経営お役立ちコラム
中小企業の事業承継の現状と課題

全国の企業数の99%、従業者数の70%を占める中小企業は、日本経
済の活力の源泉であり、地域経済が健全に発展するために欠くこと
のできない存在である。

この中小企業の多くが現在直面している構造的な問題に事業承継
がある。中小企業庁が実施したアンケートによると、中小企業経営
者の40%が事業を後継者に承継させるにあたって、何らかの障害が
あると考えている。事業承継が悩みの種となっているのである。

事業承継が問題となる背景には、中小企業経営者の年齢の高齢化
がある。全社長の平均年齢は、1982年の52歳から2004年の58歳へと
20年以上にわたって上昇を続けている。これは、高度成長期に20~
30歳で創業した中小企業経営者が引退時期にさしかかり、平均年齢
を引き上げていることを示している。

高齢となった中小企業経営者の多くは、引退した後も事業を継続
したいと考えている。しかし、実際に事業を引継ぐ後継者が決まっ
ている中小企業は全体の半数以下である。
過半数の企業は、候補者はいるが後継者として決まっていない、
もしくは、候補者さえもいない状態にある。また、後継者がいない
ため廃業を検討している経営者については、必ずしも企業が債務超
過であるため廃業を検討しているわけではない場合が多い。

一方、後継者として将来の事業を担う人は、先代から続く取引先
の協力や事業資産の法定相続との関連で、かつては子息・子女が80
%近くを占めていた。しかし、この20年間「親の会社だから」とい
う理由だけでは事業を引き継がない経営者の子供が増加し、事業を
承継する者の過半数が子息・子女以外の後継者となってきている。

このような状況下で、多くの中小企業経営者が事業承継問題への
対策に苦慮しているのである。

参照:中小企業白書2006年版
第3-2-1図 55歳以上経営者の事業承継に対する検討内容
http://www.chusho.meti.go.jp/pamflet/hakusyo/h18/H18_hakusyo/h18/html/i3210000.html

鉄尾佳司

10/03/23 10:25 | カテゴリー: | 投稿者:椎木忠行

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