経営お役立ちコラム
事業計画書はなぜ必要か

起業にあたって必要とされる「事業計画書」。本連載では3回に
わたって、何を・どの順番で考え、どう形にしていくか、その手順
や留意点について解説します。第1回は、事業計画書はなぜ必要か
について、解説します。

(1)誰のための「事業計画書」?

事業のスタートアップに欠かせないとされる「事業計画書」。
ですが実際には、融資審査などで必要に迫られて作成するケース
が多いのではないでしょうか。また世の中には、そうした審査を
クリアすることを目的とした事業計画書の書き方についてのセミナー
や書籍も数多く存在しているようです。
「審査のために仕方なく」というのはさすがに極端なケースですが、
多くの創業者が、事業計画書は「他人に事業を説明する」ための
ツールと認識していることと思います。

しかし、筆者が実際にお会いしてきた中で、確実に事業を立ち
上げている創業者の方々を拝見していると、ある大きな共通項がある
ことに気づきます。それは、「何よりもご自身のために事業計画を
作成し、事業計画書を通じて事業の成功要因を考え抜いている」と
いう点です。

(2)事業計画書は、作成するプロセスに意味がある

本気で事業計画(書)をつくるためには、事業そのものはもちろん、
市場や消費者動向や既存の類似製品・サービス、競合状況などの
外部環境についても相当な調査が必要です。調査の結果によっては、
当初考えていた計画の抜本的な修正が求められるかもしれません。
目標売上高を減らせば、それに伴って経費の削減も必要です。
ではどの経費を減らすのか。人件費なら採用計画を見直さなければ
なりません。販売費なら広告予算が候補に挙がりますが、それで目標
の売上高は達成できるでしょうか。

反対に、売上を増やすときは、どんな施策を打てばよいので
しょうか。ボトルネックになりそうな事柄は? 運転資金の増大に
伴う資金調達は、いつ、どれだけ行うべきでしょうか・・・
構想段階ではバラ色に見えた事業が、いざ紙に落とすと、矛盾
だらけであることに気づくことでしょう。すべてに整合性をもたせ、
かつ事業としての可能性を追求するには、試行錯誤が必要です。
成功する創業者は、こうして何度もシミュレーションし、あらゆる
ケースについて検討を重ねることで、事業を遂行する上での自信を
深めています。さらには、創業後の思わぬトラブルや経営危機の
回避にも有効です。

結果として、銀行や投資家、取引先への説明に困ることはなく
なるでしょう。筆者の知る事例では、店舗物件を探す際、事業計画を
もとに貸し主との交渉を行って、好条件での契約にこぎつけたという
方もいます。その経営者があとで貸し主から聞いた話では、より高い
価格を提示していた借り手が他にあったものの、その事業の意義や
可能性、何よりもその方の熱意に共感し、契約を決めたとのこと。
魂のこもった事業計画書だからこそ、周囲を動かし、創業を成功に
導く力が生まれることを改めて認識したケースでした。

(3)事業計画書の構成

一般的な事業計画書の構成は、下記のようなものです。
(1)エクゼクティブサマリー
(2)創業の経緯
(3)経営陣
(4)業界/市場の展望
(5)製品/サービスの特徴と優位性
(6)財務計画と資金需要、使途
(7)タイムテーブル
(8)リスクファクター/問題点とその対策

日本政策金融公庫などが指定する様式もありますが、上記の項目
について検討しておけば、体裁が変わっても記入事項に困ることは
ありません。
(1)のエグゼクティブサマリーは必ず用意します。これは、
その事業計画書の要点を1枚にまとめ、事業の魅力や収支の見通しを
簡潔に伝えるものです。
事業計画書は、つねに作成した本人が説明するものとは限りません。
金融機関に渡った書類が社内稟議のために回覧されるのはよく
あることです。誰が見ても一目で事業の要点がわかる「エグゼクテ
ィブサマリー」は、事業の本質を誤解なく伝える上で、不可欠な
パートなのです。 (2)以降の項目は、内容的に網羅されていれば、
説明のしやすさを優先して構成してかまいません。

次回以降、事業計画書の具体的な作成プロセスについて触れて
いきます。

住田陽子

12/11/11 10:00 | カテゴリー: | 投稿者:椎木忠行

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