経営お役立ちコラム
営業力アップは真似から始まる

私は仕事上、色々な中小企業様に接しております。その中で近年
感じることが、営業が商売人でなく、ただのもの売りに代わってき
たことです。特に金融危機以降、顕著に感じます。しかしこのよう
な時代こそ営業は商売人の心得、気配り、行動力を持つことが必要
であると思います。今回から3回の連載で私なりに感じた中小企業
様の営業力をアップする3つのポイントをご紹介いたします。皆様
の会社の営業力アップに少しでもお役に立てれば幸いです。

1.まずは真似から始めてみる

現在、営業スキルに関するノウハウ本が多数出ています。確かに
営業活動に役立つことが書かれていますが、即それを実践する人は
少ないのではないでしょうか。「自分とは状況が違う」「あの人だか
らできた」「本当に成功するのか」など言い訳をつくり自分を正当化
してしまうからです。しかし「真似る」というのは学びの原点です。

物事を習得する、マスターするには、お手本となるものを見つけ、
それを真似するところから始めるのが一番の近道です。イチロー選
手などは田尾選手のモノマネを得意とし、そこから特徴的なバット
コントロールが生まれたと言われています。多くの一流アスリート
達、成功している経営者の多くがいいところを盗み取って真似て結
果を出しています。まずは何も考えず、身近なところで「あっ、こ
れはいいな、使えるな」と思えることは即座に真似することです。

2.「守・破・離」という考え方

日本には昔から「守・破・離」という言葉があります。日本国語
大辞典(小学館)で調べると次のように書かれています。「剣道や
茶道で、修業上の段階を示したもの。守は、型、技を確実に身に
つける段階、破は、発展する段階、離は、独自の新しいものを確立
する段階。」

これを現代のビジネスシーンに置き換えてみます。

「守」とは、成功している人や先人のセオリーを正確かつ忠実に
守り、身につける段階をいいます。お手本となる人を見つけ、徹底
的にマネして実践してみることです。

「破」とは、身につけたやり方やスタイルをさらに発展させ、
自分なりの工夫を加えていく段階です。そしてあえてセオリーに
逆らって自らの個性を創造させ加えていくことです。

「離」とは、「守・破」を極めた上で、独自のセオリーを確立さ
せる段階をいいます。自らの創意を加え、新しい独自のやり方や
スタイルを産み出すことです。

この3段階を経て、はじめて独自のセオリーが生まれてきます。
単にやり方、スタイルを真似るのではなく発想を膨らませ、成功
した原理・原則を学びとることが大切です。

3.中小企業こそ「守・破・離」で真似る

中小企業様の経営資源「人・もの・金・情報」は限られています。
限られた経営資源をいかに有効活用するかと考えると成功した事例
を「守・破・離」で真似ることです。株式会社武蔵野小山昇社長が
著書「経営計画は1冊の手帳にまとめなさい」の中で下記の様なこ
とを書いています。『多くの会社が、0から1を生み出そうとします。
ですが、経験や実績が不足しているために、結局は「1」を生み出
すことはできません。だとしたら、すでにできあがっている「1」
をまねるほうが近道です。独力で頑張って成果を出せないより、
「人に聞きながらでも成果を出すほうが正しい」と私は思います。』

4.真似の先に大きな変化がある

単に真似するだけでは意味がありません。自分のものにしていく
必要があります。そのためには日々実行し、試行錯誤を繰り返すこ
とが必要です。そしてなぜこのやり方、行動なのか、これがなぜ成
功に結び付くのか等を考えるのです。この考える作業によって自分
の心の中に根付くと同時に、新しい発想が生まれイノベーションを
引き起こします。そして他社と違った独自のもの、差別化するもの、
ちょっとやそっとでは、真似されないものとなってくるのです。
「真似」を追及していくだけで大きな変化が生まれるのです。

丹田浩司

11/01/10 02:35 | カテゴリー: | 投稿者:椎木忠行

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