経営お役立ちコラム
コーチング実践編(1)聴く力、問う力

前回はコーチングの基本的要素について解説しました。
基本的要素とは「信じること」「認めること」「任せること」です。
これらを実現するための具体的スキルは三つあり、それぞれ
「聴く力」「問う力」そして「認める力」に分類することが出来ます。
今回は「聴く力」と「問う力」について解説していきます。

【聴く力とは】

経営者にとってコミュニケーションは重要なスキルです。では、
「コミュニケーション」とは一体何でしょう?コミュニケーション
とは本来双方向のやり取りであり、自分の事を話すだけではなく、
相手の言う事にも耳を傾けて双方向で言葉を交わすことで、相互理解
を深めることが必要です。それを実現するためのスキルが「聴く力」
なのです。

■ 「聞く」と「聴く」の違い

皆さんは、「聞く」と「聴く」の違いがお分かりでしょうか?
例えば次のような行動を何と呼ぶでしょうか?

「相手が話しかけてきた時に、パソコンの画面などを見ながら
相鎚を打つ」
「機械的なうなずきや相鎚で、生返事をしてしまう」

誰しも忙しい時にはこれらのような行動を取りがちです。しかし、
ここで考えてみて下さい。もし、貴方が誰かに話しかけて、上記の
ような対応をされたらどう感じるでしょうか?おそらく、「話を聴い
てもらっていない」と感じ、それ以上コミュニケーションを深める
気を無くすでしょう。このように、相手からただ単に音声を受け
取っているだけの行動を、「聞く」といいます。それに対し、相手に
きちんと向き合って、音声だけではなく相手の気持ちまで受け止めて
あげるのが「聴く」という事です。コーチングにおいては、この
「聴く」ということが重要なのです。

■ 「聴く」際のポイント

相手の話を「聴く」際に注意すべきポイントは5つあります。
すなわち、「環境整備」「キャッチャーミットを持つ」「繰り返し、
あいづち、うなずき」「結論を急がない」「心をこめる」です。一つ一つ、
簡単に内容を説明します。

「環境整備」というのは、話がしやすい姿勢や座る位置を整える
ことです。1対1で話す時に、正面から向き合って座るより、90度
の角度で座るのがコーチングには最適と言われています。
「キャッチャーミットを持つ」というのは、まず相手の話しを受け
止めてあげて、その上で「なるほど」「それはいい」などの前向きな
言葉を返してあげることです。「繰り返し、あいづち、うなずき」は
文字通り、相手の話しのポイントを繰り返したり、あいづちを打つことで、
積極的に聴こうとする姿勢を相手に示すことです。「結論を急がない」
というのは、相手が話し終わらないうちに「それはこうだろう」のように、
話の腰を折らないようにすることです。最後に、「心をこめる」は、
相手との小さな共通点を探し出し、共感を示しながら話しをすることで、
心理的な距離を縮めることです。

【問う力とは】

コーチングにおいて、「問う力」は「聴く力」の次に重要なスキル
です。多くの人の場合、適切な質問をしてあげることで新たな情報
やアイディア、意欲を引き出すことが可能です。「聴く」ことで相手
への理解を示した上で、新たに自発的な気付きを促すのが「問う」
ということなのです。

■ オープン・クエスチョンとクローズド・クエスチョン

コーチングでは、質問を2種類に分類するのが一般的です。
「オープン・クエスチョン」は自由な回答を引き出すための質問です。
一方、「クローズド・クエスチョン」はYES/NOで答えさせるもの
です。

「オープン・クエスチョン」は、相手が新しい考えに気付くなど
の効果があり、自分自身で考えて答えを出させるのに有効です。
一方、「クローズド・クエスチョン」は、例えば、「これ、今日中に
できる?」のように、相手にYESかNOかの判断をさせる質問です。
ここでもし相手が「YES」と答えれば、相手にとっては「自己宣言」
したこととなり前向きの気持ちになるのです。

以上、「聴く力」と「問う力」について説明してきました。次回は、
「認める力」について解説します。

中高英明

13/02/23 11:54 | カテゴリー: | 投稿者:椎木忠行

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