経営お役立ちコラム
テレワークで働き方が変わる

東日本大震災の被害に遭われた皆様に心よりお見舞いを
申し上げますとともに、犠牲となられた方々のご冥福を
お祈り致します。
また、一刻も早い復興を心よりお祈り申し上げます。

1.テレワークのメリットは

前回、テレワークを「情報通信技術(IT)を活用した場所や
時間にとらわれない柔軟な働き方」という定義を紹介しましたが、
もう少し具体的に見てみましょう。

まず、テレワークを実施しようとする企業は、どのような狙いを
持っているのでしょうか。最近のテレワークブームは、災害・停電
による通勤困難対策としてのテレワークで、自宅で業務を継続する
ことで事業をストップさせない、というものです。さらに、夏季電力
不足対策としての節電では、工場、店舗において節電に限界が
あることから、総務・経理・企画・営業等事業所にいなくても業務
遂 行可能な担当者を積極的にテレワークさせることで、フロア
全体を閉鎖し節電しようという動きが出ています。
この節電により工場、店舗で十分節電できない部分をまかなう
という考え方です。(注)

しかし、テレワークは災害や節電だけではなく、新型インフル
エンザ発生時の突然の出勤停止といった事態にも対応しうるものです。
幸いにも、一昨年の豚由来の新型インフルエンザは重大な事態には
なりませんでしたが、鳥インフルエンザは近々に起こりうる可能性
のきわめて高い脅威であり、その対策としてもテレワークを考えて
おくメリットは大きいです。

さらに、日常的なテレワークを前提とした場合、副次的な効果も
得られます。それは、事業所のフロアそのものも不必要になると
いうことです。通信費が増加する可能性は高いものの、フロア代など
その他の固定費は大きく削減可能となります。

2.テレワークは日ごろの実行が大切

今回の震災や節電においてテレワークが注目されていますが、
災害や事件・事故が発生したときだけテレワークを行う、という
考え方では効果的にテレワークを行うことはできません。
それは、避難訓練などで真剣な訓練が行われていないと、
いざという時に想定外の事態に直面し、混乱を招いて避難に
手間取り被害を大きくしてしまう場合があることと似ています。
真剣に繰り返し訓練を行い、計画の不備や準備不足の改善を
重ねることによって効果的に実行できるようになりますが、
テレワークもそれと同じです。

ただし、避難の場合は非常事態発生時に避難をすることが目的
ですので、確実に避難できれば目的を達成できますが、テレワーク
の場合はそれとは異なる側面があります。それは、業務自体を
継続的に遂行できなければならない、ということです。
これまで事業所に関係者が一緒になって仕事をすることを前提に
業務遂行方法や意思決定手順が構築されている場合、そのままの
やり方でテレワークを 行おうとすると支障が出る場合があります。

ただし、節電などで1週間のうち一部の曜日や午後などの一定の
時間帯にテレワークすることだけでも大きな効果を得られるため、
事業所への出勤とテレワークを組み合わせることで、既存の業務
遂行方法を大きく変えずに実施できる可能性もあります。
しかしながら、震災や新型インフルエンザでは、全員長期間
テレワークをすることも想定しておかなければなりません。既に一部
テレワークを導入している企業でも、質的に異なる対応を迫られる
可能性がありますので、あらかじめ準備をしておく必要があります。
このため、日常的にテレワークを実施し、問題点をクリアしておくことが
必要です。

次回は、システム導入方法等テレワーク導入における具体的
留意事項について記述します。

(注)
事業所で節電のためテレワークを行っても、自宅で電気使用量が
増加するため、トータルとして節電にならないのではないかという
ご意見もあると思います。
総務省の下記資料をご確認ください。
「テレワーク(在宅勤務)による電力消費量・コスト削減効果の
試算について」
http://www.soumu.go.jp/main_content/000113937.pdf

通堂重則

11/07/18 09:28 | カテゴリー: | 投稿者:椎木忠行

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