経営お役立ちコラム
女性の活用で会社を強くする

これから3回にわたり、中小企業が女性従業員を活用する方法に
ついてご説明します。1回目の今回は、女性を活用すると会社に
どのような良いことがあるのかを考えてみたいと思います。

女性の活用に取り組むメリットは、それが結果的に全従業に良い
影響を与えるという点です。今の30代以下のいわゆる若手・中堅
世代は、男女にかかわらず、会社のために滅私奉公するという
価値観を持っていないことが多くなっています。
それは根性がないのではなく、自分のキャリアに自分で責任を
持たなければならない時代の流れに、彼らなりに対応した結果です。
ですから、自分を成長させるための努力は惜しみません。女性を
活かすためには、一人一人の能力と事情を見極め、柔軟にキャリアを
積ませる対応が必要になります。このような仕組みをつくることは、
結果的に全従業員の意欲と能力を引き出すのです。

女性が活躍できている会社には、次のような特徴があります。
これらを実現できると、女性だけでなく男性従業員も高い
モチベーションを保ち、前向きに働くことができます。

【女性を活かせる会社の特徴】
・役職や年齢に関わらず、誰でも意見があれば発言できる
・一人一人が自分のキャリアについて目標を持ち、上長と話し
合う機会がある
・経営者や上長が、部下の考えを積極的に引出す力を持っている
・自分の仕事が終わっていれば、無駄な残業をせずに退社する
のが当然
・社内のコミュニケーションが円滑で、部署を超えた交流がある

もし、逆の環境だったらどうでしょう。「若手や女性は発言しづ
らい空気があり、上長の指示通りの仕事しか求められない」
「自分がこの先、どう成長できるのかわからない」「みんなが残業
していると帰りづらい」・・・。こういった状況では、従業員は
自分の頭で考えることを止め、判断が萎縮してしまいます。
そうなると優秀な人は辞めてしまい、言われた仕事をこなすのが
得意なタイプの人だけが社内に残ることにもなります。
女性を活かせない会社からは、若手の優秀な男性従業員も離れて
いってしまうのです。せっかく採用した社員が辞めてしまうのは
痛手であるだけでなく、人材の多様性を欠くことで企業としての
競争力が弱まる弊害もあります。

「うちの会社は大丈夫」と思うかもしれません。しかし、「部下
が将来的にどんなキャリア像を描いているか」「残業中の従業員が
どんな仕事をしているか」「隣の部署がどんな課題を抱えているか」
など、全てを明確に把握できている会社は本当にまれです。
これらを放っておくと、気づいた時には従業員の主体性が育たず、
ひいては会社の競争力が弱まることにもなりかねません。

女性の活用というと福利厚生の話題と捉えられがちで、「法律で
やらなければいけないから」「周りの会社がみんなやっているから」
等の理由で、なんとなく取り組みを始めるケース多いようです。
しかし本来、人材戦略は企業の生命線です。特に中小企業にとって、
従業員に最大限の能力を発揮してもらうことは重要な課題です。
そのためには、どのような人材を採用・育成して会社を成長させて
いくのか、トップが明確な方針をもっておかなければなりません。
つまり、女性の活用は人事部の仕事ではなく、経営戦略策定の一環
として経営者が担うべき役割です。

総務省の「就業構造基本調査」によれば、中小企業では大企業に
比べ正社員の女性比率が高くなっています。中小企業の方が大企業
よりも、女性活用の重要性が高く、かつ効果も出やすいのです。
女性を活かすためには、従業員一人一人に向き合って、柔軟に対応
することが最も重要です。この点については、大企業よりも小回り
のきく中小企業に優位性があります。女性を活用できる会社の特徴に
当てはまっているか、ぜひ自社の経営戦略の一環として、
見つめなおしてみてください。

和気 みゆき

12/02/06 01:34 | カテゴリー: | 投稿者:椎木忠行

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