経営お役立ちコラム
テレワークの留意点

東日本大震災の被害に遭われた皆様に心よりお見舞いを
申し上げますとともに、犠牲となられた方々のご冥福を
お祈り致します。
また、一刻も早い復興を心よりお祈り申し上げます。

1.テレワークの留意事項

留意しなければならない主要事項として、次の点が挙げられます。
(1)セキュリティ対策、(2)情報共有・稟議方法の確立(ペーパーレス
化を含む)、(3)勤務管理・業績管理方法、(4)通信料等費用負担、
(5)テレワーク作業環境の確認、(6)従業員教育訓練などです。

特にセキュリティ対策は重要です。顧客情報はもちろんのこと、
重要な技術情報やノウハウ、さらには財務情報など、重要な情報が
漏洩するようなことがあっては、企業の信用を失墜させるのみなら
ず、賠償責任の発生により企業倒産ということにもなりかねません。
特に自宅パソコンからの漏洩はしばしば報道されるところとなって
います。しかしながら、最近は情報技術も発達しており、安価に
高セキュリティなシステムを構築することができます。

また、通常、業務遂行では、いわゆる「報・連・相」と呼ばれる
報告・連絡・相談が必須であり、このやり方についての取り決めが
必要です。一か所の事業所に集中している場合は、朝礼をはじめ
会議や稟議などコミュニケーションは容易です。
これを、ネットワークを通じて電話会議やメール、グループウェアを
利用した方法で行うことになりますので、少々工夫が必要かも
しれません。文字中心となった場合、細かなニュアンスなどは
伝わらない、と考えておく必要があります。人により文章力に
差がありますので、報告様式の雛形を定めるなど実行しやすい
ルール作りが必要です。さらに、業種によっては、自宅から社内の
基幹システムを利用できるようにしておかなくてはなりません。
テレワークでは難しい社印押印の方法など細かな規定が必要
となるかも知れません。これらの問題を洗い出し、事業継続計画に
きちんと組み入れておくことで、有事においても早期に事業立ち上げ
が可能となります。

2.テレワークを実現する技術

最近の情報通信技術の進歩により、自宅で業務を行うことが容易
になってきています。特に心配された通信回線の速度は、いまや
光回線により職場と変わらないスピード感が得られます。また無線
についても、携帯回線のスピード化は進んでいます。公衆無線LAN
サービスを利用できる店舗・公共施設も増えています。自宅PCを
セキュリティ高く利用できるシンクライアント化製品も安価になって
きています。これを利用することで、自宅PCで会社の基幹システム
を職場にいるかのごとく使用することも可能となってきました。

また、社内システムそのものについても、クラウドサービスの
利用により場所を選ばない業務が可能となっています。社内に
サーバーをおかないことで、事業所自体の被災によるコンピュータ
システムの停止を避けることができるとともに、通信回線があれば、
全国どこからでも接続が可能となります。自社システムをクラウド上
に乗せるだけではなく、SaaSを利用することで、自社でシステム
をもつ必要がなくなるかもしれません。

3.テレワークは経営戦略

テレワークは柔軟なツールです。日常的にテレワークを行う体制
を整えておくことで、被害の抑制やフロア減などコスト低減といった
経済的な問題のほか、直行直帰を活用したお客様対応の迅速化や
遠隔地における人材採用においても大きな出費を伴うことなく実現
できます。さらに、多様な働き方が可能となることで、これまで
家庭の事情で退社するしかなかった人材をつなぎとめることができる
だけでなく、ワーク・ライフ・バランスに対応した会社として、社会
における評価も高まることが期待されます。

業種業態で様々ではありますが、どうしても事業所において
行わなければならないもの以外は全てテレワーク化すると考える
ことで、その適用範囲は意外に広いものです。テレワークの導入を
経営戦略として考えてみてください。

通堂重則

11/08/01 05:25 | カテゴリー: | 投稿者:椎木忠行

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