経営お役立ちコラム
経営の現場で -トップの言葉

1.初めに

 経営の現場で長年コンサルテイングをしていますが、当然ながら様々な場面に直面します。そこでいつも気になっている経営者としての言葉の使い方についてお話ししたいと思います。

 最近、政治家による「心ない言葉」が世の顰蹙を買っていますが、ご本人は当たり前のことをしゃべっていると思っているようです。いったい何が悪い?と。しかし、マスコミに取り上げられ大騒ぎしています。そして国会議員としての資格がない!いや、本人の資質の問題だ!・・・と世間はなかなか厳しいです。

2.経営トップの禁句

 ところでこれと同じようなことが企業内でも行われています。特に自社の業績が厳しいときです。トップは、つい社員の前で不用意な発言(敢えてトップの禁句とします)をしてしまことがあります。正直で真面目なトップほどそうです。会社の現状の厳しさを知ってほしい、そして頑張ってほしい、このままでは賞与どころか昇給もままならないよと訴えたいのですが、この思いが逆にマイナスの言葉となり、社員のやる気を削いでしまっているのです。

3.A社の事例

 A社(製造業、25人規模)のトップは学校の先生タイプ。真面目な二代目です。優秀な専務(社長の従弟)の営業力に支えられて成長してきましたが、競争が激しく売り上げは低迷しています。そのため、かなり焦っています。朝礼や会議の場で業界の厳しさ、当社の厳しさをしゃべるのが癖になっています。決して悪気があって言っているのではなく、本人にとっては自然に出てくる言葉なのです。しかし、いつも聞かされている社員にとっては「またかぁ~」と気分が滅入ってしまい、沈滞ムードが漂っています。

 とうとう、幹部会議の場で専務が口を開きました。「社長!いつも厳しい、厳しいと言っています。われわれ幹部には分かりますが、一般社員はむしろ不安を覚えますよ。その発言を今後やめてほしいのですが・・・」(実はこの専務の言葉はコンサルタントである小生が社長にそっと警告すべきだったのですが、その前に言われてしまいました)。思い切った専務の発言です。一瞬むっとしながらも、従弟でもあり、営業責任者でもある専務に反論は難しい。「そうか、そんな気持ちでしゃべったわけではないのだけどなあ」と社長。それ以来、マイナス発言はかなり減りました。

4.B社の事例

 B社(小売業、10人規模)のトップも二代目。御多分に漏れずB社も業績は芳しくありません。先日の全体会議での社長の発言。「間もなく決算を迎えるが、このままでは今期は赤字になるかもしれない。思った以上に悪い。これでは賞与は出せない。それどころか営業所を潰して一か所に集約したほうがいいと思う。それでもいいのか?今は最後の踏ん張りどころだ。必死になって頑張って欲しい」・・・・と延々としゃべり続け、終わりがないように思えました。さすがにまずいと感じたのか言い過ぎたことを謝罪し元気づけのコメントに切り替えましたが、社員たちはどう思ったでしょうか。発奮を促すべくついついトップ自身が熱くなっているのですが、彼らは逆にうつむき加減になり、耳をふさいでいます。日々こういう間違いをしてはいないでしょうか。

5.言葉は命

 「政治家は言葉が命」ともいわれます。「言葉は政治家の命を奪うことがあるから気をつけなさい」という意味でしょう。経営者も同じです。前向きの言葉を発すれば社員はやる気を出すでしょうし、後ろ向きの言葉をかけ続けられたらやる気を失うでしょう。それが業績に決定的な影響を与えます。いかなる場合も経営者は「明朗闊達であるべし」・・・ですね。業績の悪さを社員の頑張りの悪さに決して押し付けてはならないと思いますが如何でしょう。

亀岡 睿一

19/12/31 21:00 | カテゴリー: | 投稿者:広報部 コラム 担当

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