経営お役立ちコラム
中小企業者が格付を取得するメリット及び各社のサービス内容のまとめ

前回は、中小企業向け格付サービスがスタートしていることを
紹介致しました。 今回は、もう少し具体的に、「中小企業者向け
格付を取得して何か意味があるの?」という点と、「各格付会社は
どのような内容のサービスを提供しているの?」という点について
ご紹介致します。

1.中小企業者が格付を取得するメリット

中小企業白書によると起業後の課題は、(1)質の高い人材の確保、
(2)資金調達、(3)販売先の確保の順となっています。この
ような課題は、上場をすれば解決できる可能性が高いのですが、
上場すると、課題解決と引き換えに、内部管理強化によるコストの
負担増加や、不本意な買収にあう可能性が出てくる等のデメリット
が出てきます。 上場という手段以外で、(1)~(3)のような
課題を解決する方法を考えたいというのが、多くの中小企業経営者
の思いではないでしょうか?

そこで、考えられるのが中小企業向けの格付の取得です。格付を
取得すれば、各格付会社のホームページ上に企業名と取得した格付
などを掲載でき、信用力を対外的に示すことができます。また、
会社パンフレットやご自身のホームページで格付取得をアピール
すれば、企業イメージを高め人材確保や、販路拡大に優位に働く
可能性があると考えています。また、将来的に上場を考えている
経営者にとっては、第三者が分析した財務分析結果は今後の課題を
見つける上で有用です。

もちろん、このサービスは民間企業である格付会社が提供する
ものですので、約50万円弱と中小企業にとっては比較的大きな費用
が必要となります。取得するかは、費用対効果をよくよく考えての
判断になるかと思います。

2.各社のサービス内容の概要

2-1 日本SME格付け

格付会社名:スタンダード&プアーズ・レーティング・ジャパン
株式会社(S&P)
格付実績(2011.11公表ベース):34社
提携金融機関(窓口):
http://www.kakuduke.co.jp/about/index08.html
対象となる企業(売上高基準):5億円~100億円
評価の概要:http://www.kakuduke.co.jp/about/index04.html
符号体系:aaa~cccの7段階
費用:50万円(税別)

2-2 R&I中堅企業格付

格付会社名:株式会社格付投資情報センター(R&I)
格付実績(2011.11公表ベース):15社
提携金融機関(窓口):
http://www.r-i.co.jp/jpn/ancil/sme/fi_list.html
対象となる企業(売上高基準):5億円~100億円程度
評価の概要:決算書類などをベースに、スコアリングモデルによる
定量評価をする。その結果を頂いた定性情報の範囲内
で格付アナリストが判断して最終的な格付を付与
します。機械的な評価によるモデルのくせなどを排除
することが可能となり、より精度の高い格付結果を
提供する。定性評価をする点が特徴的である。
符号体系:aaa~cccの7段階
費用:初回 40万円(税別)、次年度以降 30万円(税別)

2-3 JCR中堅・中小企業格付

格付会社名:株式会社日本格付研究所(JCR)
格付実績(2011.11公表ベース):5社
提携金融機関(窓口):http://www.jcr.co.jp/jcrest/pdf/08.pdf
対象となる企業(売上高基準):5億円~
評価の概要:独自開発した「JCR中小企業信用リスク推定モデル」
(JCREST =ジェイクレスト)に対象企業の財務
データを入力し、JCRの知見に基づく数理ロジックに
よって、当該企業が3年以内に倒産する可能性を推定
する。これを3年累積推定倒産確率と称する。
上記で算定した3年累積推定倒産確率に基づき、
最終的な「JCR中堅・中小企業格付」の評価記号を
決定する。
符号体系:aaa~cの9段階
費用:初回 40万円(税別)、次年度以降 30万円(税別)

※上記の情報は、筆者が公表情報を基にまとめたものです。正確な
情報が必要な場合は、提携金融機関又は各格付会社にお問い合わ
せください。

次回は、R&I中堅企業格付の具体的な取得方法について記載する
予定です。

廣方智章

11/11/21 01:43 | カテゴリー: | 投稿者:椎木忠行

このページの先頭へ戻る