経営お役立ちコラム
従業員教育をより効果的に~動画マニュアルのすすめ

経営課題に「人材不足」を挙げる中小企業経営者が増加している現在、各業務の生産性向上や新しく入社した従業員の早期戦力化がますます重要視されています。
従来の現場オペレーション研修は、文書化したマニュアルとOJT等による先輩従業員からの指導がほとんどでしたが、近年は「動画マニュアル」を作成する企業が増加しています。動画マニュアルにはこれまでの文書マニュアルにない数多くの利点が導入促進の理由となっています。

■動画マニュアルの利点

1. 文章・画像では伝えきれない情報を正確に伝達
質感や色の変化、音、作業のタイミングなど、文章や写真では伝わりにくい作業の細部を伝えられることが、動画マニュアルのもっともすぐれた点です。職人の技術は文章で表現しにくく伝承が難しいと言われていますが、動画で撮影することでノウハウも「見える化」ができるので、より正確に共有できます。
2. 安定して高い水準の指導が可能に
OJT研修は、教える側の力量で研修の効果に差が出てしまうという課題が発生します。この課題も、動画マニュアルの利用で「~の作業は○○さんが社内で一番」といった高いレベルの手本を全員が共有できるため、指導基準が上がり会社全体のスキルアップにもつながります。
3. 集合研修からの置き換えで教育コスト削減
動画マニュアル閲覧の仕組みを社内で整えることで、集合研修に必要だった講師の人件費、交通費、印刷費などの削減が可能となります。また、不定期に社員を採用する企業にとっては、入社の都度研修を受けさせることができるため、育成計画をタイムリーに実行することが可能です。

■動画マニュアル作成・管理の注意点

1. まずは作って皆に見てもらうことから始めましょう
本来、動画マニュアルは、社内の作業分析を行い①企画②台本作成③収録④編集という手順に従い作成します。今までのマニュアルを一新するゴール設定は相当の時間を要します。しかし、大切なことは「現場で困っていることを解決する」ことです。「品質が安定しない」「作業がうまく伝えられない」などの声が現場で出ていたら、あまり大きく構えずに、まずは作ってみて従業員に見てもらうことから始めることをお勧めします。「もっとこうしたらいい」と従業員から意見が出てくれば、第一歩は成功です。
2. 動画は短い時間で区切って編集
動画にもデメリットがあります。それは「検索性が悪い」、つまり、文字情報のように飛ばし読みしたり検索したりしにくいという点です。これを解決するためには、一つひとつの動画を簡潔に短くすることが重要です。タイトルの付け方も工夫して困ったときにすぐに探せる動画に仕上げていけば、会社の大きな武器になるでしょう。
3. 動画と文章のバランスが大切
業務や研修のすべてを動画マニュアルにする必要はありません。研修の中には、会社の歴史や報告書の記載方法など、文書のマニュアルが適している内容も多くあります。「2:8の原則」のように、映像化するのは作業全体の20%で充分と言われています。重要な部分を選びながら動画マニュアルを作成することで、動画と文章のバランスが良くなります。
4. 動画マニュアルの閲覧管理
作成した動画ファイルは、クラウド上で保管して各従業員がパスワードを入力し閲覧するという簡易的な方法や、関係者だけが閲覧できる「非公開」設定で動画をYouTubeにアップロードする方法等があります。大切なノウハウで外部流出が気になるのであれば、ログ管理(パスワード使用者や閲覧履歴等の管理)ができるマニュアル管理専用のソフトを利用しても良いでしょう。紙媒体と同様に、ノウハウの管理は適切に行いましょう。

動画マニュアル管理専用のソフトは現在たいへん便利になっており、スマートフォンで撮影、配信、閲覧が可能なものも多数あります。メリットの多い「動画マニュアル」作成にぜひ挑戦してみてください。

稲葉 康弘

18/07/31 21:00 | カテゴリー: | 投稿者:広報部 コラム 担当

このページの先頭へ戻る