経営お役立ちコラム
世田谷区内に広がる「ちょい飲み商店街(まちバル)」現象(前編)

1.なぜ、世田谷区で増殖中なのか

「まちバル」とは、飲食店を中心にした食べ飲み歩きイベントです。商店街様により多少異なりますが、700円券5枚セットのチケットを3,500円程度で購入し、複数のお店を“ちょい飲み&つまみ食い”して、はしごするイベントといえます。平成27年2月13日に八幡山商福会商店街振興組合様でまちバルが開催されてからこれまで、世田谷区では20ヶ所の商店街(連合体を含む)様により計24回のまちバルが開催されてきました。世田谷区内で開催するまちバルが増えているのには3つの理由があります。

(1)店主様が取組みやすく、効果が見込める

まちバルは、自店で行うイベントであるため、お客様に直接、店の良さを伝えることができます。また、従来型イベントであると経営者様が店の外で運営をサポートする必要がありましたが、そういった負荷もないといえます。さらに、必要となるコストが、チケットやポスターなどの製作費用に限定されるため、低コストで運営できるというメリットがあります。

(2) 区が資金面のサポートをしている

世田谷区には、当初、まちゼミのイベント開催に対して補助金があったのですが、まちバルの効果および、開催数増加の勢いを認めて急遽、補助対象とした経緯があります。対象となる商店街様は年間2回まで、まちバル・まちゼミのいずれかを行う際に対象経費の半分(上限額25万円)の補助を受けることができます。対象経費は主にパンフレットやポスターなどの周知費用が中心となりますが、特に初めて企画する際には、経費負担の補助があることは、商店街様のイベントを企画するうえで後押しになっています。

(3) 人的なサポート体制がある

世田谷区では産業活性化アドバイザー派遣制度(以下「アドバイザー」という)という(公財)世田谷区産業振興公社の施策があります。アドバイザーのうち、振興組合となり法人格を有する商店街組織への派遣は、中小企業診断士から年間10回の支援を受けることができます。現在、世田谷区では26の商店街様に中小企業診断士が派遣されており、商店街様がまちバルの企画を立てる際に、アドバイザーが商店街様の相談にのり、企画、運営をサポートしています。

このように、まちバルには本来のイベントとしての魅力があることに加え、世田谷区の補助金という資金面でのサポート、アドバイザーによるソフト面でのサポートがあることで、世田谷区でまちバルを実施する商店街様が増えているものと考えられます。

2.商店街が不得手な情報発信をサポート

さらに、中小企業診断士有志3人が集まって世田谷まちバル・まちゼミ応援隊(永井謙一診断士、田島哲二診断士、小職)を立ち上げ、「世田谷区のまちバル・まちゼミ情報」というWebサイトを開設しました。「費用と時間をかけず、自由度の高い」Webサイトを作ろうと、試行錯誤しながら平成27年10月に立ち上げたものです。現在、世田谷区内のまちバル・まちゼミに限定し、情報発信の場を提供することを目的として運営しています。掲載データは、各商店街様のアドバイザーから開催情報(ちらし、パンフレット)をPDFや画像ファイルで入手しています。これが最新情報をいち早く確実に入手できるという「中小企業診断士運営」の利点といえます。なお、掲載にあたっては商店街の代表者様の承認を得ることを原則としています。サイト立ち上げ当初のアクセス数は少なかったのですが、現在は、(公財)世田谷区産業振興公社、せたがや中小企業経営支援センターのホームページにリンクを貼っていることもあり、認知度が向上しています。また、初めてまちバルを企画する商店街様の参考となるよう、過去の開催記録データの蓄積や四コマ漫画の掲載も進めてきました。

昨年度から、情報の拡散を図るため、フェイスブックページとの併用を開始しています。世田谷区商店街様のまちバル・まちゼミ応援隊として情報発信面からの支援を継続し、その認知度向上に貢献したいと考えています。

 

世田谷区の『まちバル・まちゼミ』情報 http://home.d05.itscom.net/machi/

 

松原憲之

 

18/01/31 21:00 | カテゴリー: | 投稿者:広報部 コラム 担当

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