経営お役立ちコラム
女性を伸ばす上司の指導

今回は、中小企業のための女性従業員活用術の第二回です。
会社側としては女性を活用したいと考えているものの、女性社員が
積極性に欠けるとか、管理職昇進に意欲的でない場合もあるのでは
ないでしょうか。また、昇進に意欲的な女性社員がいるものの、
今ひとつ結果が出せていないというケースもあります。
しかし能力を活かしきれていない女性は、ちょっとしたきっかけで
大きく成長することもあります。女性社員の能力を活かすために
上司はどのように指導し、どんな気づきを与えられれば良いのか、
部下の成長段階別に考えてみます。

(1)責任ある仕事への意欲がなく、定型業務をこなすだけでいい
と感じている段階

一般職やパートの女性に多いですが、最近は若い男性にもこの
タイプが見られます。この段階の部下は上司から見ると仕事への
やる気がないように感じるかもしれませんが、本当は仕事の面白さを
体験したことがないだけという場合がよくあります。

その仕事の意義や何に役立っているのかをきちんと伝えることで、
やる気を引き出しましょう。また、小さなことでいいので責任と裁量
を持たせてみて、達成したら褒めて下さい。女性は男性よりも自分
自身の能力に対する評価が低い傾向にあるので、上司が褒めて能力を
認めることで自信がつき、仕事への積極性が高まる効果があります。

(2)仕事は好きで成長しているが、昇進への迷いがある段階

能力は高く仕事も好きなのに、昇進となると尻込みしてしまう
女性は多くいます。上司の立場からすると、頼りなく思えてしまう
こともあるでしょう。これは、女性が育ってきた環境において、
ビジネスパーソンとしての行動様式を学べていないことが原因です。
今の50代~60代は専業主婦家庭の割合が高く、そこで育った今の
20~30代は外で働く女性を身近で見ていません。また、周囲にも
出世している女性が少ないため、管理職になるとはどういうこと
なのかがわからず、漠然とした不安を抱いています。

こういう場合には、管理職になることで自律的な働き方ができる
ことや、昇進して仕事を人に任せることが本人のステップアップへ
の道であることをはっきり伝えましょう。女性は自分の成長には意
欲的な場合が多いので、上司がサポートする姿勢を示して一歩踏み
出すきっかけを作れば挑戦できるはずです。

(3)昇進への意欲はあるが、結果を出せずに伸び悩んでいる段階

前段で述べた通り、女性はビジネスパーソンとしての行動様式を
学ぶ機会に恵まれていません。そのため、能力は高くて「組織での
振る舞い方」が身に付いていないことがよくあります。「意見の
食い違いがあっても、上司が最終的に下した決定には従わなければ
ならない」とか、「指揮命令系統から外れた仕事をしても評価に
繋がらない」という暗黙のルールを理解していないのです。
そのため、上司の指示と違う方向に仕事を進めてしまったり、誰も
やりたがらない雑用的な業務を引き受けて忙殺されてしまったりします。
しかも本人は一生懸命取り組んでいるため、「頑張っているのに
評価されない」という不満が生じてしまうこともあります。

こういう場合上司にお勧めしたいのが、薄い・簡単なものでいい
ので女性向けに書かれたキャリア指南書に目を通すことです。古典
としてはベティ・L・ハラガン著の『ビジネス・ゲーム』がありま
すが、どの本も大体同じような主旨が書かれています。
男性(や本人に素養があって昇進できた女性)には当たり前でも、
一般的な女性には当たり前でないことがあり、それがどんな点なのか
が理解できます。女性部下に直接購読を勧めてもいいのですが、
上司が理解して指導することで信頼関係を築く機会にもなります。
組織の論理に縛られない女性の行動は、会社の風通しを良くする
こともあるので全てを矯正する必要はありません。基本的な部分だけ
指導すれば、効果的な気づきを与えることができるでしょう。

和気 みゆき

12/02/19 09:23 | カテゴリー: | 投稿者:椎木忠行

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