経営お役立ちコラム
他社と共に市場開拓しよう!

毎日努力されている経営者の皆様に、経営に役に立つ事例を
お届けします。これにより、気づきをされて、貴社の経営にいくらか
でも貢献できれば筆者の望外の喜びです。

リーマン・ブラザース不況が起き、昨今では自動車企業のクレーム
処理問題が生じて、製造業に大きな影響を与えています。A社は、
従業員30名の切削工具再研磨業で、1本の切削工具を1回でも多く
再研磨することで、1本の工具寿命を伸ばし、お客さまの経費節減
することを使命としています。現在、自動車部品を中心とする金属
加工業界からの受注急減に直面していました。B社は、従業員50名
の各種合成樹脂の部品切削加工業で、金属加工業ほどではありま
せんが、電気絶縁部品の受注もなかなか立ち上がらずに、売上確保
に苦労していました。

中小企業診断士Kは、A社とB社の経営支援を行なっています。
あるとき、A社社長に「御社は、金属用の切削工具だけでなく、合成
樹脂切削の工具もやりますか?」と訊くと、「数は少ないが、やった
ことはあります」とのことです。「B社では、合成樹脂加工だけやっ
ているが、関心ありますか?」、「ハイ、ぜひお願いします」と即答で
す。その場でB社専務に「おたく、切削工具の再研磨をどのくらいや
っていますか?」と電話すると、「一部だけやっていますが、これからも
広げたいと思っています」とのことです。さっそく、両社を引き合わせる
ことになりました。

B社の食堂には、実際に加工を担当している技術者が図面や現物
を持って集まりました。挨拶が終わると、A社社長が再研磨の実例
や加工精度の実績説明をしました。次いでB社技術者達から、図面
に基づいて加工の細部について説明がありました。そばで聞いてい
ると、切削工具の再研磨の話ではありません。B社が引合を受けて
いるお客さまからの要求の強い微細な部品仕様をどうしたら切削加
工ができるのか、そのための切削工具がいつまでにできるのかとの
相談です。予定していた1時間を越えて、両社の相談が続きました。

1回では終わりませんので、両社は引き続き直接相談することで、
打合せは終わりました。金属や合成樹脂に限らず、加工業界では
量産モノの受注は、海外の安い加工単価のため、国内ではほとんど
消えてきています。国内加工業の活きる道は、精密加工です。1個
からの加工、試作品の加工などです。その加工品の納期も「即」です。
このためには、この両社のように企業を超えての協業を緊密にする
ことが必要です。この打合せを行なったことで、両社はそれぞれの
会社の特徴や取引先などを知り合うことになりました。

この事例では、A社は金属加工業界に加えて樹脂加工業界に
新しい市場を広げることができました。B社にとっては精密な切削
加工向上に役立つ精密工具を手に入れることで、今まで手がける
ことができなかった部品加工ができ、新たな顧客を得られました。
中小企業診断士は、今までの知見や経験を生かすとともに、
人脈等を活用して、事業経営者を元気つけることができます。
経営者の皆さん、中小企業診断士に声を掛けて、この不況を
乗り越えてください。

窪田靖彦

11/02/26 12:09 | カテゴリー: | 投稿者:椎木忠行

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