かつ柔軟性高い組織が完成します。このような組織の社員は、生き生きしています。きっと活躍しているそんな社員を見たときに、嬉しさがこみ上げてくるはずです。変化に挑戦してよかったなと。

自律型組織を構築するためには、細かいスキルもありますが、経営者の想いが何より大切です。スキルやノウハウは気にせず、強い情熱ではじめの一歩を踏み出してみてください。

照井 克文

16/04/30 21:00 | カテゴリー: | 投稿者:広報部 コラム 担当

このページの先頭へ戻る